White Flags|ブランドデビュー直前! 小此木達也×島津由行 対談
FASHION / NEWS
2015年5月8日

White Flags|ブランドデビュー直前! 小此木達也×島津由行 対談

White Flags|ホワイトフラッグス

ブランドデビュー記念

小此木達也×島津由行 対談(1)

「TroisO(トロワゾ)」「OOO (12) TWELVE DENIM(オーオーオートゥエルヴデニム)」のデザイナーとして知られる小此木達也氏が、2011-12年秋冬シーズンよりニューブランドをスタートする。本ブランドで手がけるのは、洋服ではなくシューズ! 「White Flags(ホワイトフラッグス)」と名を冠したニューブランド、その魅力を探るべく、デビューにさいし制作されたイメージビジュアルを手がけたスタイリスト 島津由行氏との対談が実現。26年来の先輩・後輩の関係にあるふたりが、ファッションシーンの変遷をもとに、モノづくりについて語る。

Text by OPENERSPhoto by TAKADA Midzuho

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スニーカーがすごく嫌がることばかりやっている(笑)

──おふたりが出会ったきっかけは?

島津 以前、津森千里さん手がける「I.S. Design by tsumori chisato」(=IS)というコレクションがあったんです。津森さんはこの後自身の名を冠したブランド「TSUMORI CHISATO」を立ち上げるわけですが、当時僕はISのショーの手伝いをしていて、スタイリストも後にやることになりますが、そのときはショーの選曲をやっていたんですけど、そのとき小此木さんが津守さんのアシスタントをしていて。それからですね。その後彼は「ISSEY MIKAKE」のウィメンズのデザイナーを経て独立、たまたま僕の古い知り合いのブランドでデザイナーとして入ったりと、つかず離れず縁があった。

小此木達也×島津由行 対談 01

左/島津由行さん 右/小此木達也さん

それから「トロワゾ」というブランドを立ち上げ、はじめて小此木さんらしい一面を見ることになるわけです。魅力と言いますか、エッジがある……彼はデザイナーですよ。“デザインする”ということが、どういうことか。似たようなものばかり溢れるなか、ちゃんとイチからなにかをデザインする、というところにはやはり三宅一生さんの息吹を感じますね。

──今回のデビューコレクションの印象は?

島津 ……スニーカーがすごく嫌がることばかりやっているなと(笑)。

小此木 こんな細かいパーツ、冗談じゃないですよね(笑)。

小此木達也×島津由行 対談 02

小此木達也×島津由行 対談 03

“White Flag's”の“W”のイメージからデザイン

島津 素材がちがうからミシンの調子もちがうでしょう? 大変ですよこれは。でもそうしないとあたらしいものはできないんだよね。靴ばかり作っているデザイナーだと気を使って、こういうことはできないんです。でも小此木さんはありえないことばかりする、でもできちゃうものなんですよ! そうしてどんどん進化を遂げないと。ファッションシーンはいまちょっと停滞気味なんでね。タグを外せばみんなおなじ、アメリカンノスタルジックは僕も嫌いじゃないけど、みんな着ていると嫌になっちゃう。でも“赤信号、みんなで渡れば怖くない”的な時代だから、しょうがないんでしょうけど(笑)。

小此木達也×島津由行 対談 04

小此木 今回は全7モデル。デビューコレクションということもあってブランドイメージの白をベースに、黒、あと一部モデルには茶もありますが、やっぱり白が人気でしたね。パリには白しか持っていかなくて、“なんで白しか持って来ないんだ!”って怒られましたけど(笑)。一番最初に「Henri(アンリ)」をデザインしたんですけど、基本的にすべてのアイテムは“White Flags”の“W”のイメージからデザインをはじめています。「Albert(アルベルト)」は甲のディテールをくっつければ“W”になります。「Pablo(パブロ)」にもサイドにディテールをつけてみたのですが、かっこ悪くてやめました(笑)。

アッパーはトレッキングシューズのデザインがほとんどそのまま。あまりデザインしすぎちゃうと、“頑張ってデザインしました”という感じになってしまいますからね。靴のブランドなので3型くらいは次のシーズンも、素材やカラーでちがう切り口を設けて見せたいなと思っていて、「Pablo」はアレンジをくわえて次も出そうと思っています。

White Flags|ホワイトフラッグス

ブランドデビュー記念

小此木達也×島津由行 対談(2)

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もしかしたらここから家具が生まれるかもしれない!?

──今回はシューズに限ったブランドなのですよね?

小此木 とりあえず“いまのところは”フットウェアブランドのスタートというカタチですが、今後も“スニーカーだけ”とは限りません。

島津 洋服にこだわらない、そんなことは逆に楽しみで、自由な発想でいうとシューズをやったことは全然不思議ではない。おもしろいことをやってるなと。だから今回お手伝いすることができてよかった。僕もそうですけど、“これしかやらない”ってことではない。よく“島津さんってロックだね”って言われるけど、内田裕也さんじゃないんだから(笑)! 僕はDJもやるし、ショーもやる。なんでもやるわけですよ。なにかを構築して、破壊して、またなにかを……という共通言語は、クリエイターはみなおなじ。不可能はないと思うから、やっちゃえばいいんです。とことんやって突き詰める。おそらくここから洋服ができていくんだと思うけど、それが楽しみです! 洋服ではなく、全然ちがう方向に行くかもしれませんけど。もしかしたら家具が生まれるかもしれないし。

小此木 いくつか理由はありますが、スニーカーだけで言うとじつは“スキ間”ではあるんです。“スキ間”というのは、スニーカーを生産するためには最低でも300足、ひと昔前なら1000足作らなければならなかったんです。それがひとつの単位なんですよ。ひと型につき300足売るって、なかなか大変なことで、だから大手以外はあまり手を出さないんです。でも日本に入ってきているスニーカーブランドって、ナショナルブランド以外は高額なブランドばかりなんですよね。Pierre Hardy(ピエール・アルディ)は手ごろかな? それでも5万円台後半ですよ。

小此木達也×島津由行 対談 05

それがモードなスニーカーとしてはもっとも安い値段。僕はモード感を出すのは得意だから、価格帯もふくめ、“やればできるんだ”というのを見せたかった。

ショーができるブランドにしたいつもりはまったくない

いまは僕がISSEY MIYAKEのころから15年間スニーカーをお願いしてきた方とともに制作しているんですけど、さすがに15年も一緒にやっているから、僕がデザイン画を描くだけでファーストサンプルの時点で8割方できあがってくるんです(笑)。それでも発表会までには4回作りなおしました。モノづくりってそういうものだからね。

当然モードだから流行り廃りはある。でもデザインとして残っていくものを作りたいなと思っています。それはさっき言ったように家具になってもいい。モノづくりが好きなひとは、アイデアの引き出しがあるから、どんなものだってデザインできると思うんです。ファッションデザインだけとか、スタイリングだけじゃないから、いろんなことを話せるし、それが楽しい。

──この秋冬、どんなスタイルに合わせるのがお薦めでしょう?

小此木達也×島津由行 対談 06

島津 トレンドって言葉はもう死語。僕たちはそれに代わるあたらしいキーワードを探さなきゃいけないのかもしれない。それぐらいファッションの認識って変わってきたし、ファストファッションもそうだけど、トレンドとは別の次元で世の中が動き出しているんですよね。雑誌も“となりのミヨちゃん”ではないけど、隣の子をおしゃれに、リアルならぬデュアルライフにフォーカスしないと売れない気がします。しかしモードな世界で言うと、ファッションエディターのNicola Formichetti(ニコラ・フォルミケッティ)が今度Thierry Mugler(ティエリー・ミュグレー)を手がけるから、80’sがまた注目されるかも。

たぶんレディ・ガガを仕かけに使ってくるだろうから、それはひとつのトレンド、トレンディではあるよね。

小此木 ブランドコンセプトのとおり、デザインは凝っているけど、主張しすぎていない。なんにでも合うように作っているから、自由に楽しんでもらえればと思います。今後シューズ以外のアイテムが出てきたら、こうやってコーディネイトできるんだ、ということも提示できるかもしれない。けれども最終的にショーができるブランドにするつもりはまったくなくて、一個一個アイテムを切り売りできるようなブランドにしたいな。

White Flags|ホワイトフラッグス

ブランドデビュー記念

小此木達也×島津由行 対談(3)

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いろんなものの考え方がウッドストックの時代にもどっている

──ブランド名もそうですが、コンセプトが印象的ですね。

小此木 White Flags(ホワイトフラッグス)とはバンザイ、白旗を挙げて降参ですよ。それに白という色はどんな色にも染まるし、どんなものも作りあげていく、まったく無のもの。シューズには品番ではなく、平和主義者、ノーベル平和賞受賞者の名前をつけているんですよ。

ファーストコレクションの展示会は今年の2月におこなったんですけど、それからしばらくして東日本大震災が起きました。もともと平和を掲げてはいましたが、より意識がこうした方向に向いているというか、向けていきたいなとあらためて思いました。そんな想いをふくめ、コンセプトを島津さんと話したうえで、今回イメージビジュアルを制作しました。軍モノのの服を真っ白にして用意してくれるなんて鳥肌立ちましたよ!

小此木達也×島津由行 対談 07

小此木達也×島津由行 対談 08

※イメージビジュアルはホームページにて公開中! http://wfn10.com/

島津 あたらしいことをやったわけではなく、1960年代に撮られたMagnum Photos(マグナム・フォト)の写真をイメージしています。軍隊に囲まれたヒッピーが、向けられた銃口にカーネーションをさす、という有名な写真。“フラワーパワー”といって、 「武器ではなく、花を」というメッセージを掲げ、ベトナム戦争反対を訴えた運動がはじまった時期だったんですね。“フラワーチルドレン”という言葉は聞いたことありますよね?

そんなベトナム戦争反対を訴えた運動がはじまった時期だったんですね。

メッセージ的に訴えるものにしたい

今回“ホワイトフラッグス”という言葉を受け、“平和のメッセージ”を表現するということで、そんな60年代の動きが頭に浮かびました。いまGDPとかGNPもそうですが、いろんなものの考え方がウッドストックの時代にもどっているような気がするんですよね。あれから社会や経済はものすごい勢いで進み過ぎちゃって、いまあらためて考えさせられているというか。そんな時代観も踏まえ、徹底的に白の世界で表現しようと。

小此木達也×島津由行 対談 09

島津 白旗を挙げる。最初から降参することって、ひとつの攻撃だと思うんです。打たれても打たれても起き上がってまた白旗を振る、でもなにもしない。“なにもしない”という防御は、最大の攻撃……“攻撃は最大な防御”の逆です。勝手言ってますけど(笑)。

カメラマンは何十年も一緒にやっているRosemary(ローズマリー)さんにお願いしました。彼もこういうことにかんして共通言語が多いんです。いい仕上がりになっているのではないでしょうか?

──“平和”というキーワードはどこから?

小此木 “平和”ということだけでなく、なにもない真っ白──これから作り上げていくというイメージも込めています。これだけ世の中にモノがあふれているなか、服もクツもそうだけど、メッセージ的に訴えるものにしたいとは思っていました。いまはメッセージ性を強く出しているブランドってほとんどないけど、70年代、80年代はメッセージ性を出したことによって叩かれる、なんてことはしょっちゅうだったけれども、やっぱりそのころの服ってパワーがありますよね、いまでも残っているし。タグを外したらどれもおなじにしか見えない、というものじゃないんですよ。60年代、ウッドストックの時代観にもどっているということも、その時みんなが共通語としてもっていたメッセージをここで改めて発しないと、古いカルチャーを知らない、今の若い世代が時代を遡って行き着くことはできませんよね。

なんでも作りたくなったら作ります

でもメッセージとデザインの両方にインパクトを出して、尚且つそれが売れていくというのは難しい。そういう時代になったんでしょうね。ファストファッションが売れる、というのはまさにそうだし、ファッション関係の人間がこぞって買ってるんですよ? おかしな時代だよね(笑)。僕らデザイナーとしては、こんな時代に生れて来ちゃってなにしよう? って思います。悪いとは言わないですよ、時代だから。でも“今、なにが足りない?”って聞かれたら、僕は“ファッション性が足りない”と答えますね。

小此木達也×島津由行 対談 10

だからこそ島津さん、ローズマリーさんと今回のビジュアルを作れたことが本当にうれしいんです! 一発目のメッセージとしては強いものができたんじゃないかな。

──もしかしたらシューズ以外のものも、という可能性があるようですが、今後の展開は?

小此木 いいものができたら、ちがうアイテムを作る。毎年毎年制作に追われる、それが当り前の世界なんだけど、それではいいモノってあまりできないように思うんです。じっくり1年とか2年あたためて作ったモノが、やっぱりちゃんとしてるし、そういうものが残ってくと思う。そうしてなんでも作りたくなったら作りますよ!

──ありがとうございました。

White Flags
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