世界のヴィンテージファンが一堂に会せる場をつくるために

──前回のインタビューの際、『My Freedamn!』の世界観をさらに広げるイベントを実施したいとおしゃっていましたが、今年2月には早くも実現するそうですね。

はい。2月の12日、13日に、いきなり2000人規模で実施します。しかも会場は、ロサンジェルスのサンタモニカエアポート内にあるバーカー・ハンガーというハンガー（飛行機の格納庫）。そこは1954年につくられたもので、そもそもこの地を拠点にしていたダグラス社の輸送機DC3の格納庫だったところです。

──すごいですね。まさにイメージにぴったりじゃないですか。でも、よく貸してくれましたね。

実際、普通は貸してくれるような場所じゃないんですが、世界的なヴィンテージのイベントをやるために、と説明したらYESといってくれたんです。

──なるほど。しっかり思いが伝わったというわけですね。では、あらためてここでイベントの概要について教えていただけますでしょうか？

今回は『インスピレーション』と銘打ち、アメリカを中心に世界中のヴィンテージウェアファンが集まるイベントを開催します。さまざまな展示ブースが用意され、バーカー・ハンガーをヴィンテージで埋め尽くしたいと思っています。3つのスペシャル展示ブースを筆頭に、ヴィンテージ古着系ブースが31、ファッションアーカイブブースが3、ファッションブランドブースが13、カルチャーリサイクリングブースが8、アーティストブースが10、そしてチャリティガレージセールに5名が出展する予定です。

──見本市ではなく、この場で商材の売り買いができるんですか？

サンタモニカエアポート内にあるバーカー・ハンガー

ええ、もちろんそうしようと思っています。ただし、たんなるスワップミートとは別のものにしたい。それが、このイベントをやろうと思った大きなきっかけのひとつでもありますから。『My Freedamn!』を丸6年手がけてきて思ったのは、いよいよスワップミートとヴィンテージを分けて考えなきゃいけない時期に来ているな、ということです。やっぱりスワップミートで2000ドルの商品なんてナンセンスですからね。ですが逆に、ヴィンテージの熱自体は世界中に広がりました。きっかけは日本市場でしたが、いまはむしろ、ヨーロッパの人やアメリカ人の方がお金を出す人が増えました。だったらこのへんでそろそろ、世界のヴィンテージファンが集まってモノや情報を売ったり買ったりする場が必要なんじゃないかと思ったわけです。

──そういう人がアメリカを中心に2000人集まるということなんですね。

本当はもっとたくさんいるのかもしれませんが、これ以上大きくなるとセキュリティの問題とかも出てきて楽しくなくなっちゃいますから。とくに今回は第一回目ということで、『My Freedamn!』に協力してもらった人々を中心に、本当にわかっている人で楽しもうよ、というものにしたかったんです。

毎回「キング・オブ・ヴィンテージ」のスペシャル本も同時刊行

──イベントに合わせて新しい本もつくったんですよね。

このイベントでは毎年ひとつ「キング・オブ・ヴィンテージ」と銘打ったメインブースを設け、その人（あるいは団体）のもつアイテムによるスペシャル本も出します。この本はあくまでもイベント用ということで『My Freedamn!』とは別にシリーズ化しようと思っています。第一回目の今回は、ラリー・マックカーハン氏率いるシアトルのヴィンテージショップ『ヘラーズカフェ』を「キング・オブ・ヴィンテージ」としてフィーチャーし、ここのアイテム約300点を掲載した本をつくりました。部数は限定3000部。そのうち1000部は日本での先行発売とし、2009年12月24日から販売しています。残り2000部はイベント当日に現地で販売する予定です。
今回は初めての特別な試みということで、ラリーさんもずいぶん気合いを入れてくれて、これまでなかなか見ることのできなかったアイテムを数多く出してくれました。僕自身もこれまで『My Freedamn!』ではあまり触ってこなかった貴重なデニムやワークウェアを見ることができ、また新しい勉強をさせてもらいました。

──この本もイベント同様、見逃せないですね。

ええ、期待していてください。