ゲスト:重松 理さん_1
Fashion
2015年5月14日

ゲスト:重松 理さん_1

重松 理さんに聞く_1

連載第一回目にお招きしたのは、オウプナーズの連載 『重松 理の「足跡」』 でもさまざまな靴を紹介されているユナイテッドアローズ会長の重松 理氏。靴の話、ファッションの話からブランドの未来像にいたるまで、3回を通じてお聞きしていきます。どうぞお楽しみに。

photo by Yuichi Sugita(BIGHE)edit by Daisuke Hata(City Writes)

ジョン ロブ 丸の内店にて

ロングノーズが今の気分

松田智沖 連載を毎回興味深く拝見させていただいておりますが、本当にたくさんの靴をお持ちですね。

重松 理 そうですね、ただ持っているというよりは、捨てなかっただけなんですけど。それでも去年100足くらい捨てたんですよ。

松田 100足ですか!? 豪快ですね。重松さんの連載3回目ではジョン ロブのサイドレースの靴をご紹介くださいましたが、あちらは最近も履いてくださっていますか?

重松 正直言うと、最近あまり履いてんです……。

松田 あはは(笑)。

重松 というのも僕はその時々でファッションを変えるんですね。それによって履く靴も変えていくから、あんなに靴がある(笑)。僕の中では、今は極端なロングノーズが気分なんですよ。

松田 そうですか。重松さんが求めていらっしゃるほどではないかもしれませんが、最近のコレクションにはノーズの長めなものがたくさん出てきました。

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重松 ええ、かなり長くなってますね。

松田 7000番ラストを進化させたスクエアラスト8000番なども比較的長いですね。最近は内側へスイングした“コンフォートラスト”もご好評いただいています。日本限定というわけではありませんが、日本人に適したラストを作ったと本国からは聞いております。

重松 大分内側へ振ってますね。綺麗な木型だ。

松田 ありがとうございます。ジョン ロブとしては大胆な変化だと思います。以前、私がジョン ロブ ジャパンに着任し、最初に重松さんと岩城哲哉さん(ユナイテッドアローズ代表取締役社長)にお話させていただいたときに、『ジョン ロブはどういう方向に向かえばいいか』というのをお聞きしたんですね。そのとき岩城さんが『ジョン ロブの靴はたしかに素晴らしいけれど、切手をコレクションしているようにあれも買ったこれも買った、全部持っているような気がする』とおっしゃったことがすごく印象に残っていて。歴史と伝統を重んじるブランドであっても、進化することが不可欠だと強く感じました。

重松 そうですね。でも少しずつ進化しているのはたしかだし、お客様も同じスピードでついてきてくださっていると思いますよ。クラシックな靴が好きなお客様に支えられているというのは、素晴らしいことだと思います。

左/重松氏の足下、右/松田の足下

松田 ところで今日お召しのスーツはどちらのものですか?

重松 ソブリンハウスのパーソナルオーダーで誂えたものですね。

松田 誂える際になにかイメージされたスタイルはあったのでしょうか?

重松 UAの束矢の服というのはそもそも、'60年代後半から'70年代初頭にかけてのフレンチスタイルがベースなんです。僕が最も尊敬するデザイナーもイヴ・サンローランですね。世代的にもアメリカンスタイルから来て、ヨーロピアンに変わったときの一番の憧れでしたから。これも2B、ナローショルダー……と、当時のフレンチスタイルがベースにはあります。ちなみに、当時は足が小ぶりに見えた方が良かったので捨て寸の短い靴を合わせるのが主流でしたが、今それをやるとどこか違う。やはりノーズが長くないとしっくりこないですね。

松田 流行したスタイルがそのまま戻るということはありませんよね。

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内振りの強いラスト「1306」ベースの「OAKHAM」

重松 ありませんね。ただ、自分も80年代に入る頃に70年代のファッションを振り返ったときは『何で自分はあんな格好をしていたんだろう、恥だな』と思いましたが、不思議なもので30年経つとファッションの『流れ』は一周して戻るんですよ。まあ、25才のときに着ていた服が、55才になってそのまま着られるわけもないのですが(笑)。

重松 理さんに聞く_2につづく

           
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