DIOR HOMME|クリス・ヴァン・アッシュ来日 M/M Parisとのコラボ、最新コレクションを語る
FASHION / NEWS
2015年4月3日

DIOR HOMME|クリス・ヴァン・アッシュ来日 M/M Parisとのコラボ、最新コレクションを語る

DIOR HOMME|ディオール オム

M/M Parisとのコラボ、スプリングコレクションを語る

クリス・ヴァン・アッシュ鮮やかに描く新たなビジョン(1)

ミニマムでエレガントなディオール オムの確固たるクリエーションのなかに、アーティスティックなデザインやコラボレーションを取り入れるなど、つねにチャレンジングなコレクションを発表し続ける同ブランドのクリエイティブ ディレクター、クリス・ヴァン・アッシュ氏。この10月12日、新たなラグジュアリースペースとしてリニューアルしたディオール オム表参道ブティックのオープニングのために数日間の来日を果たした彼に、新作となる2014年のスプリングコレクション、さらにオープニングを記念して10月31日(木)まで期間限定で開催されるパリのアーティストデュオM/M Paris(エムエム パリス)とのスペシャルインスタレーションについて、話を聞いた。

Text by OKADA Yuka

ブランドにとってアドベンチャーとなった鮮やかな色使いは
マイアミのアートバーゼルがインスピレーション源

リニューアルオープニングに合わせて表参道ブティックに陳列された2014年のスプリングコレクションは、軽やかさと遊び心にあふれていた。ディオール オムのDNAともいえる細身のブラックスーツを基本としながらも、ボリューム感やシルエットに変化を加え、カジュアルな雰囲気が吹き込まれている。なかでもキーモチーフとなったのは、20世紀のアメリカを代表する抽象表現主義の画家ジャクソン・ポロックにインスパイアされたという、ペイントブラシによる「ブラッシュ・ストローク」のプリント生地。ブラック&ホワイトを基調に、コバルトブルーやラストレッドといった色彩豊かな筆使いによるアートが、ジャケットの襟にはじまり、サマーニットやアウターウェアにまで取り入れられている。

DIOR HOMME|ディオール オム 02

DIOR HOMME|ディオール オム 03

2014年スプリングコレクションのカタログより ©Karim Sadli

「昨年の11月、マイアミのブティックのオープニングに出席するために同時期におこなわれていたアートバーゼルを訪れたのですが、大々的な現代アートのフェアが開催されている一方で、椰子の木があるビーチではカクテルパーティやフォーマルなエキシビションがおこなわれていて、そのコントラストに非常に興味をそそられました。色彩の面、白い背景に激しいペイントスロトークで鮮やかな色をほどこしたイメージは、まさにビーチでの光景にインスピレーションを受けていて、とくに若者がドレスアップしてビーチに繰り出していく姿が斬新な光景として目に焼き付きました。アーティストであれポップスターであれ、彼らが楽しみを求めてビーチに繰り出していく様子が、今回のコレクションのポイントになっています」。

DIOR HOMME|ディオール オム 04

DIOR HOMME|ディオール オム 05

表参道ブティックでおこなわれたリニューアルオープンイベトに駆け付けたクリス・ヴァン・アッシュ氏

DIOR HOMME|ディオール オム 06

リニューアルを遂げた表参道ブティックのメンズフロア © Nacasa&Partners

コレクションについてまずはそう切り出したクリスだが、ディオール オムというブランドにおいて、とくにカラフルな色を用いることは本人も曰く「ほとんどやったことがなかったので、アドベンチャーでありチャレンジだった」とも語る。

「色のアイデアはいつも直感的に出てくることが多いんです。今回は準備を始めたのが冬で、寒々しい環境にいたこともあって、ポップで、明るくて、前向きな色を使いたいという望みが心のどこかにあったんだと思います。また、ビーチのパーティなどに繰り出していく若者が自分を表現したいと思って着る服ですから、楽観的でアーティスティックな色を取り入れなければならないとも思いました。そうしてディオールにとって馴染みのなかった色や方向性を探ることは自分を自由にしてくれましたし、開放感をもって新しい方向を探ることができました。キャットウォークの環境のなかでは実現できない、よりアーティスティックで親近感のあるイメージを作り出すことができたと感じています」。

DIOR HOMME|ディオール オム

M/M Parisとのコラボ、スプリングコレクションを語る

クリス・ヴァン・アッシュ鮮やかに描く新たなビジョン(2)

新作コレクションのカタログはM/M Parisとクリエイト
よいコラボレーションとはコレクションに違った解釈を与えること

この2014年のスプリングコレクションのカタログはパリを拠点にマルチなデザインを発信し続けるアーティストデュオ、M/M Parisのアートディレクションのもと制作された。このM/M Paris、ミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックによって1992年に結成されて以降、名だたるファッションブランドからビョークやマドンナなどトップアーティストまで、多くのクライアントとのコラボレーションを通じてファッションシーンに影響を与え続ける話題のユニットで知られる。

DIOR HOMME|ディオール オム 08

クリス・ヴァン・アッシュ氏(中央)とM/M Parisのふたり

「過去数年にわたりビデオやカタログなどを通じてM/M Parisとは仕事をしてきたのですが、彼らはコレクションに対して僕らとは違った視点を持っていて、僕の見方に縛られずにユニークなアイデアを提供してくれます。ブティックを訪れるクライアントを見ていても、コレクションを解釈するストーリーは人それぞれですよね。だからこそ、今回も彼らと一緒に仕事ができたことは有意義だったし、よいコラボレーションの多くは違った解釈を生み出すことだと思っています」。

カタログの撮影場所となったのは地中海のコルシカ島。M/M Parisのミカエルのオフィシャルコメントによると「マイアミのアートバーゼルに影響を受けていたクリスのために、月面に降り立ったゲストをイメージして僕たちなりの“ランドアート”を再現した。幾何学的なアートピースを再設計し、ブティックのインスタレーションセットのような表現にしている」とのことだが、クリスはこう続ける。

DIOR HOMME|ディオール オム 09

2014年スプリングコレクションのカタログより ©Karim Sadli

「先ほど言ったように、新しいコレクションはアートシーンにおけるビーチの存在に強く影響を受けていますが、もう少し俯瞰で見ると、若者がドレスアップをして休暇や時間を楽しむのはマイアミだけの光景ではなく、夜であれ昼であれ、パーティの場であれ職場であれ、どんな場所や時間においても求められている普遍的なシーンだと思いました。そういった観点で見ると、コルシカ島は“ノーマンズ・ランド”なんです。特定の場所を想起させないから、それはときに月面にだってなりうる。さらに、この撮影でもっとも伝えたかったのは、ポップスターのように着飾って出かけていくもまた、若者にとってはいつの時代も普遍的なニーズとして存在するということ。そういう意味では1980年代の少年バンドのLPジャケットにあったような、少年の夢のようなものを反映したカタログにもなっています」。

DIOR HOMME|ディオール オム

M/M Parisとのコラボ、スプリングコレクションを語る

クリス・ヴァン・アッシュ鮮やかに描く新たなビジョン(3)

ブティックでのアーティスティックなプレゼンテーションは
キャットウォークとは違うメッセージが発信できる場

このコルシカ島で撮影されたカタログの世界観は、リニューアルオープンを記念して表参道ブティックのためだけに考案されたスペシャルインスタレーションにも採用されるところとなった。

「モデルがランウェイでキャットウォークをするプレゼンテーションがある一方で、ブティックなどでアーティスティックなプレゼンテーションをすることで別のメッセージの仕方があるのではないかとつねに思っています。今回の表参道ブティックでは、カタログにあるアートピースを3D、三次元のカタチに解釈して、お客様に伝えることを目指しました。つまり、インティメイトな親近感をもって見てもらえるカタチを追求した結果のアイデアなんですが、M/M Parisとのコラボレーションでリアルなインスタレーション表現ははじめてだったので、カタログの世界を表参道で再びクリエイトするのは、まさに挑戦だったと言えます」。

DIOR HOMME|ディオール オム 11

DIOR HOMME|ディオール オム 12

DIOR HOMME|ディオール オム 013

期間限定で公開されたスペシャルインスタレーション ©Nacasa&Partners

実際、キャットウォークとは別の機会を通じてメッセージを届けたいという部分においては、クリスはこれまでも、たとえば前述のマイアミブティックのオープニング時には世界的写真家のブルース・ウェーバーと一緒に制作したショートフィルム『CAN I MAKE THE MUSIC FLY』を発表するなど、意欲的に取り組んできた。それと同時に、ビーチでもドレスアップを怠らない若者の欲求をマイアミのポップスターやアーティストのものとしてだけでなく、どんな若い男性のものとしても表現したいと語った姿勢からは、アーティスティックからリアルまで、さまざまなアプローチをもってブランドを発信していきたいというディオール オムのスタンスを改めて認識させられる。

DIOR HOMME|ディオール オム 001

DIOR HOMME|ディオール オム 002

DIOR HOMME|ディオール オム 003

DIOR HOMME|ディオール オム 004

表参道ブティックリニューアルオプンイベトにて。
左からスタイリスト 祐真朋樹氏、俳優 成宮寛貴氏、建築家 石上純也氏、スペースコンポーザー 谷川じゅんじ氏

「過去10年間にわたって日本には何度も来ていますが、日本の男性は世界でもっともファッショナブルでインクレディブル。今回のコレクションやインスタレーションも、日本ならどんなタイプの男性にも受け入れてもらえると期待しています。ちなみに、2014年のスプリングコレクション以降、ディオール オムは春、夏、秋、冬の4回にわけてシーズンごとにコレクションを発表していきます。これはブランドの成長の早さを物語っているところもあるのですが、春と秋にかんしてメインのコレクションのプレという位置づけで考えていたところを、いつのまにかプレコレクションがメインとおなじ存在感をもつようになっていった。今後は4つのアイデンティティとストーリーを与えていくことで、それぞれのコレクションの存在感をより際立たせて、ブティックの中でも都度メッセージを伝えていきたいと思っています」。

KRIS VAN ASSCHE|クリス・ヴァン・アッシュ
1976年ベルギー生まれ。98年アントワープ王立美術アカデミーを卒業。卒業コレクションが多くの人の目に留まり、「イヴ・サンローラン リヴ・ゴーシュ」のメンズラインからキャリアをスタート、2000年~04年まで「ディオール オム」のファースト・デザインアシスタントとして活躍。04年、自身の初のコレクション「KRISVANASSCHE(クリス・ヴァン・アッシュ)」を発表。07年よりディオール オムのクリエイティブ・ディレクターに就任。

ディオール オム 表参道
東京都渋谷区神宮前5-9-11 B1F
Tel. 03-5464-6263

クリスチャン ディオール
Tel. 0570-200-088

           
Photo Gallery