デザインの真髄が宿る靴|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョンロブ
「AIRE」で魅せる足元をつくる
複合的な要素を集約するデザイナーの技
デザインは足すこともできるし、引くこともできる。その線引きをジャッジするセンスこそがデザイナーの腕の魅せどころ。アーティスティックディレクターであるパウラ・ジェルバーゼは、それをいかに料理したのか。その答えとなるのが「AIRE(エール)」という新作のダービーシューズだ。
Photographs by KOBAYASHI Takashi(ITARU Studio)Text by ITO Yuji
過去の人気モデルに現代の息吹を宿す
靴のデザインを大別すると内羽根式のオックスフォード、外羽根式のダービー、そしてバックル、スリッポン、ブーツなどがある。それらのデザインを基本として、ディテールや装飾をアレンジすることで、ほとんどの靴はその枠組みのなかに集約される。
だがジョンロブは、その枠組みさえも超えた靴づくりをビスポークでおこなっている。顧客のニーズに合わせ、たった一足のために素材を選び、必要であればあたらしい技術さえも生み出す。
その革新性があるからこそ、レディ・トゥ・ウエアのコレクションについても、他には真似のできない靴が登場するのだ。
アーティスティックディレクターのパウラ・ジェルバーゼは、その膨大なアーカイブを一度すべて理解し、自分なりのイノベーションをくわえて、現代にふさわしいモダンな感性を靴に宿す。そのセンスの良さが発揮されたのが、現在はディスコンとなった「SADDLE(サドル)」のようなディテールをもつ新作「AIRE(エール)」なのである。
英国らしさをデザインとしてツイストする
2015SSのジョンロブの新作には4つのスタイルがある。そのうちのひとつが「サドル・ストーリー」。伝統的なダービーシューズの羽根部分をツイストさせたデザインは英国の地方をルーツにもつ、ジョンロブらしさを表現したものといえる。
「エール」は、極めてエレガントな表情をもつダービーシューズとなっている。だが、単なる外羽根式に留まらず、過去のモデルに採用されていた意匠はスコットランドやアイスランドを発祥とする、ギリーシューズにも似た顔立ちを採用することで、英国らしさが色濃く映し出されている。
この靴を洒脱にはきこなすのであれば、休日のドレスアップがふさわしい。インナーにネイビーやカーキといった強めの色のシャツを合わせ、首元にはさらりとスカーフを巻いた、装いを楽しむためのスーツスタイルなどが好相性。その足元に「エール」を合わせれば、遊びのスーツの着こなしにも奥行きが生まれるのではないだろうか。
モデル名|「AIRE(エール)」
色/素材|Black,Navy,Claret/Calf
ラスト|8695
ソール|シングルレザーソール
製法|グッドイヤーウェルト製法
価格|29万1600円
サイズ5E~9.5E