ジェイ・サバティーノが発信する「メンテナント」のデビューコレクション|MAINTENANT
MAINTENANT|メンテナント
同世代の仲間に向けたニューヨーク発の新ブランド
ジェイ・サバティーノが発信する「メンテナント」
デザイナーのジェイ・サバティーノ氏がプロモーションのために来日。自身の名を冠して2005年にスタートしたブランドを2015年春夏シーズンで休止し、2015-16年秋冬シーズンから「MAINTENANT(メンテナント)」をスタートさせる。彼に新ブランドのコンセプトを聞いた。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
“リアルクローズ” を見つけることが難しくなってきた
デザイナーのジェイ・サバティーノ氏は、ニューヨーク出身で、美術史とファッションデザインを学んだ。昔から熱烈なヴィンテージコレクターで、ファッションにかんする本も多数収集していることから、ヴィンテージのバイヤーとしてキャリアをスタート。2000年に自身のTシャツをつくり「バーニーズ」で販売したことを切っ掛けにデザイナーとしてのキャリアをスタートし、2005年に自身のブランドを創設した。
2015年春夏シーズンで「ジェイ サバティーノ」を休止した理由を尋ねると「デビューから10年という年月とともに、街も変わり、ジェイ サバティーノを好んで着ていたスケーターやグラフィックアーティスト、ミュージシャン、クリエイターも歳を重ねています。あたらしいブランドも数多く誕生するなかで、今の彼らにとっての “リアルクローズ” を見つけることが難しくなってきた」とジェイ・サバティーノ氏は語る。
着るひとの個性があってはじめて完成する服
「じつは3年前まで東京に8年間住んでいて、ニューヨークに戻ったときにはいろんなことが変わりすぎていてショックを受けた。でも戻ったからこそ、あたらしいブランドのメンテナントのような発想がもてたのも事実」とつづける。
「メンテナント」の名前は、詩人で、ボクサーで、アーティストで、ダダイズムの先鋭的人物であったアルチュール・クラバン著の雑誌『MAINTENANT(メンテナント)』からつけられた。
アルチュール・クラバンやクエンティン・クリスプ、セルジュ・ゲンズブール、トム・ウェイツ、ロバート・クラムなどは、一過性のトレンドに流されることなく、自身のパーソナリティをもっている。彼らは、ジェイ氏にとってのヒーロー、指導者でもある。
メンテナントは、クラッシックなものやヴィンテージの服からインスピレーションを受け、1980年代をベースとした丸みを帯びたモダンなシルエットを現代的にアップデート。そこにストリート感をミックスさせたスタイルを提案する。「それを身に纏うひとの個性をあわせて、メンテナントは初めて完成する」と語る。
さまざまな才能をもつ友人たちに気に入ってほしい
ジェイ氏は「メンテナントで大事にしているのは3つ。point of view(考え方・視点)をもって決めること。服を着て全体を見たときにプロポーションやシルエットに統一感があること。そして仲間が着たいものをつくること。実際、サンプルをつくって友だちが “これは着ないな” と言った2着はコレクションの雰囲気に合わなくてボツにしたよ」
デザインの発想は、コーディネートなのか単品なのかを尋ねると「スケッチでは全身を描くが、トータルで買って着てもらうのではなく、気に入ったアイテムを買ってワードローブの服と合わせて着てほしい。それがごく自然なことだしね」と言う。
日本のストリートファッションの印象を聞くと「さっきピンクのスーツに白の靴を履いていたひとを見たけど、日本人はアメリカやヨーロッパに比べて服をエディトリアル(編集的)に着て楽しんでいる。実験的だし、チャレンジングだね。それに日本人はファッションを勉強しているからコンセプトを理解してくれる、とても近しい友人だ。メンテナントでは、これまで見たことのない今の気分のあたらしいニューヨークスタイルを見せられると思う」。
navy note
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