SLOWEAR|パンツ、ニットウェアのパイオニア「SLOWEAR」、オーナー来日インタビュー
FASHION / NEWS
2015年3月13日

SLOWEAR|パンツ、ニットウェアのパイオニア「SLOWEAR」、オーナー来日インタビュー

SLOWEAR|スローウエア

パンツ、ニットウェアのパイオニアグループ

新ショールームオープン記念、グループオーナー来日インタビュー(1)

「INCOTEX(インコテックス)」「ZANONE(ザノーネ)」「GLANSHIRT(グランシャツ)」「MONTEDORO(モンテドーロ)」の4ブランドを抱えるパンツ、ニットウェアのパイオニアグループSLOWEAR(スローウエア)。トレンドに左右されることなく、上質な素材をもちいた“長く愛せる”デザインと確かな製品づくりはヨーロッパを中心に世界中で愛され、現在30ヵ国以上での販売を展開する。そんな同グループの躍進を支えているのが本国であるミラノ、ニューヨーク、そして日本に置かれた3つのショールームの存在だ。あたらしいアイテムはまずこの場所から発信され、その後販売店舗やメディアをとおして消費者の目に触れることとなる。このたび装いをあらたにスローウエアジャパンのショールームが移転オープン。これを記念し、本国よりスローウエアグループオーナーであるロベルト・コンパーニョ氏が来日した。そこでOPENERSではインタビューを敢行、グループの世界観を表現しているというショールームのデザインについて、そして今後の展望について聞いた。

Text by OPENERSPhoto by TAKADA Midzuho

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いろんなものが混在したようなところが東京らしい

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スローウエアグループオーナー ロベルト・コンパーニョ氏

──あらたなショールームを構えるにあたり、なにかきっかけがあったのですか?

すでに日本ではお客さまにも取引先にも広く認知され、我われとしても日本市場に対して非常に満足するとともに、期待もしています。だからこそ、こうした投資を日本のこの地におこなうべきだと思ったんです。以前のショールームは7年前に作られたのですが、100平米ほどしかなかありませんでした。しかし今度のショールームは倍の広さがあります。それで決めました。

──デザインコンセプトは?

ショールームもリテールのプロジェクト(Officina Slower)についても、Carlo Donati(カルロ・ドナティ)というイタリアの建築家/デザイナーの方に任せています。ひとつの流れやフィロソフィのもと、いろいろなデザインやコンセプトを作ってもらうのですが、重要なポイントは微妙なアジャストをすることなんです。

70~80パーセントを占める大枠の部分は変わらないんだけど、あとの20~30パーセントのアロウワンスの部分は、東京は東京という街のイメージをプラスする──日本という国のイメージではなくね。ここが置かれている環境であったり、そういった部分で調整をするんです。だからどこのショールームも似たイメージだけど微妙に異なるんです。

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東京のもつ神秘性というか、おもしろいところ……ほかの国とはあきらかにちがう個性──このショールームのあるビルは比較的あたらしく、コンクリート壁のモダンな作りなんですが、ふと向かいを見ると昔ながらの小さな家が立ち並び、軒先には洗濯物が干してある。でもちょっと先を見やれば六本木ヒルズなどの高層ビルが聳え立ち、その手前には高速道路が二本も空を走っている。それから電線がそこらじゅうに張り巡らされてる。こうしたいろんなものが混在したところが東京らしいイメージ、そして魅力であり、そのなかにモダンなイメージのショールームが存在する、というシチュエーションがとても気に入っています。

──「ひとつの流れやフィロソフィのもと」とありましたが、それはどういうものでしょう?

スローウエアというプロジェクトはファストファッションとは正反対のコンセプトを掲げています。“スローフード”“スローライフ”といった言葉を耳にしたことがあると思います。「スローウエア」というネーミングは、そうしたもののイメージにインスピレーションを得てつけられています。我われの考えは良い商品をずっと作りつづけること。シーズン毎に奇をてらったものを作るようなファッションではありません。2年も3年も着ても流行遅れにはならないような、“いいもの”を作る。たとえば一昨年買ったものと今年買ったものを組み合わせても非常によくマッチングができる、そうした考えが一番のコンセプトです。

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ショップのプロジェクトを見ていただければわかるように、スローウエアのリテールプロジェクト(Officina Slower)のなかにはヴィンテージのテーブルやチェアが使われています。それらはすべて連動するもので、50年代や70年代に作られたテーブルもチェアも、いいものはけっして“古いもの”にはなりません。我われが作っているアイテムも同様です。ヴィンテージの家具とウェアがマッチングする、それがコンセプトなんです。

SLOWEAR|スローウエア

パンツ、ニットウェアのパイオニアグループ

新ショールームオープン記念、グループオーナー来日インタビュー(2)

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メインストリームが中心になって動いていく、ということはなくなるでしょう

──日本ではつい最近ファストファッションがシーンを席巻したり、店舗に足を運ぶのではなく、オンラインショップで購入するなど、ファッションに対するあらたな価値観が根づきはじめているように思うのですが、こうした状況のなか、スローウエアは今後どのような展開をイメージされていますか?

メンズにかんしては我われが欧米で提案しているテイストが日本のマーケットでも受け入れられています。なので特別な提案をする必要はないでしょう。日本のファンの方々と、イタリアを中心としたヨーロッパのファンの方々とは非常に似ているので、大きな苦労はしていません。それについてはとても満足しています。

ただウィメンズにかんしては、じつはヨーロッパのマーケットと日本のマーケットは少々異なります。だからといって日本のマーケットに合う商品をあらたに開発しようということは考えていません。

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(右)スローウエアジャパン代表取締役 藤枝大嗣氏

ただ、ヨーロッパで展開しているテイストの一部をアジャストする、ということはあります。日本のお客さまの中心は20~30代。その方たちが求めるフィッティングや色味、価格帯など、そうした部分をアジャストしていかないと、とは考えています。このメンズとウィメンズの一番のちがいはプライスの捉え方でしょう。メンズのお客さまはROLEX(ロレックス)やALDEN(オールデン)の靴、MACKINTOSH(マッキントッシュ)のコート、そしてインコテックスのトラウザースと、それが仮に10万円しようが、何十万円しようが購入し、長く愛用されるというのが特性です。しかしおなじ年齢層であっても、ウィメンズのプライスレンジというのは非常に幅が広いんです。メンズの3万円とウィメンズの3万円では販売される量がだいぶ異なります。

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ファストファッションやオンラインショップの動きについてですが、そうした状況はイタリアでもおなじです。ヨーロッパの中でも、ZARAをはじめ、H&MやGAPなど、いろいろなファストファッションが溢れている。それはもう止められないでしょう。ウェブのビジネスもおなじです。イギリスやアメリカのそうしたマーケットは本当に大きいですよね。避けることのできない波であることはまちがいないでしょう。お店に来られるお客さまも、ウェブで情報を調べてから実際に足を運ばれる方が非常に増えている。

ではすぐにウェブビジネスをはじめようか、ということではないけれど、我われのショップに来れない方々がウェブで商品をリサーチされ、興味をもってくださっているというのは事実です。

──そうした状況を鑑みて、今後ファッションシーンはどう変化していくと考えますか?

ひとつ言えるのは、トレンドの流れやファッションビジネスの流れが、メインストリームが中心になって動いていく、ということはなくなるでしょう。ひとつの大きな流れがあって、それに付随する小さなもの、ということではなく、セグメントされていくのではないでしょうか。Aのようなものが好きなひと、Bのようなものが好きなひと、というふうにセグメンテーションがされていく……。

たとえばそれはテイストのセグメンテーションであったり、価格のセグメンテーションであったり、いろんなセグメンテーションがされていくことでしょう。我われのプロダクツを本当に愛し、好きな方というのは仮に“A”というセグメントの方かもしれない。この“A”にいる方々をより満足させるものを作りつづけることが重要だと考えています。Aの方も、Bの方も、Cの方も満足するようなもの、ということはあり得ないでしょう、今後のファッションシーンでは。だから自分たちのもっている個性とか、強みとか、ファンとか、そうしたセグメントをきちっと守りつづけていくことが大事なのではないでしょうか。

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──ありがとうございました。

           
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