Lee|革新の歴史とともに歩んだ125年の軌跡
FASHION / NEWS
2014年11月17日

Lee|革新の歴史とともに歩んだ125年の軌跡

Lee|リー

アメリカ・カンザスシティの本社から来日したミュージアムマネージャーが解説

「Lee 125th Archive Exhibition in TOKYO」をリポート(1)

先日、東京・神宮前のラフォーレミュージアムにておこなわれた「Lee 125th Archive Exhibition in TOKYO」。世界を代表するデニムブランド「Lee(リー)」の125周年を記念したこのイベントの模様を、会場の写真とともにお届けする。さらに、今回のアテンダントとして来日した、リー ジーンズ本社にてアーカイブ資料の保存管理を担当している、ジーン・スバドレナックさんに、展示品の詳細からブランドのフィロソフィーまで、話を聞くことができた。

Interview Photographs by ASAKURA KeisukeText by IWANAGA Morito(OPENERS)

盛況を博したオープニングパーティ

一般公開に先駆け、報道関係者ら向けに催されたオープニングパーティに参加。会場の入り口で迎え入れるのは、本展のために特別に製作された125体の「Buddy Lee」だ。これらはすべて、会期中に訪れた来場者に抽選でプレゼントされた。

Lee|リー 02

Lee|リー 04

Lee|リー 02a

Lee|リー 02b

会場内に入ると、ブランドの歴史を雄弁に物語るように、アーカイブのアイテムが時系列に沿って展示されていた。アジア圏内で資料として保管されていた「アジアコレクション」を中心に、個人のコレクターが所有している現在では目にすることすら叶わないようなアイテムまでが揃う。さらに、最新コレクションや日本企画のさまざまなコラボプロジェクトも披露された。

米国のアーカイブ博物館にも存在しない貴重な資料が揃う

今回のエキシビションに際して、アメリカ・カンザスシティのリー ジーンズ本社からジーン・スバドレナックさんが来日。彼女は、2003年からアメリカ本国にてアーカイブとブランドの歴史を保存管理する専門職として、アーカイブ博物館におけるミュージアムマネージメントのキャリアをスタートさせた。いわば、「リー」を専門とする考古学者のようなものだ。

Lee|リー 13

――カンザスシティのアーカイブ博物館とは、どのようなものなのですか?

博物館には、リー社の1万点以上にものぼる衣服から写真、広告媒体などを保管しています。設立したのが、1995年なので、スタートして20年ほどですね。

私がこのエキシビションを見て驚いたのは、カンザスシティの博物館にはない品目が、たくさんあったことです。

たとえば、ウィメンズの「Union-Alls」。カンザスシティにはメンズはあるのですが、ウィメンズのものはありません。これは、「アジアコレクション」のみの展開であり、とても貴重なピースだとおもいます。

――アジアコレクションとは?

カンザスシティのミュージアムとは別に、リーのデザイン、縫製、パターンを研究するための資料として、アジア内で取得したものです。東京を含むアジア・パシフィック6地域でおこなう「Lee 125th Archive Exhibition」で展示されているのは、アジアコレクションのアーカイブなのです。展示物には、コレクターが個人的に所有しているピースも含まれています。つまり今回の展示は、本国でも管理できていないようなめずらしいアイテムが揃う、とてもスペシャルなものなのです。

Lee|リー

アメリカ・カンザスシティの本社から来日したミュージアムマネージャーが解説

「Lee 125th Archive Exhibition in TOKYO」をリポート(2)

Interview Photographs by ASAKURA KeisukeText by IWANAGA Morito(OPENERS)

ファッションに革命をもたらしてきた125年の重み

――今回の企画は、125年の変遷を追う、という内容になったとおもいます。リーは、ファッションの歴史にいくつもの変革をもたらしてきました。そのなかで、もっとも大きなトピックはなんでしょうか?

どれかひとつ、というのは私からは挙げられません。デニムウェアへの革新的アプローチを挙げるのであれば、ジッパーの導入でしょう。

デザイン以外にも、新素材の開発にも積極的でした。なかでも1925年に発表された「Gold Denim」はイノベーティブなものでしょう。1931年に「Jelt Denim」という名称に変更され、いまではヴィンテージデニムの代名詞になっています。

Lee|リー 17

従来のデニムよりも糸の使用量が多く、織りの面でも耐久性を向上させる製法を用いています。ほかのデニム素材と比べても、各段に破れにくく、ワークウェアにはうってつけでした。私たちは妥協を許さず、単に上質な生地というのみでは満足しません。「もっとも耐久性の強い生地を作る」という目標を掲げ、その取り組みの一環として製糸場と手を組み、糸から開発していたのです。これがJelt Denimで作られたジャケットです。このアイテムは、鉄道作業員のあいだで人気が高まり、当時は「ロコジャケット」という愛称で親しまれました。

Lee|リー 09

またこのモデルの丈を短くした「アイゼンハウアージャケット」もあるんですよ。アイゼンハウアー大統領が、カンザス州生まれだということに由来する、ユニークなネーミングです(笑)。

リーは、女性が美しく履けるデザインのジーンズを考案したことでも有名です。最初は、男性用のジーンズと同様のデザインで、女性向けのモデルを発売していたのですが、「もっとフェミニンなものを」というリクエストを受けました。その一年後に、サイドジッパー、ウェストのスナップにパールボタンを使用したモデルを作り、女性たちの支持を獲得したのです。

――展示物のなかでもっとも驚かされたものは?

1920~1930年代に作られた、子供用のプレイスーツですね。カンザスには3つのタイプを保管しているのですが、生地も色もちがいます。子供服は、ワークウェア以上に消耗が早いのです。これだけ状態が良く残っているというのは、奇跡的なことです。

――リーといえば、「オーバーオール」のイメージも強いです。

オーバーオールは、革新性とともに変化を遂げてきた、リーの歴史を象徴するアイテムです。

これは「フォーポケットビブ」というモデルで、初期のものです。このモデルをベースに、作業員や労働者たちの声を反映して、改良されていきます。

たとえば、ボールペンなどの筆記具が存在しておらず、鉛筆を使っているような時代。鉛筆は削ると短くなりますよね? その短さに対応できるようストッパーとなるステッチを入れたものもあります。ほんの小さなディテールから、時代背景を読み解くことができるのです。

Lee|リー 18

――これまで多くの著名人がリーを着用されてきたことかとおもいます。そのなかでも、とくに印象に残った方は?

1950年代は、ジェームス・ディーンが愛用していたイメージがあるとおもいます。また、マリリン・モンローも1961年の映画作品のなかでリーのデニムを穿いていました。それ以降の歴史を見てみると、歴代のアメリカ大統領や、キャメロン・ディアスなど。また1984年に、雑誌『ローリングストーン』のカバーを飾った、ブルース・スプリングスティーンもリーを着用し、大きなインパクトを残してくれましたね。このような豪華なラインナップのなかで、個人的にもとくに印象に残っているのは、やはり、ベイブルースでしょうか。

――ジーンさん、そしてリー本社は、今回の取り組みをどのように評価していますか?

アジアで展開するこのような取り組みは、アメリカよりも活動的な面があり、非常に感心しています。カンザスシティの本社でも、今回のエキシビションがアジア・オセアニアだけでなく、世界的にどのような影響をあたえるのか、期待に胸を膨らませて見守っています。

Lee Japan
http://www.lee-japan.jp/

           
Photo Gallery