トラッドこそ英国的解釈で|JOHN LOBB
JOHN LOBB|ジョン ロブ
チャッカブーツをリファインした「FERRIS」
アーカイブからインスパイアされたブーツ
トラッドやクラシックといった、ベーシックなスタイルが注目されている今シーズン。そのなかでさり気ない個性を演出するなら、こだわるべきはチャッカブーツ。ジョンロブの新作となる「FERRIS(フェリス)」は、オーセンティックなファッションにモダンなテイストを添えてくれるだろう。
Photographs by KOBAYASHI Takashi(ITARU Studio)Text by ITO Yuji
本質を極めた、上質なモノを選ぶ時代に
スーツであればダブルブレスト、3ピースというように、今季はクラシックなアイテムが主役となりつつある。もちろんクラシックとはいえ、細部のディテールやシルエットはモダナイズされており、素材もこれまでより上質なモノを求める傾向にあるという。つまり、消費者である世の男たちは一過性のデザインよりも長く着られるクオリティの高いモノへと興味の対象をシフトさせている。
このことをふまえると、デザインはよりシンプルなものが好まれ、お洒落の差別化は難しくなってくる。しかしそこにこそ、メンズファッションの醍醐味がある。着こなしのルールのなかで、いかにさり気なく違いを演出するか、そして自分らしいスタイルをどのように構築していくか。
そこで参考にしたいのがダンディの祖といわれる、ボー・ブランメルの言葉である。「街を歩いていて、他人に振り返られるようでは凝りすぎである」。お洒落とは人と違うことではなく、いかに目立たずに自分が気持ちいいとおもえるスタイルを実践するか、という真髄に迫るならぜひ手に入れておきたいのが「FERRIS(フェリス)」なのだ。
はき心地が大幅に進化したチャッカブーツ
コバの張り出しが少ない3アイレットのチャッカブーツ「フェリス」は2アイレットが主流のアメリカ的デザインと比較して、端正な顔立ちとなっている。そのインスパイア ソースとなったのが、ジョンロブの過去のビスポークのアーカイブ。ベースとなるモデルをパウラ・ジェルバーゼが手がけただけに、正統ながらもモダンな仕上がりとなっている。
チャッカブーツという定番の靴を独特の感性でアップデートさせたデザインは、さり気ない違いを演出するにはうってつけの一足といえる。また見た目には大差がなくとも、アンライニング仕様のヴァンプやナチュラルカラーのウェルトとソールによって極上のはき心地となっているので、身につけているひと自身が気持ちいいのはいうまでもない。
スーツのカジュアルダウンとして、またネイビーのジャケットにやや太めのチノパンを短丈で合わせるといったクラシックなスタイルに「フェリス」はよく似合う。他人の目線を気にすることよりも、自分が心地よくあるためにファッションを楽しむ。そうした成熟したスタイル観をもった男にこそ、はいてほしい一足だ。
モデル名|「FERRIS(フェリス)」
色/素材|Parisian Brown,Bruinn/Suede
ラスト|8695
ソール|シングルレザーソール(ナチュラル)
製法|グッドイヤーウェルト製法
価格|25万9200円
サイズ5E~9.5E