CIVILIZED|シヴィライズド 究極の進化形セットアップが誕生
FASHION / NEWS
2015年2月23日

CIVILIZED|シヴィライズド 究極の進化形セットアップが誕生

CIVILIZED|シヴィライズド

デザイナー 奥川諭志氏インタビュー

究極の進化形セットアップが誕生(1)

2010年の秋冬シーズンにデビューしたドメスティックブランド、シヴィライズド。その服を端的に表現すれば、ミニマムで美しく機能的、ということになる。今季の新作セットアップも然りで、ストイックで無駄のないデザインのなかに、使い勝手のいい機能が集約されている。その機能性、素材、縫製、シルエットについて、デザイナーの奥川諭志氏が解説する。

Text by KASE Tomoshige(OPENERS)

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絶妙なポケット位置と“つき方”

――服好きの人なら、このセットアップには直感で「なにかある」とおもうはずです。一見シンプルだけど機能性を感じさせる、というか。

ありがとうございます。ブランドスタートのときから一貫して申し上げていることなんですが――表現が紙一重で難しいんですけど――機能がなくてオーケーなら、なくてもいいんです。でも、(機能が)あって、うまく自分にマッチするなら、あったほうが絶対いい。たとえばスポーツウェア、アウトドア、ワーク、ミリタリーって、そういう機能面からもファッションにも取り入れられていると思うんです。うちの服は見た目はシンプルですが、実際に使ったときに「あ、便利だな」という部分を特化させているので、機能性を感じるのではないでしょうか。ただし「いかにもアウトドア」「いかにもミリタリー」とならないように気をつけています。

――なるほど。まずはジャケットから解説してもらえますか?

このジャケットの名前は「CLEARED JACKET」といいます 。“CLEAR”は切りひらく、クリアする。いろんなものをクリアしたジャケットという意味です。ジャケットはメンズ服のベースだと思うし、普段着なくとも「ジャケットはカッコいい」とおもっている男性は多いはず。ジャケットをもっと自然に、ブルゾン感覚で着てもらえるように……ジャケットを敬遠するのを“CLEAR”する、という気持ちも込めています。

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――具体的な機能についてはいかがでしょう。

ジャケットは肩の部分、袖山が高く袖を下向きにつけているので、腕を上げにくいんです。その構造こそがジャケットらしい見た目をつくっている、とも言えるんですが。

――でも置くと、袖全体は下向きになりますよね。

そこが第一にクリアしたポイントです。一見おなじなんですが、着るとちがいがわかるんです。腕が上がるようになってるんですよ。ジャケット特有のシャープな肩のラインを出しているんですけど、腕も上がる。

――うーん、やはり見た目じゃわからない……。

そうですよね(ホワイトボードで説明しながら)。袖のつけ方に工夫があるんです。楽なんですよ。実際に着て腕を上げてみると、本当にストレスがないですから。

――そのほかの特徴は?

大きい部分で言うと生地ですね。コットンギャバジンの生地を使用しています。春先に使いやすい生地で、軽く着心地良く仕上がっています。

――機能面、仕様面はどうでしょう。

潜在的にカバンを持ちたがらない男性が多いとおもうんです。そういう意味でポケットの容量もポイント。通常ジャケットのポケットにはマチがありませんから、ポコッと膨らんじゃいますよね。このジャケットは胸に大きなポケットがあって、携帯電話やタバコを入れても表に響かないくらいの容量があります。なかにリフレクターがついていて、裏地はメッシュ。ベンチレーションの機能も備えているというわけです。

――電車の中が暑い、ということも増えてくる時期です。

それにここ何年か、自転車通勤の人もすごく増えていますよね。そうなると、やはり動きやすさが重要。腕の曲げ伸ばしはもちろん楽にできますし、また乗っていて暑いときは、前を開けずにベンチレーションだけ機能させればいいんです。バサバサ前合わせ広がることもないですし。リフレクターも安全面で効果を発揮してくれるはずです。ファスナーを開けても、最下部に切り替えた袋状のポケットがついているので、なかのものが落ちることはありません。

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――一見普通の服なのに、というのがポイントですよね。

このリフレクターがいい例で――ヨーロッパでは安全基準として、リフレクターの反射力に規格があるんです。もちろんこのジャケットには基準をクリアしたものを使っていますが――当たり前ですが、ふつうは見えやすいところについているじゃないですか。作業着のように表に縫いつけられたりしていて。でもリフレクターが必要なのは夜だけですよね。でも普段はある意味邪魔じゃないですか。使いたいときに使いやすい機能をつける、ということを心がけています。のどが渇いたときに自動販売機があればうれしい、という感覚です。

――ポケットのつき方も通常とはちがう。

普通ジャケットのポケットの口は地面に対して平行ですが、このタイプのポケットに手を突っ込むと、縫い目の端を傷めちゃうんですよ。でもこのジャケットのポケットは、縦にスリットが入って、ハンドウォーマーのような感覚で手が入る。これだと縫い目を傷めにくいんですよね。

――しかも生地の切り替え部分に合わせてあるので、目立たないですね。

この「CLEARED JACKET」のポケットは、通常イメージしない部分についているんです。その面白さもあるんですが、実際このほうが使い勝手がいいんですね。腕の動きにたいして自然な位置なんですよ。

――ジャケットにおけるポケットの位置は、改良の余地があると。

たとえば電車で座っているときは、腰ポケットから取り出すよりも、胸ポケットからのほうが取り出しやすいですよね。配置はかなり考えてつくっています。以前バイクに乗っていたとき、パンツのポケットにチケットを入れていて、取り出しづらくて焦りまして。そのとき、「座った状態で使うポケットの位置はすごく大事」だなあとおもったんですね。

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――デザインはもちろん大事ですが、とくにジャケットやアウター類は、機能性がセレクトの決め手になることがあります。

僕の場合、もちろんデザイン優先の服も好きだったんですが、最終的に手が伸びるのがこういう(機能的な)服だったんですね。生活にマッチする服を選んでしまう。言い方が難しんですが、僕は基本洋服そのものが好きで、着飾ったりするという意味のファッションという部分は、そのあとに来るものなんです。どれだけ使いやすいか、というところでは、クルマやバイクと共通する部分が多くて。

――ゴルフなんかにも便利ですね。シワも気にしなくていいし。

ちょっと温泉に行くときとかも。お洒落はしたいけど、ウールのジャケットだとちがうかな、という気分のときにすごく便利だとおもうんです。ブルゾン、カーディガンのように「羽織る」感覚で着てもらえたらうれしいですね。

――そう考えると「CLEARD JACKT」という名前も、いろんなことを意味合いにとれて、面白い。

アイテムのモデル名、ネーミングはいろいろ考えますね。ブランド名の「CIVILIZED」というのもいろいろリンクしている部分が多くて。単語の意味は洗練された、品のある、という意味なんです。でも不要なものはそぎ落とす、乗せて乗せているように見せない――という部分で、純度が高まっている気がします。あらたにくわえるのではなく、もともとあるところに機能をくわえている、という。シンプルなんですけど、そのぶん思いも詰まってたり、語れる部分も多いんです。

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デザイナー 奥川諭志氏インタビュー

究極の進化形セットアップが誕生(2)

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動きやすいのに細く見えるシルエット

――パンツの特徴を教えてください。

いちばんわかりやすい部分は、立体的なシルエットですね。側面からみるとわかると思うんですが、人間の脚はまっすぐではなくて、膝の部分が前に出てるんです。曲げやすいのはもちろんなんですが、シルエットの出方にも特徴があるんです。

――シルエットの出方、というと?

立体裁断ではない場合、つまり生地を前後でペタッと縫い合わせているだけだと横に開くので、正面から見たときに太く、幅があるように見えるんですよ。でも膝を前に出すことによって、正面から見たときすっきり細身に見えるんです。

――なるほど……。

細く見えますが、実際はある程度太さがあるので、窮屈じゃないんですね。一般的なスーツのパンツって、細く見えると思うんです。でも実際に横から見るとけっこう太い。つまりスーツの組下は、クリースによって見た目の細さを作っているんです。それと同じような効果があるんですね。

――そのほかの機能面については。

ここにも(左腿部分)、内側にリフレクターのあるポケットがついています。右手で操作しやすいように。またウエストはドローコードで、イージーパンツ仕様になっています。ほんのちょっとの抜け感、ゆるさを演出しているんです。

――あえて垂らしてもいいですね。

パーカのドローコードはスピンドルで留めるタイプのものも見受けられますが、なぜかパンツのドローコードは、留め具がついているものが少ないんですよね。

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――裾にジッパーがついていますが。

個人的にスニーカーを履くことが多いんです。ローテクって言われるペタッとしたものではなくて、ハイテクっぽいものが好きなんですけど、意外にボリュームがあって――パンツの裾口って、ある程度の広さがないと、靴の上にうまくかかってくれないんですよ。ボリュームのあるスニーカーに対して細い裾口のパンツを合わせると、シルエットがきれいに出ないことが多いんです。足が短く見えてしまったり。

――ハイカットのスニーカーも同様に難しいです。

もう少しなんだけど……っていうときがありますよね(笑)。ブーツとか、ボリュームのある靴が好きなんです。やっぱり靴も自由に選びたいですからね。たとえばこのパンツを気に入っていて、今日はスニーカーで行こう、あるいは雨が降っているから防水のブーツで行こう、っていうそれぞれの場合、靴のボリュームが全然違うじゃないですか。「スニーカーだと合うのに、このブーツだと合わない」というストレスを解消したかったんですよ。靴に対して、パンツを合わせられるようにしたかったんです。

――ニューバランスのスニーカー、コンバースのオールスターハイカット、ドクターマーチン、すべてボリューム感が違いますからね。

あと自分でも気に入っているのが、お尻のポケットですね。切り替えに沿ってファスナーつきのポケットがあります。おおむねそんなところですね。うちの服は着てもらわないとわからないことが多いんですけど、一回使ってもらうと、ハマってくれる人も多いみたいで……。男って、たとえたくさんの服をもっていても、そのとき気に入っている服って、「これとこれとこれ」みたいな感じじゃないですか。だからこそ使い勝手のいいものに必ず手が伸びると思うんですよね。着心地だったり、天候や気温に合っているかどうかだったり、いろんな条件があると思うんですけど……機能面とデザイン面の、バランスがとれた服を作っていきたいですね。

CIVILIZED(シヴィライズド)
Tel.03-6416-3094
http://www.civilized.jp/

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