中田英寿、ジョンロブの職人と対峙する(メジャーメント・1)|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョンロブ
中田英寿がジョンロブのビスポークとともに世界を旅する
中田英寿、職人と対峙する(メジャーメント・1)
中田英寿さんは、現役を引退後、“旅”にこだわり、世界約90カ国、150以上の都市を3年間かけて巡った。そしてそれ以降、彼は自分の旅を“ReVALUE NIPPON”と称して、2009年春から日本全国47都道府県をめぐる旅をスタートさせた。旅を通じて、職人の手仕事を目の当たりにし、大きな感銘を受けたという。日本には世界に誇れる技術や文化があることを再発見したという中田さんが、「場所はちがえど、職人のものづくり精神の根底にあるものはおなじ」と、前々から興味を抱いていたジョンロブのビスポーク(フルオーダーシューズ)に挑む。
現在パリのビスポークアトリエにいる約20名の職人のなかでも、3人のみがもつ“マスターラストメーカー”をあたえられた職人のひとり、フランソワ・マドニーニ氏の“技”を自ら体感するために、フランソワが待つジョンロブ丸の内店を訪れた。
Photographs by JAMANDFIXText by KAJII Makoto (OPENERS)
ビスポークの“メジャーメント”は約1時間
「松田さん(松田智沖ジョンロブジャパン社長)と話をしていて、ジョンロブでビスポークを担当している職人のなかでも、世界に3人しかいない“マスターラストメーカー”の存在を知りました。そのファッションデザイナーよりも貴重な職人と、ぜひ一度会いたいとお願いしました。僕は日本を旅して多くの職人や伝統工芸家たちに会い、彼らのファンになりました。そして、職人同士を繋げることができれば、もっと面白いことができるだろうと感じています」
今回も、フランソワ・マドニーニという職人に実際に会って、話をして、彼のことを知り、さらに興味をもつことになったら、彼と日本伝統の“技”をなにかの形で繋げたい、と中田さんは語る。
さて、ジョンロブのビスポークは、足の正確なサイズを計測する「メジャーメント」からはじまる。メジャーメントの時間は、およそ15分から20分。計測しながら、職人からいままで靴を履いていて感じた不便なこと、たとえば既製靴だと当たる部分や痛い部分などが質問される。
フランソワは中田さんの足を、感触を確かめるように何度か触ってから、紙に足型を取りはじめた。
中田さんの足のカタチの悩み
「僕の足は、日本人に多い、少し幅が広くて甲高です。特徴とすると、左足の親指の付け根の骨が出ています。現役のときに骨と骨のあいだの潤滑するものがなくなってしまって、ポコッと骨が隆起してしまったのです。なので、既製靴を買うときは、その部分が当たって痛くないかが基準になっていますね。きっちりしたサイズを履くと、どうしても幅がきつくて、骨に当たります。それを避けるためにサイズを上げると、骨には当たらなくなるけど、足にフィットしない。それと、左右でサイズがちがうんです。正確に測ったところ、左が26.25cmで、右が26.65cmでした」
現役時代、スパイクはオーダーで作っていたそうだ。「裸足になって、柔らかい型取り材のなかに足をすっぽり入れて、足型を取って作っていました」
ジョンロブのビスポークのメジャーメントでは、ソックスを履いた状態で、まず紙に足型を写し、甲部をはじめ、足周りを測っていく。これまで中田さんがおこなってきたスパイクの採寸方法とは異なり、職人の腕と勘、そして経験に基づく方法だ。
中田さんとフランソワの会話は、やはり、左足の親指の付け根の骨の話が中心になる。何度も出ている骨の部分を触って確かめ、「フランソワも足の骨が出ているそう。僕は上に出ているけど、フランソワは横に出ていて。足の悩みを理解してくれているようです」
一通り採寸が終わると、つぎは、デザインの選択に移る。中田さんの希望は、ずばり「一生履ける、きれいなローファー」だ。
中田英寿、ジョンロブの職人と対峙する(メジャーメント・2)へつづく
ジョンロブ「ビスポーク」
価格|99万3600円~
※同一ラストでの2足目以降は89万1000円
期間|メジャーメントから約4カ月でトライオン(仮縫い)、さらに約4カ月後に納品
ジョン ロブ ジャパン
Tel. 03-6267-6010
http://www.johnlobb.com/jp