FUJITO|デザイナー藤戸 剛が語るブランド「FUJITO」の成り立ち
シルエットの美しさ、加工技術による素材の変化などで、あらたな価値観と着こなしを提案
デザイナー藤戸 剛が語る「FUJITO」の成り立ち
「真のシンプルとは、一切の無駄を排し、機能性を追求した計算の上に成り立つ。それは単純こそ美しいという観点にたった現代美の一つである」。そんな哲学をブランドポリシーにした福岡発のメンズブランド、FUJITO(フジト)。高度な素材、縫製、加工によってあらたな定番を生み出すことを目的としているというデザイナー藤戸 剛氏に、その洋服づくりについてきいた。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
福岡で暮らすこと。福岡で仕事すること
──藤戸さんがデザイン作りにおいて大切にしているものは?
シンプルであること。実用的であること。それは「FUJITO」のジーンズを10年前にはじめてつくったときから変わらないテーマです。
──福岡での活動のメリットとデメリットを教えてください。
自分自身の時間を大切にできることが一番大きなメリットですね。それは家族や仲間との時間もあります。おいしい食べものが豊富で、家賃が比較的安価で、福岡空港が近くインチョン空港経由で世界中へアクセスできることなど、ほかにもメリットはあります。仕事上でもじっくりとモノづくりに打ち込むには、ほどよいスピード感の今の環境が僕にはちょうどいいです。
デメリットは意外と少ない気がしますが、アートや音楽にかんする展示、イベントが減ってきているのはとても寂しいです。どの都市でもおなじだと思いますが、ある程度街としての機能が整ってさえいればどこで活動しようが関係のない時代になってきたと思います。
──現在のメンズファッション・シーンをどう感じていますか?
とても刺激的ですが、もっぱら東京主体で動いていると思います。多くのブランドが東京にあり、メディアも集中しています。今後もそうだと思いますが。だからこそ僕らのようなスタンスのブランドがやれているのかもしれません。「FUJITOのアイテムはどの雑誌にもあてはまらないですね」とあるプレス関係の方から言われてとてもうれしかったことがありました。福岡から発信していくことにあまり力まず、つづけていきたい。
着用するひとにとって普遍的なものであってほしい
──今シーズン(2012秋冬)コレクションのテーマはありますか? 特徴的なアイテムとスタイリングを教えてください。
テーマは“lost in reverie”。物思いにふけるというような意味があります。以前よりここ最近はとくにそうすることが多くなりました。ほかの多くの人びともそのように見えます。僕もふくめてその人びとに向けて作りました。
特徴的なアイテムは、やはりジーンズでしょうか。型を変えずにずっと売りつづけていますので、ブランドの顔になっています。ここ数シーズンでシャツも好評をいただいています。ドレスシャツとワークシャツを融合させた縫製とシルエットは秀逸です。ネイビーとグレイを基調としたカラーでまとめて、ベレー帽を使ったスタイリングが今シーズンの気分です。
──「FUJITO」の最大の特徴(セールスポイント)はなんですか?
とても難しい質問ですね。着用するひとにとって普遍的なものであってほしいです。朝起きて家を出るまでに思わず手に取ってしまうような、そんな安心感のある洋服づくりを目指しています。
──藤戸さんご自身が好きなコーディネイト/着こなしを教えてください。
白のVネックTシャツにブルージーンズです。
──最後に、ファンにメッセージをお願いします。
これからのブランドです、ぜひ一度袖を通してみてください。シルエットの良さや素材感で「FUJITO」らしさを感じていただけたらうれしいです。
藤戸 剛|FUJITO Go
ブランド「FUJITO」デザイナー。1975年佐世保生まれ。1995~96年、Vintage Kingにて勤務。2000~02年にDenime Gear 福岡にて勤務。2002年にデザインオフィス「WISTERIA」設立し、「FUJITO」をスタートする。
http://www.wstra.com/
<FUJITO取り扱い店舗>
ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 渋谷公園通り店
http://www.beautyandyouth.jp/shop/bsk.html