名波さんが納得する、好きな靴のタイプとは？

松田智沖　名波さんが紐タイプの靴をお好きなのはなぜですか？

名波 浩　やっぱりサッカーのスパイクの影響なんでしょうね。ジョン ロブなどの革靴もちゃんとシューツリーを入れて保管していますが、スパイクもプラスチック製のシューツリーを必ず入れて、試合前に紐をきちんと結んでいくのが自然のことなんです。ですから、今日のようにスーツを着たときも、玄関で靴紐を順に結んでいくと気合いが入りますね。

松田　スパイクでも好みがあるんですか？

名波　重い靴が好きなんですよ。軽さを求めている現在のようなスパイクはダメで、存在感がないとダメ。おろしたてのスタートは足にきつめで、ヒールカップはちょっと遊びがあって、それを履いていくうちに緩くなっていくのが好きですね。

松田　なるほど。ジョン ロブの靴もヒールカップにはご意見をいただいていて、私たち日本人は欧米人に比べて踵（かかと）が若干小さいので、お客さまのなかにはまれに「ジョン ロブは靴の踵が抜ける」と言われることもありますが、踵の遊びは感じますか？

名波　靴によっては感じますね。あと、靴の製造国はよく見ますね。現役時代はきつめのスパイクを履いていましたが、ひざをケガしてからは、日々足のサイズが変わるんですよ。最初は26センチだったのが、最後は27センチを履いていました。

松田　ケガってそういうところにも影響が出るんですね。

2014年にはジュビロ磐田の指導者の一員として──

松田　現役を引退されて一年、名波さんはお話が上手だなとテレビを観ています。

名波　そうですか？ ありがとうございます。

松田　テレビで普通に話すことって難しいと思うんですが、名波さんは話し方がなめらかで自然でとても聞きやすいですよね。

名波　引退して楽しくやれていますね。自分の好きな世界なので、なんら苦じゃないし、まだまだ勉強中ですが、楽しくなりそうな感じです。

──外からサッカーを見られて、名波さんのサッカー観に変化はありましたか？

名波　いや、サッカー観はまったく変わりませんね。僕は小学校高学年のときに、背も大きくない、足も速くない、身体能力もない、右足で蹴れないという自分を客観的に見て、そのときに養ったサッカー観がそのままいまも継続していて、ブレずに筋が通っています。

松田　それはすごいですね。

名波　靴とか服などもそうですよ、好きな感じはだいたい決まっているんですが、買って帰るとタイプが似ていると怒られる（笑）。僕にしてみれば細かいところが違うんですけどね（笑）。

松田　男にはそれはよくあります（笑）。

──名波さんは将来的にはやはり指導者ですか？

名波　ライセンスがまだA級、S級と2段階あるので、すべてクリアしてからですから、まだ約2年かかりますね。

松田　サッカーはライセンスを得るのが大変ですね。

──日本代表経験者はキャップ数によって特進があるとかなにかしらの恩恵があってもいいですよね。

松田　現在は磐田のアドバイザーですが、ジュビロ磐田はいかがですか？

名波　今季は韓国人プレイヤーが多く入って、昨季得点王の前田選手などとどう連動するか楽しみではありますね。あと4年後のワールドカップブラジル大会のときには、ジュビロで指導者としてなんらかのかたちで携わっていると思います。

松田　名波さんのような代表経験者は、4年間のスパンで人生設計を考えるようになるんですか？

名波　93年のドーハの悲劇のときが大学2年で、その当時は4年ごととは思わなかったですが、自分がワールドカップを経験してからは4年スパンがものさしのようになっていますね。

名波 浩（ななみひろし）
1972年 静岡県生まれ。清水商業高校卒業後、順天堂大学に進学。高校時代には2度の全国高校選手権、高校総体を制する。順天堂大学卒業後、ジュビロ磐田に入団。1999年、イタリア・セリエA ACヴェネチア(現SCCヴェネチア)に移籍。翌年にジュビロ磐田に復帰。J1通算314試合34得点、J2通算17試合、イタリア・セリエA通算24試合1得点。国際Aマッチ通算67試合9得点。現役引退時より、ジュビロ磐田アドバイザーとして活躍する。

ジョン ロブ ジャパン
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