パワーユーザー寺嶋徹氏が語る、「ミスターポーター」の魅力とは|INTERVIEW
MR PORTER|ミスターポーター
イギリス・ロンドン発メンズオンラインショッピングサイト
ルートコミュニケーションズCEO寺嶋徹氏が語る
「ミスターポーター」の魅力とは(1)
ラグジュアリーブランドをはじめ、世界中からセレクトした人気ブランドの商品を扱うイギリス・ロンドン発のメンズ向けオンラインショッピングサイト「MR PORTER(ミスターポーター)」。品揃えの豊富さやコンテンツの充実ぶり、日本語OKのカスタマーサポートなどサービスの素晴らしさは弊誌でも紹介済みだが、実際の日本人パワーユーザーにその使い心地をインタビューすることができた。今回、六本木に事務所を構え、NIKE、ユニクロ、DIESELなど、国内外の有名ブランドにおいてデジタルを中心としたプロジェクトを担うデザイン会社、ルートコミュニケーションズCEOの寺嶋徹氏に、ミスターポーターの魅力について語ってもらった。
Photographs by ISHIBASHI MasatoText by ASAKURA Nao
きっかけは女性版サイト「NET-A-PORTER(ネッタポルテ)」
――ミスターポーターを知ったきっかけは何ですか?
寺嶋徹さん(以下、寺嶋) ファッション好きの女性社員が、レディス版であるネッタポルテを利用して、教えてもらいました。5年前くらいでしたね。今でも使っている社員はいます。
――さすが!感度の高い方が多いのでしょうね。社内でファッションのお話をされたりしますか?
寺嶋 そうですね。ファッションブランドの仕事も多いですし、仕事柄どこのECサイトが使いやすいかとか、そういう機能面の話もします。
――ミスターポーターで「THE JOURNAL」などの記事は読みますか?
寺嶋 ウェブでの記事はあまり読まないですね。定期的に送られてくる「THE MR PORTER POST」(ブロードシート新聞)にはたまに目を通します。でも僕より社員のほうが見ていますかね。
――ファッションの参考にされているのは雑誌なのでしょうか?
寺嶋 雑誌も『VOGUE』くらいしか読みません。街に出て、実際のお店を見て周ることが多いです。流行を追うというより、自分が着たいものを選びます。業界の勉強も兼ねてですしね。各ブランドの話は、雑誌で読むよりスタッフさんから聞くほうが良い情報が得られますから。
――どんなお店に行きますか?
寺嶋 サンローラン、セリーヌ、フィリップリム……メゾンブランドの路面店は行きますよ。会社の近所にあるセレクトショップも見に行きます。
――ミスターポーターでショッピングをする頻度は?
寺嶋 2〜3ヶ月に1度くらいでしょうか。買うときは複数買います。シャツを探しに行くついでにバッグも見る、みたいな。ネッタポルテもたまに使います。
――ミスターポーターを使用する前と後で変わったことはありますか?
寺嶋 服を頻繁に見るようにはなりますね。お店に行くとそれなりに時間がかかってしまいますが、オンラインだと合間に覗けるので。あとはメルマガがよく届くのですが、新着ではなく、緑のアイテムの特集とか、そういうテーマ性を持ったメルマガからは色々と発見があります。
――なるほど。それはオンラインショップならではの楽しみ方ですね。逆にオンラインショップでは試着ができないですが、サイズ選びに失敗したりはしないですか?
寺嶋 自分の体型に合うブランドとサイズがいくつか頭に入っているので、ほとんどないです。色んな店舗を回って、体系に合うブランドや合わないブランドが判っているので。
――ということは、ミスターポーターで購入されたものは、サイズ感ではほぼ満足のいくものばかりですか?
寺嶋 9割満足ですね。一度だけ、靴のサイズが合わなかったので交換したことはあります。たまに質感でイメージしていたものと実物が違うことはありますけど返品するほどではありません。
――ミスターポーターのいいところはどこだと思いますか?また、受けているサービスの中で素晴らしいと思うものは何ですか?
寺嶋 ありきたりですが、見やすさ、使いやすさですね。ページ全体の品位や、商品の並び方や、説明文なども、見ていてストレスが少ない。あとはマイページなどのが適度に整理されていますし、オーダー履歴から返品や交換を依頼したり、配達状況の確認もサイトの中だけで完結しているのが便利ですね。
Page02. 機能面は文句なし。求めるのは、本来店舗で受けられる「ラグジュアリー体験」
MR PORTER|ミスターポーター
イギリス・ロンドン発メンズオンラインショッピングサイト
ルートコミュニケーションズCEO寺嶋徹氏が語る
「ミスターポーター」の魅力とは(2)
機能面は文句なし。求めるのは、本来店舗で受けられる「ラグジュアリー体験」
――今後ミスターポーターへの要望・希望するコンテンツ、サービスなどあれば教えてください。
寺嶋 ネット以外の部分でしょうか。例えば、ラグジュアリーブランドであれば路面店に行くと、ピン打ちの上手な人がいてサイズをきちんと合わせてくれたり、イベントに招待していただいたり、店内でドリンクを出してくれたり……。
そういうホスピタリティ全て含めて、ブランドのバリューですよね。同じ価格の中に、モノと体験が一体になった価値がある。逆にネットで買うと、物が届くだけなので、そこの部分の残念さはありますね。
フィッティングに関しても確かにある程度は合うんだけど、お店だったら最後の0.5cmを直してもらえるという安心感がある。ミスターポーターで買ったものを路面店に行って、直してください、とは言えない。
僕は首が太いので、シャツを買うときにまず首で合わせて、袖などを調整していくんですけど、いくつかの店舗は、そういうことをきちんとやってくれる安心感はありますね。
――ロンドンでは顧客の自宅にてワードローブカウンセリングを行ったり、上顧客なら誰でも受けることができる「パーソナルショッピングサービス」というものがありますが。
寺嶋 もちろん洋服の好きな人には、そういうことも嬉しいでしょうね。国内でもセレクトショップが優良顧客にそういったサービスをしている所はあります。
でもそれに限らず、店舗での購入、ないしは優良顧客となれば得られるはずの体験、つまり「モノを買う」ということ以外の体験が欲しいですよね。それはオンラインでも実現できることだと思うんですよ。
オンラインだからできること。アイデアはいくつかありますけどね。「もてなされている」「特別に扱われている」と感じることで心を揺さぶられる人が多い。必ずしもフィッティグやスタイリングなどではなくて良いんですよ。
ギフトにも十分なパッケージが魅力。もう一手間かけられたらもっといい
寺嶋 あとこだわるところはパッケージですかね。リアルなお店だったら最初から自分が商品に触れていて、それがラッピングされて持ち帰るわけですが、オンラインショップは、待つ、届く、開梱する、手に取る。という逆方向なんですね。
ミスターポーターの場合、送られてきた白いきれいな段ボールを開けると、上質な紙で包装された商品は、美しい紐がかかっていて、さらにメッセージカードが添えられている。もしちょっとしたサンプルのギフトなんかが入っていたら、開けたときに驚きがあって気持ちがグッと上がりますよね。そういう部分では、店頭でそれを目の前で見ているよりも、むしろ「もてなされてる感」がありますね。パッケージにはまだまだ可能性があると思います。例えばギフトラッピングを選べたりするとか。
――ギフト用にミスターポーターを使ったりしますか?
寺嶋 時々使いますよ。標準に送られてくるものでもギフトとして十分なパッケージですし。ただ、ラグジュアリーブランドの商品を買ったのに、そのブランドのボックスやショッパーでないのが残念だったりするので、プラスいくらかでプレミアムなボックスにできるとか、リボンの色が変えられるとか、クーポンが入れられるとか、最後のアウトプットで一手間加えられたらいいですね。
通常のパッケージがあまり丁寧じゃないブランドの商品は、ミスターポーターで買うことで底上げされます。でもラグジュアリーブランドは逆にそういった面でダウングレードされて見られるとしたら残念ですからね。
――ファッションに限らず、ライフスタイル全般において気になっていることは何ですか?
寺嶋 抽象的で恐縮ですが、人の出会いや繋がりですね。ギフトも人対人のコミュニケーションじゃないですか。相手の期待を超える何かをあげたい。そもそも物を渡す、ということが形の残るメッセージなわけだから。例えばそれを渡すことがその人の応援になるかもしれないし、本人を元気づけることかもしれないし、ひょっとしたら新たにその人に目標を与えるものかもしれない。
自分が買わない物だけれど、それをもらったことで何か自分が変わるきっかけになることもある。
オンラインショップにも人肌が感じられることが大事
寺嶋 僕はワインが好きなんですけど、殆どの作り手の顔を知っていて、その人のことをイメージしながら飲んでます。作りが丁寧であることはもちろん、日本に輸入され、ショップで管理され、グラスに注がれるまでに色んな人が介在しているんですけど、誰一人として手を抜いちゃだめなんですよね。品質とコンディションの良いものを飲むときに、人の熱意のありがたみというか「みんなが頑張ってきたんだな」と感じる。
ファッションでいうと、「何のブランドが好きか」ということよりも「素敵なスタッフさん」がいる所で買いたい。色々と店を周っているうちにスタッフさんと意気投合して、その店やブランドからというより、「その人から買いたい」と思うようになる。例えばその人が店舗を移ったら、そちらの店舗に通うようになったりします。基本人好きなので、人の出会いがあるところが好きですし、人間関係ができたり続いていくことが面白い。
仕事もそうですよ。仕事を通じて人の繋がりができて、付き合いを長くしているうちに深くなって、その人がまた誰か違う人を紹介してくれたり。一度一緒にやり出したら感謝されるように頑張りたいし、結果を出して「ありがとう」って言われたらこちらもうれしいじゃないですか。長くなりましたけど、気になっていることといったら、「人」です(笑)。
オンラインショップの話に戻ると、通販の先には人がいて、運営されている方々と画面にいるこちら側で、お互いの人間の中でちゃんとしたギブアンドテイクみたいな、「人肌が感じられるか」が大きなポイントですよね。