シューズデザイナー勝川永一が語る最新コレクションのコンセプト|H? Katsukawa from Tokyo
H? Katsukawa from Tokyo|エイチ カツカワ フロム トウキョウ
「山に登るがごとく、都市のなかを機動性をもって駆け抜ける」
デザイナー勝川永一が語る最新コレクション
11月10日(火)まで伊勢丹新宿店メンズ館地下1階=紳士靴で開催される「JAPAN靴博2015」に、「土に還らないものは世の中に悪い」という考えのもと、オリジナル素材である“ニベ革”を使用した「土に還る靴」を出展しているシューズデザイナーの勝川永一氏。彼のブランド「H?Katsukawa From Tokyo(エイチ カツカワ フロム トウキョウ)」で今シーズン展開している最新コレクションについて話をうかがった。
Photographs by SUZUKI Shimpei Text by KAJII Makoto (OPENERS)
新レーベル「CITY CLIMBING」とは?
東京・田園都市線の池尻大橋駅近くで、靴のリペアショップ「シューオブライフ」を営みながら、自身でデザインした靴を展開しているデザイナーの勝川永一氏。今シーズン、新レーベルの「CITY CLIMING(シティ クライミング)」を世に送り出した。
「2007年のブランドスタート以来、靴を通じて生活のなかで豊かさを感じてほしいと、革の素材感にこだわったものづくりをつづけてきました。ただ、2011年の“3・11”をきっかけにして、身につけるモノ=身を守るモノというように人びとの意識が変わり、自分自身も意識するようになりました」と勝川氏。
そんな防衛本能的な意識が、ファッションとしてアウトドアメーカーの服を着たり、街で機能性の高いクライミングブーツを履いたり、バッグを両手が使えるデイパックに変えたりという行動につながっているという。
「私たちは都市のなかで、アートや実用や装飾や機能など、さまざまなものに囲まれて生活していますが、フットウェアの機能を増しながら、皮革のよさを合体したプロダクトをつくりたいとおもっていました。それがこの新レーベル、シティ クライミングです」
山に登るがごとく、都市のなかを機動性をもって駆け抜ける、移動するための靴は、最高のクオリティで仕上げたチロリアンシューズや、ビブラムモールドソールを使用したレザースニーカーとして登場した。
都市生活者のための天然皮革とデザイン
シティ クライミングの目玉アイテムは、チロリアンブーツの短靴とブーツで、アッパーの革はシャークスキン、オーストリッチ、クロコダイルのエキゾチックレザー3種類。「シャークスキンは日本の気仙沼で獲れたヨシキリザメの革で、素材からなめしまで日本でおこなっています。使ってみると、ヨーロッパの靴にはない雰囲気で、とても柔らかく、海のモノなので雨に強いのが特徴です。黒いマットのオーストリッチは昔から好きな風合いで、ラージスケールのクロコダイルは竹符がそろってきれいに仕上がっています」と勝川さん。
「日本国内では技術的に手でモカを縫うのが難しくなっている」という職人の技に、素材感がしっかり出るエキゾチックレザーを合わせることで、「革のもつ素材感はもちろん、革の機能も感じてほしい」と語る。
「シティ クライミングシリーズは、グッドイヤーウェルテッド製法で、フィット感を高めるために、横からも踵(かかと)をホールドする革のロングカウンターを採用しています。現在ではロングカウンターを使う手間を省く靴も多いのですが、自分自身の“履き心地の良い靴”“ コンフォートのつくり”には不可欠なので、手間のかかる製法にこだわっています」
都市で快適に履きこなせるギアとしての靴
シティ クライミングシリーズでは、履き口を厚くして、機能性を増しているレザースニーカーもラインナップ。「革とスニーカーの機能はどちらも都市生活に必要なもの。シティ クライミングでは、都市生活者がより感度が高く、より快適に機能的にも精神的にも満たしてくれるギアとしての靴のバリエーションを前向きにそろえていきたい」と言う。
チロリアンブーツの価格は、シャークスキンの短靴が7万5600円、ショートブーツが8万2080円、オーストリッチの短靴が9万5040円、ショートブーツが10万2600円、クロコダイルの短靴が10万8000円、ショートブーツが11万8800円となっている。
「JAPAN靴博2015」
日程|11月10日(火)まで
伊勢丹新宿店メンズ館地下1階=紳士靴売場
東京都新宿区新宿3-14-1
Tel. 03-3352-1111(大代表)
H? Katsukawa From Tokyo
Tel. 03-3467-8766
http://hkatsukawafromtokyo.net