ブランドGRIFFINデザイナー JEFF GRIFFIN インタビュー(後半)
"グリフィン"デザイナー
"ジェフ・グリフィン" インタビュー(後編)
ミリタリズム、コンバット、スポーツウェアなどの要素をミックスしたその服は、実用的な意図を持って本物としての価値であるということを提案しつづけているファッションブランド"グリフィン(GRIFFIN)"。
ひきつづき、デザイナーのジェフ・グリフィン(JEFF GRIFFIN)氏に、プロダクトへのこだわりや今シーズンのおススメを中心にインタビューした最終回。
まとめ=金子英史(本誌)Photo by Jamandfix
──デザイン的に、影響を受けた人やモノを教えてください。
やはりミリタリーというところがやっぱり影響を受けているかな。
それが大きなインスピレーションの元となっている対象で、あとは私が一緒に仕事をしているアーティストたちですね。旅行もコレクションに影響を受けているもののひとつです。それと、"グリフィン"はイギリスの素材とイタリアの素材だけを使用してつくっているのですが、それら素材からインスピレーションを受けたりもしますよ。
"グリフィン"は、セールスメインでイロイロなものをつくっていくという感覚ではまったくなく、本当に自分の趣味というか、やりたいことをやりたいようにやっているブランドなんです。
いまの仕事のスタンスとしては、かなりローカルなやり方でやっているんですよ。
たとえば友人の素材屋さんから素材を購入して、知り合いの工場で生産して、かなり限られたお店で、限られた数量で展開している。そんな風にできるのも、いろいろな人たちと近しい関係でやっているからなんですけれどね。
──ここ数年、バラグーダやバーグハウスなどとのコラボレーションものがおおいのですが、コラボレーションするブランドの選び方は?
コラボレーションするブランドに限っては、いっしょに楽しく仕事ができるということですね。
あとは私が尊敬できるブランドであることが第一条件です。バラクーダをえらんだ理由は、その名を聴いたら誰もがハリントンジャケットを思い浮かべるだろうし、イギリス人にとっては小さい頃からなれ親しんだブランドであるという部分が大きな理由ですね。
──シーズンごとにテーマをもうけると思うのですが、テーマの選び方はありますか?
テーマというか、プロダクトに対してストーリーを持つことは非常に重要なコトだと考えています。
今シーズン('08AW)に関していえば、バーグハウスのコラボレーションをキッカケに「イギリス人が登山をする」というストーリーを元に構成されたコレクションになっているんです。
──だから、アウトドアの製品にタータンチェックの生地が使われていたりしていたのですね。
そうなんです!
今シーズンのテーマは、『ロスト オブ ベン・ネヴィス』。
"ベン・ネヴィス"というのは、イギリスで一番高い山の名前です。
"イギリス人とは?"ということを考えたときに、おおくの人が抱くイギリス人のイメージ、例えばタータンチェックだったり、ビートルズだったり、トラディショナルな部分(伝統的)だったりと、そういう分かりやすいアイコン的な部分だと思うんです。私はそこに「登山をする」というテイストを加えて、本格的な登山に着ていけるようなウェアに合わせてタータンチェックのパンツを履いて山登りをする(笑)といった、ちょっとしたユーモアがストーリーになっています。
素材に関してもすべて本物の登山用素材を使用していて、たとえばウールのグレンチェックのブルゾンは、フォックスブラザーズといって第一次世界大戦の頃に軍に供給していた由緒ただしいフランネルの素材屋さんなんです。このタータンチェックの生地もスコットランドランドのトラディショナルな工場で作られているもの。イミテーションの素材はいっさい使っていないんですよ。
イギリスの老舗メーカー"ジムフレックス"ともTシャツでコラボレーションをしましたしね。
とくに今回のマッキントッシュとのコラボレーションは、ラグジュアリーウェアとスポーツウェアがうまくミックスされて、非常にいいモノが出来たと思いますよ。
──今シーズンのおススメは?
フォックスブラザーズのフードはかなりおススメです。
トラディショナルなプリンス オーウェイズ チェックとハイテクな素材をミックスしたアイテムになっているので、個人的に非常に好きです。
あとは、ラグビーシャツ。
これは昔からラグビーシャツをつくっている工場でつくったんですよ。もちろんクオリティもすばらしいしね。
あとは、バラクーダ。
これに関しても、バラクーダがはじめて全面プリントのファブリックを使用したものになるのでおススメです。
それとタータンチェックのブレードカットのパンツ。
トラディショナルなタータンチェックとカムフラージュのミックスという、これもおもしろい商品のひとつだと思いますね。
──じつは"グリフィン"にタータンチェックが使用されるとは思わなかったのでおどろきました。
それはよかった(笑)。
──ファッション・シーンは、デザイン、生産、WEBでの販売などもふくめ確実にデジタルな方向へ移行しているいまの状況をどうおもわれますか?また今後はどんな方向にすすむとおもいますか?
ファッションは、服だけではなく、そういったテクノロジーといっしょにすすんでいくというのは、あるべきカタチなんだと思います。
ただ、自分たちが着る服は、バーチャルではなくて、リアルなモノというところだけは忘れないでほしいというか、そこが重要なところですよね。私自身もそいったハイテクな部分は個人的にも好きなので、いまYOU TUBEやPodcastに映像をのせて、プロモーションしたりもやっていますしね。
──いままでの旅でいちばん印象的だった場所はありますか?
ニューヨークのファッションウィークはすごく楽しかったですね。
いろんなパーティに行って、いろんな刺激を受けて、非常に良かったですよ。
あとは、コペンハーゲンもとてもよかったです。
その辺の写真はWEBサイトのBLOGでアップしているから、ぜひ覗いてほしいですね。旅行に行くたびに写真を撮って、それらをすぐにアップしているからそれもぜひ見てほしいです。
──今後、ブランドとしてはどんな方向に向かっていく予定ですか?
"グリフィン"というブランドは、自分自身みたいなものなんですよ。
だから、自分のすすんでいく方向にブランドもすすんでいくんです。たとえば、服づくりに飽きたら、やめちゃうことができるくらいのものなんですよね。
現在は、"自然"というものに興味を持っています。だからバーグハウスとのコラボレーションは、非常にちょうどいいタイミングだったんです。あとは、ファッション、ファッションしている服というよりは、スポーツだったり、ライフスタイル的な服づくりの方向に自分が向かっている状況ですね。
──"自然"に興味を持ちはじめた理由はなんですか?
自分がだんだん成長してきて、クラブパーティとかから離れてきて──って、それは歳をとったのかもしれないんですけれど、だんだん自然に帰ってきたという感じです。でも、人間、それが自然なんじゃないかな。
──日本のファンのひとにひとことお願いします。
もう"グリフィン"のファンのヒトたちは、「自分に素直に正直に」というところを分かってくれていると思います。人生は短いのでとにかく楽しみましょう!そして、グリフィンを買いつづけてください(笑)。
それと、もしWEBサイトから自分にメッセージをくれれば10%ディスカントします。ただし、いいメッセージに限りますけれどね(笑)!
JEFF GRIFFIN(ジェフ・グリフィン)
1967年生まれ
1988年-1990年 セント マーチンズ スクール オブ アート ファッション デザインに卓越し、アートの修士号を取得する
1990年 イタリア GMV Gian Marco Venturi にて仕事をする。
1991年-1992年 リトルイタリーファミリー、T/Aボヤージ、GIAN MARCO VENTURE、VALENTINO、18-18、フェレ、アメリカニーノの仕事を手掛ける。
1992年 ロンドンに戻りVoyageで働く。
1993年 情熱と共にファッションブランド"GRIFFIN"のデザインをスタート
http://www.griffin-studio.com