salvy;|2014-15年秋冬コレクション
salvy;|サヴィー
ブランドコンセプトを軸に、少しずつ改良をくわえている2回目の秋冬シーズン
新セットアップスタイルで、ブランドの男性像を表現
昨年の秋冬シーズンにデビューし、1周年を迎えたブランド「salvy;(サヴィー)」。伝統的な技術や文化を根底とした、日本人だからこそ表現できることの追求をテーマに、国内外のインターナショナルブランドで経験を積んだデザイナーの郷 裕一(ごう ひろかず)氏と、さまざまなブランドの生産をおこなう国内の大手工場がチームとなって、“日本”の技術力を背景とした高品質なプロダクトを提案している。
Text by KAJII Makoto (OPENERS)
いま求められている空気感を探求し、創造する
――2014-15年秋冬コレクションのテーマ/コンセプトは?
シーズンテーマはとくに設定していませんが、ブランドコンセプトでもある「伝統的な技術や文化を根底とした、日本人だからこそ表現できること」を常に追求したコレクションを展開しています。
――今シーズンのルック撮影でこだわったポイントと、注目してほしいところは?
毎シーズン、ファブリックの開発からスタートしているのですが、今シーズンは上質な原料から織りなす、生地本来の色気を表現するために、光の入り方や角度など、細部にこだわり撮影をおこなっています。
――スタイリング、シルエット、カラーなど、昨年の秋冬コレクションとのちがいは?
ブランドコンセプトを軸に、すべてにおいて少しずつ改良をくわえています。スタイリングでは、このブランドの男性像を表現するためにあたらしいセットアップスタイルを提案しています。また、独特なパターン構成により表現される、空気を孕(はら)むようなシルエットと、上質な生地による自然な膨らみは、袖を通すことで、身体に馴染んでいくようなあたらしい感覚を味わうことができると思います。
――今シーズンのキールック(コーディネイト)は?
まず、ランダムチョークストライプセットアップのルックです。上質な原料で織り上げたオリジナルのランダムチョークストライプ生地を使用し、なめらかな風合いと艷やかさを引き立てるため、シャツスタイルでのセットアップを提案しています。ジャケットとのセットアップとは違い、少し遊び心の効いた大人のスタイルにしました。
もうひとつは、キャバリーツイルフードコートのルックです。全体的にどこか力が抜けたような自然体なルックを作るため、アームホールをなくしリラックス感のあるパターン構成を用いて制作したオーバーコートと、三重織オックスフォードを使用したベーカーパンツは、織り上げる際に糸と糸の間に空気を含むことにより、生地本来の自然なストレッチ効果が生まれ、見た目以上にストレスフリーなスタイルとなっています。
生地発想の、自分で育てるジャケット、トラウザーズ
――キーアイテムとキーカラーは?
キーアイテムは、備前1号ツイルのネイビーセットアップです。毎シーズン提案している高密度ツイルですが、これ以上打ち込みができないというくらいの限界まで高密に織っているため、微起毛加工をほどこし風合いをなめらかにしています。1年ほど着込んでも生地が弱ることはなく、ある程度(2、3年)着込んでいくことを想定した、自分で育てるジャケット、トラウザーズを提案しています。サヴィー定番のセットアップスタイルを、今シーズンはネイビー、カーキの新色をくわえて提案しています。
もうひとつは、タスマニアフリースクルーネックジャケットです。上質なタスマニアウールを丸編みでゆっくり編み立てたニットフリースで、起毛、縮絨(しゅくじゅう)を何度も繰り返しおこない、暖かく柔らかな風合いを作っています。全体的に3本針で縫製しているためステッチワークがデザインのポイントにもなっていて、インナーやアウターの襟元に干渉しないクルーネックはレイヤードスタイルに最適なアイテムとして提案しています。チャコールのほかにロイヤルブルー、グリーンは今シーズンのキーカラーにもなっています。
――今シーズンこだわった「素材」は?
「こだわった素材はすべてです」とお答えしたいところですが……、そのなかでも、かなりの時間を要しましたが、柄のデザイン、糸の選定まで特にこだわり抜いた素材がランダムチェックです。原糸にメリノウールの梳毛糸を使用し、ランダム(ヘリンボーン柄、右綾、左綾)にチェック柄を組み、ブルーの線は綿の絣染め糸を使用しています。線が見え隠れする絣独特の味わいをチェック柄の中に溶け込ませ表現したこだわりの素材です。
<主な取り扱い店>
International Gallery BEAMS、URBAN RESEARCH、L'ECLAIREUR(PARIS)、その他は(http://salvy.jp/stockist/index.html)を参照
ELIGHT Inc.(イーライト)
Tel. 03-6427-7744
http://salvy.jp/