STUDIOUS|ステュディオス谷 正人×建築家 谷尻 誠対談(1)
STUDIOUS|ステュディオス
STUDIOUS代表取締役CEO 谷 正人×建築家 谷尻 誠(1)
“STUDIOUSの白”の意味と価値
2月28日(金)、STUDIOUS代表の谷 正人氏が「大人のSTUDIOUS(ステュディオス)」という、新ショップ「STUDIOUS 神南店」が渋谷・神南エリアにオープンする。今までステュディオスでは扱いのなかったコレクションブランドをメインに、より大人で高感度なファッショニスタを対象としたショップは、2フロア・約100坪の大型店だ。谷氏の対談二回目は、この新ショップの内装を手がける建築家の谷尻 誠氏をゲストに、ステュディオスの魅力に迫る。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by SUZUKI Simpei
あらゆる複雑さを内包した一つのシンプルな“白”
谷 正人 谷尻さんとはステュディオスが取り扱っているブランドのデザイナーさんからの紹介でお会いしたのが最初でしたね。ステュディオス5周年を迎えるときに、「ステュディオスのショップの内装と、キーカラーの白を見直そう」と思ってお会いしました。実際にお会いして、いろいろ話をしたんですが、谷尻さんにお願いするとどうなるのかを想像することができませんでした(笑)。でも、このひとなら、今までないようなあたらしいモノが生み出せるだろうなと思い、リニューアルをお願いしました。
谷尻 誠 2012年3月に原宿本店のリニューアルと2nd原宿店の2店舗が最初の仕事でしたね。「ステュディオスの“白”とはどんな白だろう」ということだけで谷さんと3回ほど話した覚えがあります。
谷 内装のリニューアルは、白をどう定義するかがいちばんのポイントでした。僕は、原宿イコール東京と思っていて、原宿はいろんなモノを発信し、個性が際立つ場所。あたらしいカルチャーが生まれてくる場所でもある。そこで、僕たちはいろんな色をもったTOKYOブランドを売りたいと思って起業したわけです。
谷尻 原宿という街は、いろんなモノが混ざり合った場所で、ステュディオスの白は、“シンプルで何もない白”ではなく、“複雑で多様な白”ということが話していってわかりました。
谷 それがお互いの共通認識になりましたね。
谷尻 一枚の紙に、白とは何かを書き込んでいくと、多様な解釈が生まれてきて、その紙はやがて黒く埋まる。ステュディオスの白は、そうしたあらゆる複雑さを内包した一つのシンプル“白”でありながら、ほかの白とは圧倒的にちがう白なんですね。
「あ、こういうことなんだ」と納得できたリニューアル
谷 内装のイメージは、「自分たちが意思あるモノをきちんと選んで、どういうふうに伝える場をつくるか」がポイントでした。空間が主張する必要がないことも5年間やってわかったし、商品が前に立つように、ステュディオスの白を定義したかった。
谷尻 白はそんなに単純なモノではないので、谷さんと話をすればするほど、色の解釈が深まっていきましたね。
谷 そうしてリニューアルの工事に入って、谷尻さんが手がけた内装を最初に見たときは、「あれっ?」と物足りなさを感じたんです。それから一週間ほどかけて、店に商品をならべて、ディスプレイをして、スタッフが店にいて、オープンしてお客さんが入ったら、「あ、こういうことなんだ」と。そこで初めて完成した実感がわいたんです。
あたらしいステュディオスは、シーズンで服ががらっと替わったり、あるいはスタッフが変わったりしても、いつもあたらしい見え方をする。そういう店は飽きないですね。内装が主張しすぎず、長つづきするだろうなと思いました。
谷尻 ありがとうございます。ブティックのインテリアを作るって、今の流行を押さえて、短いサイクルのことが多いんです。今っぽさはもちろん必要ですが、自分は建築的観点でインテリアをとらえているので、もっと息の長いものになってほしいという思いがあります。
谷 谷尻さんと話をしていると、「どこどこの何っぽい~」っていうのが絶対に出てこない。だから最初想像できなかったんですが(笑)。谷尻さんには、原宿本店と、向かいのセカンドを同時にやっていただき、渋谷パルコのレディスの旗艦店と、大阪の初の路面店の南堀江店のリニューアルもお願いしました。
“ステュディオスの人格”が発信するもの
谷尻 自分は、シンプルななかであたらしさを考える、地味な感じが面白いと思っています。世の中って、何かが変わると、「変わりました!」という主張が強いですが 一つのアイデンティティをもってやりつづけることで、気づかないうちに社会に世界観が広がっていくのがいい。いかにも「やりました!」ってお店を作ることももちろんありますが、“ステュディオスの人格”を深く知って、僕らもぶれないように考えを変えればならないと思いましたね。
谷 谷尻さんが手がけたリニューアルが終わったときに、最初はスタッフも、「シンプルすぎて大丈夫?」って思いでしたが、お客さまを迎えて、徐々に「内装の意図はこういうことなんだ」ということがわかると、印象ががらっと変わって、スタッフが自信をもって発信していけるようになったのが印象に残っています。まだ数店舗のリニューアルが残っているので、早く内装を変えてほしいとスタッフから声が上がっています。
谷尻 それはやりがいがありますね。
STUDIOUS代表取締役CEO 谷 正人×建築家 谷尻 誠対談(2)につづく
「STUDIOUS 神南店」2月28日(金)オープン
店舗は2フロア構成で、1階はSTUDIOUSオリジナルアイテムのフルラインナップが揃い、あらたな試みとして新興TOKYOブランドを1シーズン毎にフューチャーした「Incubate corner」や、海外からのお客さまへ向けたTOKYO独自のファッション雑貨をラインナップした「TOKYO SOUVENIR」を展開。
2階では「Dress」「Traditional」「Sport」「Mode」の4カテゴリーをSTUDIOUS独自に解釈しエリアを分け、展開ブランドは既存のSTUDIOUSでは取り扱いのなかった海外でも高い認知度を誇るTOKYOブランドをセレクト。神南店オープンから取り扱いがはじまるブランド、「N.HOOLYWOOD COMPILE LINE」のオープニングインスタレーションを開催する。
<brands>
N.HOOLYWOOD、White Mountaineering、ATTACHMENT、KAZUYUKI KUMAGAI、ato、soe、Scye、08sircus、MofM(manofmoods)
MIHARA YASUHIRO、foot the coacher、Y-3、ORPHIC、JAM HOME MADE、ED ROBERT JUDSON、GARNI and more..
STUDIOUS 神南店
東京都渋谷区神南1-5-19
Tel. 03-6277-5582
営業時間|12:00~20:00