ブランドGRIFFINデザイナー JEFF GRIFFIN インタビュー(前編)
Fashion
2015年3月10日

ブランドGRIFFINデザイナー JEFF GRIFFIN インタビュー(前編)

"グリフィン"デザイナー

"ジェフ・グリフィン" インタビュー

単なるファッションではなく、クリエイティヴなデザインフォースとしてその存在意義を提案しつづけているファッションブランド"グリフィン(GRIFFIN)"。
ミリタリズム、コンバット、スポーツウェアの要素をミックスしたその服は、実用的な意図を持って本物としての価値を見出すことができる。
今回は、デザイナーのジェフ・グリフィン(JEFF GRIFFIN)氏に、デザイナーとしての成り立ちからブランドの方向性までのグリフィンのすべてを、インタビュー シリーズとして2回にわたってをお贈りする第一回目。

まとめ=金子英史(本誌)Photo by Jamandfix

──ファッションデザイナーになったキッカケをおしえてください。

16歳の時に、ファッション カルチャーの道にすすむことを決めたんです。
スキンヘッズやロッカーズの連中から逃げまわる毎日から、自分の生活を変えるためでした。それがこの道にすすんだキッカケです。セントマーチン大学卒業後にイタリアへ服づくりの修行に行き、そのあとイギリスに戻って、94年にブランド"グリフィン"をスタートさせました。

自分でブランドをはじめた理由は、80年代のギラギラしたファッション シーンへのアンチ的な部分からなんです。それはキャット ウォークショウで発表されているようなコレクションとは、ちがう服をつくりたかったんですよ。よりエッジなもの、そしてスポーツウェアーのタッチのコレクションをつくりたかった。だから自分ではじめたんです。
"グリフィン"には、ミリタリーだったりアート、そしてスポーツのテイストが入っているのですが、それにちょっとしたジョークのテイストもくわえているんです。ちなみに、僕のブランドはそのときからインターネットを活用していたのですが、当時ヨーロッパでネットを利用した商売やプレス業務を行っていたブランドはほとんどなかったので、それはとても先進的なことだったと思いますよ。
"グリフィン"設立当初は、個人として他のブランドのデザイン コンサルタントやディレクターをしていたということもあったので、個人的な趣味というか自分のやりたいことをやりたいようにやって、ファッションで遊んでいたレーベルなんです。
結局、いまもそうなんですけれどね(笑)。

──スキンヘッズやロッカーズから逃げるというおはなしが出ていましたが、日本人にはすこし理解できない状況だとおもうのです。どのような状況なのか、ご説明いただけますか?

当時は、モッズやスキンズ、パンクス、テッツ、ニューロマンティックとか、そういった趣味趣向のちがうグループがたくさん存在していた時代なんです。それらのグループはスタイルだけではなく、思想までも統一していて、いわばそういう思想をもったヒトたちが、そういう格好をしていたという状況だったんですよ。それがもともとのイギリスのファッション スタイルなんだと思うんですけれどね。
それぞれのグループがいがみ合っていたわけではないのですが、なかには対立しているグループもいたんです。それらグループのなかでもスキンズはすごく攻撃的で、"自分たち以外はみんな敵"みたいな考え方だったから、どこにも属していなかった自分は、暴力的な彼らから戦わずして逃げるしかないという状況だったのです。

──80年代のファッションに対するアンチ的な部分から、ブランド"グリフィン"を立ち上げたとおっしゃっていましたが、それはどういうことなのでしょうか?

80年代のファッション シーンやキャットウォーク ショウへの"反発"という解釈でとらえられてしまうと、意味が異なってきてしまうのですが、キャットウォークショウが嫌いというわけではなく、当時そういったショウをやっていたブランドで、僕が"クール"と思えるブランドがなかったのです。
すごくカジュアルなデニムのブランドはたくさんあったけれど、いまみたいにストリート的な洋服がかっこいい時代ではなかった。その当時、ストリートファッションの中にスポーツテイストをいれた提案をしたかったのです。

──あなたのデザインはミリタリー テイストが強いように思われますが、いかがでしょうか?

メンズの洋服の歴史を振り返ると、原型となっているものが戦争で使われていたもの──たとえば、バーバリーのトレンチコートやマッキントッシュ、バラクーダと、どれも戦争時に使用されていたブランドで、戦時中に開発されたウェアが中心ですよね。

マッキントッシュとのコラボレーションコート

わたしは"グリフィン"のコレクションでは、単純に当時のミリタリーのアイテムをそのままレプリカとして"つくりなおしている"のではなく、現代のテイストにあったものに"つくりかえている"のです。
例えば、今季の"グリフィン"とコラボレーションしたバラクーダのアイテムであれば、最新のミリタリーの生地をつかっていたり、マッキントッシュのコートにしても、それ自体はクラシカルなミリタリーウェアが元となったコートですが、それにカムフラージュの柄と最先端の生地をつかうことで、より現代的なテイストを表現しているんです。また、それらに使用している素材は、じっさいの英国軍が使用している最新のモノを特別な許可をいただいて使用しているんですよ。
そういった解釈でミリタリーテイストを取り入れているのです。
それは、私にとって"アンディ・ウォーホールのポップアート的な感覚"なんですよね。

──ブランドのマーク、ハートのなかにピースマークはなにを意味しているのですか?戦争と平和ですか?

ミリタリーテイストのウェアにラブ&ピースのマークが入っていること自体がおもしろいかなと(笑)。
それともうひとつ、スキンズから逃げていたという自分の経験から「みんな仲良く!」という意味も含んでいます(笑)。

griffin

JEFF GRIFFIN(ジェフ・グリフィン)

1967年生まれ
1988年-1990年 セント マーチンズ スクール オブ アート ファッション デザインに卓越し、アートの修士号を取得する
1990年 イタリア GMV Gian Marco Venturi にて仕事をする。
1991年-1992年 リトルイタリーファミリー、T/Aボヤージ、GIAN MARCO VENTURE、VALENTINO、18-18、フェレ、アメリカニーノの仕事を手掛ける。
1992年 ロンドンに戻りVoyageで働く。
1993年 情熱と共にファッションブランド"GRIFFIN"のデザインをスタート
公式サイト|http://www.griffin-studio.com

           
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