POGGY’S FILTER|vol.10 江川“YOPPI”芳文さん、AKEEM THE DREAMさん(後編)
FASHION / MEN
2019年11月5日

POGGY’S FILTER|vol.10 江川“YOPPI”芳文さん、AKEEM THE DREAMさん(後編)

80年代後半からスケーターとして東京のストリートシーンに深く関わってきた、江川“YOPPI”芳文(以下、YOPPI)氏とAKEEM THE DREAM(以下、AKEEM)氏を迎えてお送りする『POGGY'S FILTER』第10回目の後編は、彼らが原宿のショップ、HECTIC(ヘクティク)を通じて深く関わってきた、FUTURA(フューチュラ)、STASH(スタッシュ)、KAWS(カウズ)との話を中心に展開。今現在のストリートファッション・シーンにも多大な影響を与えている、彼ら3人との交流によって生み出された数々のプロダクトは、今や伝説にもなっているが、この3人が行なってきた数々の試みは、間違いなく時代の最先端をいくものであった。裏原ストリートカルチャーを作り出してきた当事者である彼らの数々の貴重な証言と、さらにファッションだけでなく、彼らのスケーター論、グラフィティ論についても大いに語ってもらった。

Interview by KOGI “Poggy” Motofumi|Photographs & Text by OMAE Kiwamu

決してセルアウトしないフューチュラの格好良さ

POGGY ヘクティクがフューチュラやスタッシュと繋がっていった経緯を教えてください。

YOPPI A BATHING APE(ア・ベイシング・エイプ)でスケシンさんがデザインをやっていた時に、俺らはスケシンさんを訪ねて、よくNOWHERE(ノーウェア、ア・ベイシング・エイプの運営会社)の事務所に入り浸ってたんですよ。そんな時に、スケシンさんから「事務所にスタッシュが来るらしいよ」っていう情報が回ってきて、「会いたいでしょ?」って。それで事務所に行って、スタッシュをお出迎えしたんです。その時はスタッシュも緊張してましたね。こっちも、ずっと一方的に買い付けてたから、変な緊張感がありました(笑)。

POGGY (笑)

YOPPI その滞在中に、何回かノーウェアの事務所でスタッシュに会ったんですが、ある日、「ヘクティクっていうお店に行ってきた」っていう話になって。「俺、その店をやってるんだけど」って言ったら、「SUBWARE(サブウェア)をやってくれない?」っていう流れになったんですよ。おそらくスタッシュは、サブウェアのディストリビューターを探しに東京に来ていたようで。街を歩いていた中で、ヘクティクを気に入ってくれたみたいです。そうやって本人からオファーがあって、直接やり取りするようになりました。

AKEEM そこから一緒にRECON(リーコン)っていうお店を作ったり、NYJPっていう共同のブランドを作ったりと発展してきましたね。

YOPPI フューチュラもスタッシュとPROJECT DRAGON(プロジェクト・ドラゴン)を始めて。

POGGY サブウェアの後ぐらいにプロジェクト・ドラゴンがあって、その後にリーコンみたいな感じですか?

AKEEM そうですね。

YOPPI スタッシュとフューチュラが当時、事務所をシェアしていたんで、ニューヨークで行けばそこにフューチュラもいた感じです。とにかく、フューチュラの事務所の部屋が格好良くて、それを毎回チェックしに行っていましたね。

POGGY ニューヨークのどこですか?

YOPPI マンハッタンの39丁目とか、いわゆるミッドタウンですね。それからブルックリンにスタジオが移って。彼らの影響で、俺らも事務所にお金をかけるようになりました。お店にお金かけなきゃいけないのに、何やってるんだよ?っていう(笑)。あの当時の俺らが取材を受けた時の、後ろの背景とかって尋常じゃなかったですからね。

AKEEM 自分がアートを作るためにまず盛り上がる空間や環境を作る所から始めてるんですよね。

POGGY まだグラフィティライターがアーティストとして認められてない80年代初期に、フューチュラが大手のギャラリーで個展を開催して、注目されるようになって。まるでロックスターのような扱いを受けたわけですけど、そこまで支持されるようになった理由って何だと思いますか?

AKEEM グラフィティーアーティストたちが注目されるようになったのって、『Wild Style』が上映される少し前だと思うんですけど。当たり前かもしれませんが、グラフィティが危険で違法なアートだからなのではと思います。見つかったら逮捕されるし、NYの地下鉄を相手に身の危険を冒しながらやっているので。

YOPPI 自分は80年代の事はよくわかないですが、あとでニューヨークでは大きな社会問題になっていたと知りました。

AKEEM 警察や人の眼をくぐり抜けていつの間にか自分のアートを残す。結果誰の仕業かは分からないんだけど、誰かが命がけで描いたフルカラーのピースが街の人を感動させるって何かのスーパーヒーローみたいな話じゃないですか?(笑)。

POGGY 『Wild Style』の中で、今までストリートのものだったグラフィティをキャンバスに描いて、ギャラリーに展示するっていうシーンが描かれていましたよね。

AKEEM ありましたね。でも、リー(Lee Quinones)が演じていた主人公は身元がバレたくないから抵抗し続けてましたよね。 最終的にはある方法で自分の作品が大きく注目されちゃうんですけどね(笑)。

POGGY 最初はフューチュラが『Wild Style』の主役を演る予定だったのが、それを蹴って、The Crash(クラッシュ)のツアーに一緒に行ったそうですね。

YOPPI フューチュラは、多分、今も昔も自分の名声とか、ハイプになり過ぎないようにって、すごく気にしてるんじゃないですかね? 映画に出なかったっていうのもそうだし。

AKEEM セルアウトしないところで、ずっと続けていますよね。スタイルや手法は進化してると思いますが、哲学は80年代のワイルドスタイルのままでブレないですよね。

YOPPI けど、今はまたそのバランスが狂い始めそうなタイミングなわけじゃない。

POGGY そうですよね。

AKEEM Louis Vuitton(ルイ・ヴィトン)とプロジェクトやったりって事ですかね?アートの提示の仕方が時代によって違うかもしれないですけど、フューチュラは哲学が変わらないから、常に時代の移り変わりの先に居る宇宙飛行士みたいな感じ。ルイ・ヴィントだろうが、誰と一緒にやっても常にワイルドスタイルなのでタイムレスですよね。

YOPPI 俺もそう思うけど、誰もがそういう風に見ているわけではないから、やっぱり葛藤があるんじゃないかな? 多分、80年代も今も、その差はあんまり無いんじゃないかと思う。表に出るっていうことに対しての、バランス感覚はやっぱり重要視しているだろうし、そういうのに長けている人なんだと思う。

AKEEM 確かに。そういうバランス感覚ありますね。
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