今季的な気分を凝縮した靴|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョン ロブ
ドレスとカジュアルの境界を超える「HARBOUR」
異素材使いで見せるネイビーの競演
昨シーズンあたりから、ドレスシューズに変化の波が訪れつつある。スニーカーソールを組み合わせたものやアッパーに異素材を使うなど、様々なデザインが登場してきている。それが意味するのは、ドレスアップのための靴でありながら、さらなる可能性を秘めた靴になりつつあるということ。そのなかで個性を上品に主張するなら「HARBOUR(ハーバー)」をおすすめしたい。
Photographs by KOBAYASHI Takashi(ITARU Studio)Styling by INADA IsseiText by ITO Yuji
自由になるほど、ファッションは難しい
いまドレスシューズといっても、そのバリエーションは実に幅広い。トレンドに合わせ、スポーティなスニーカーソールをミックスしたものやレザーではなくファブリックをアッパーに使ったものなど、個性的なデザインがさまざまなブランドから展開されている。こうした靴が人気を集めるのは、ルールにとらわれることなくファッションを楽しみたい、という男の願望でもある。
身体に合ったスーツにタイドアップ、足元はプレーントゥかストレートチップ。ビジネスシーンにおいては、これもひとつの正解だが、いまどきなお洒落に関していえば正統な装いだけが答えではない。スーツはお洒落着であり、インナーにカットソーを合わせることもあるし、そうなると足元は正統なルールが当てはまらなくなる。
このように自由を与えられた途端、メンズファッションは難しいものとなる。ルールがあるからこそドレスアップは簡単で、ルールがないからこそカジュアルは難解なのである。しかし、その両方にふさわしい靴がジョンロブから登場した。それが「HARBOUR(ハーバー)」である。
ネイビーの靴が着こなしの自由度を高める
ファッションの難しさというのは、多くの場合、バランスにある。簡単にいえばジャケットとインナー、服と靴というように各アイテムがもつ雰囲気をいかに組み合わせるかが重要だ。その加減が繊細になるほど、一般的にはお洒落が上手ということになる。ジョンロブの新作である「ハーバー」は、そのドレスとカジュアルの境界を、デザインの力によってクリアした魅力的な靴となっている。
4アイレットのダービーシューズというベーシックなデザインを、クォーター部分にキャンバスを使い、従来のドレスシューズにはないカジュアル感をミックス。このディテールは今シーズンの新作ブーツ「ENDEL(エンデル)」と同じ「キャンバス・ストーリー」に位置するもので、ビスポークのアーカイブがデザインソースとなっている。
そして「ハーバー」の魅力を一段と高めているのが、ネイビーの発色である。キャンバスはカーフと同様に深く、繊細かつ耽美な色合いになっており、これは何度も試行錯誤を繰り返したのちに生まれたという。清潔感、誠実さ、美しさという魅力を兼ね備えたネイビーの靴がもたらすのは、より自由で洒脱な着こなしといえるだろう。
モデル名|「HARBOUR(ハーバー)」
色/素材|Navy Calf×Navy Canvas
ラスト|8695
ソール|シングルレザーソール
製法|グッドイヤーウェルト製法
価格|24万8400円
サイズ5E~9.5E