中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(1)|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョンロブ
中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(1)
生涯つきあえる一生ものの美しい黒のローファーが誕生
日本で年3回おこなわれる「ビスポークオーダー会」のために来日するマスターラストメーカーのフランソワ・マドニーニ氏が携えてきたのが、中田英寿さんがオーダーしたローファーの完成品。中田さんは東京の「ジョンロブ丸の内店」でメジャーメントし、パリのジョンロブのビスポークアトリエでトライオン(仮縫い)をおこない、途中、フランソワを京都に連れて、京都を代表する老舗履きもの匠「祇園ない藤」の5代目の内藤誠治さんと引き合わせた。そして「ジョンロブ丸の内店」で理想を追求した一足がついに彼の手に渡る。今回のテーマ、「ジョンロブのビスポークとともに、職人と世界を巡る旅」がいよいよ完結する。
中田英寿が繋ぐ、ジョンロブと「祇園ない藤」の職人の出会い(4)
Photographs by JAMANDFIXText by KAJII Makoto (OPENERS)
パリでのトライオン(仮縫い)からどう変わっているか
ジョンロブの起源でもある“フルオーダーシューズ=ビスポーク”は1858年の創業以来150年余の歴史と伝統を誇り、最高品質の素材、熟練した職人による技と製法、美しいフォルムの探求、最高の履き心地のすべてに一切妥協することなく完成する現代の芸術品といえるもの。
パリのビスポークアトリエには約20名の職人が在籍するが、ラスト(木型)をつくることができる“マスターラストメーカー”の称号をあたえられた熟練の職人はフランソワ・マドニーニ氏を含め3名しかいない。
今回のビスポークに臨むにあたって、「既製のローファーは、ノーズが長すぎたり、丸すぎたり、甲が低すぎたり、自分が思うきれいなもの、欲しいものがないんです」と、一生履けるローファーをオーダーした中田さん。ジョンロブの定番として名高いローファー「LOPEZ(ロペス)」をベースに、トライオン(仮縫い)でも履き心地にかかわる微調整をおこなった。
こんなに軽い靴を履いたのは人生で初めて
フランソワが手渡したできあがりを初めて履いて中田さんが言葉にしたのは、「履き心地が軽くて、履いてないみたい」という驚き。「柔らかくて軽いカーフ(生後3~6カ月までの仔牛の皮)でつくってもらいましたが、軽いのはもちろん、革が薄くて繊細な分、ドレッシーで高級感がありますね」とファーストインプレッション。
フランソワが、中田さんの悩みでもある“左足の親指の付け根の隆起している骨”の当たり具合を尋ねると、「まったく問題ないですね。靴をよく見れば、左の箇所はちょっと盛り上がっていますが、それを知らなければ気がつかないほどです。シェイプも美しいし、手に取ったときより、履いている方がきれいなのはさすがですね」と答えた。
実際にローファーを履いてからは、中田さんもフランソワもリラックスした雰囲気に変わってしばし雑談。「ジョンロブでは、全部で4つのラスト(木型)があれば全部の靴をビスポークできるそうですよ」と中田さん。
「そうです。オックスフォードやバックルは、セミスクエアもラウンドトゥもラストひとつあればOKで、ローファーはふたつが必要。そしてブーツの4つです」とフランソワが解説。それを受けて、「じゃあ今度はレースアップをつくろうかな」と笑う。
修理して履けば20年は楽しめる靴
中田さんから靴を長く履くためのコツを尋ねられたフランソワは、「修理しながら履けば20年はもちますが、アッパーは壊れるとリペアできないので、クリームなどでしっかりケアしてください。ソールは修理可能です。それと、必ずシューツリーを入れてください。シューツリーは型崩れを防ぎ、湿気を取ります」と回答。さらに、「雨が降ったときに履いたら、靴を横にしておくと乾きが早いので試してみてください」と言う。
ジョンロブのビスポークには専用のシューツリーが付くが、「既製品のシューツリーより出し入れしにくいのでコツが必要ですね。それぐらい靴とフィットしているってことですね」と中田さん。
“永遠のベーシック”として選んだ黒のローファーは、これから間違いなく中田さんの相棒となっていく。
中田英寿のジョンロブ“ビスポーク”がついに完成(2)へつづく
ジョンロブ「ビスポーク」
価格|105万8000円~
※同一ラストでの2足目以降は95万5800円
期間|メジャーメントから約4カ月でトライオン(仮縫い)、さらに約4カ月後に納品
ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp