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2022年4月22日
失われた伝統の継承。メゾンバースの「琉球パナマ帽」|Ryukyu Panama by MAISON Birth
Ryukyu Panama by MAISON Birth |琉球パナマ By メゾンバース
サステナブルな、「究極の帽子」の復活
メゾンバースが2019年にスタートさせた、「琉球パナマ」を取り扱うブランド「Ryukyu Panama by MAISON Birth」のPOP UPが2022年4月26日(火)まで、阪急メンズ大阪で開催されている。
Text by TANABE Keitaro
世代を超えて受け継がれる、色褪せない魅力
ユニセックス帽子ブランド、MAISON Birth(メゾンバース)。「受け継がれる帽子」をコンセプトに、素材から製品になるまでをデザイナー自身が選定、管理することでハイクオリティなプロダクトを提供し続けている。
メゾンバースのハットデザイナーは、2010年ごろ昭和初期の文献から沖縄でアダン葉を使用してつくられる「琉球パナマ」帽の存在と、その伝統が長い間失われていることを知った。
「アダン」は沖縄の沿岸部に自生する、防潮林、防風林、砂防林として同地の生活を守る植物だ。その葉や幹は利用価値が高く、古くからこれを原料に草履や鞄などが作られており、 生活に密接したものだった。
アダン葉を原料として作った琉球パナマ帽の産業は、1904年から始まり サトウキビや泡盛に次ぐ三番目の大きな産業となり、 高級品として海外へ輸出されていた。しかし、それに伴う乱伐や代替素材の台頭、満州事変・日中戦争などの歴史的背景により、アダン葉が激減。それとともに産業も衰退していった。
メゾンバースは、100年以上沈黙をしていたこの伝統的な技術を現代に復活させ、紆余曲折を経て希少な純国産帽子ブランドRyukyu Panama by MAISON Birthを2019年にスタート。この度、阪急メンズ大阪にて期間限定でポップアップストアが開催されている。
沖縄を厳しい天候から守るアダン葉の耐久性は、他の天然草を凌駕する。実際に70年以上前に生産され、農作業に使われた経緯がある帽子は今でも現存しており、破れたり壊れたりせず、当時の形を維持している。 購入した琉球パナマが仮に破れた場合でも、ボーシクマー(帽子編み職人)の手で修復し、メゾンバースのアトリエで型を整えてメンテナンスしてくれる。世代を超えて受け継がれる、色褪せない魅力こそが、琉球パナマなのだ。
琉球パナマの編みは繊細で美しく、その歴史や審美性、伝統、技術を途絶えさせてはいけないとメゾンバースは考えている。民芸品としてではなく、プロのハットデザイナーがモダンでタイムレスなデザインを施し、琉球パナマを高品質なファッションアイテムとして昇華させていく。国内外にこの活動を発信し続けていくことで、沖縄の産業を活性化する一因となるだろう。
琉球パナマの復活がもたらす好影響はそれだけではない。現状、沖縄は全体の完全失業率が高く、特に若年者の失業比率が高くなってしまっている。そのような若年失業者やハンディキャップを持つ方、その他さまざまな事情で就労が難しい方に、パナマ産業の復活は大きく働きかけることができる。
また、雇用が増えることで生産性が向上し、それに伴い材料となるアダン葉がさらに必要になる。将来的には防風樹としての役割も果たすアダンを「植樹・栽培」し、生産量を確保しながらも自然豊かで災害に強い沖縄として、観光産業にも好影響を及ぼすと考えられる。
メゾンバースは、以上のように自然と調和のとれた琉球パナマを国内や海外に対してアピールすることで、伝統・環境・雇用・社会貢献をすべて巻き込んだ素晴らしい仕組みを実践でき、将来的には100年前のような活気に満ちた産業になると確信しているという。
POP UPの期間は2022年4月26日(火)まで。23 日(土)と 24(日)にはデザイナーの清原氏が在廊し、琉球パナマのセミオ ーダーを承ってくれる。また、2022S/Sアイテムやニット工場で廃棄される様々な糸を使用し、新たな商品としての価値を生みだすプロジェクトun KNITシリーズも初お披露目。すべて100%日本製のサステナブルでエコなプロジェクト。ぜひ、あなたもその目で確かめてみてほしい。
Ryukyu Panama by MAISON Birth POP UP
- 場所|阪急メンズ大阪 地下1階 紳士服飾品売場 大阪府大阪市北区角田町 7番 10号
- 電話|06-6361-1381
- 期間|2022年4月26日(火)まで
- 営業時間|11:00~20:00
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