LAST SAMURAI「ジョン ロブなオトコ」岡部哲也さん(1)
ネーヴェ代表 岡部哲也さん(1)
「スキーと欧州生活と激動の20代を振り返る」
今回のゲストは80年代から90年代前半にかけて、アルペンスキーの世界で活躍された岡部哲也さん。知り合ってまだ1年たらずと日はあさいのですが、偶然にして同級ということもあり、いまでは仕事を超え、友人としておつきあいさせていただいています。現役時代は海外での生活も長く、アグレッシブな生き方をなさってきた岡部さん。そんな岡部さんに、スキーの話、人生のターニングポイントについてなど、ほかではなかなか聞くことのない貴重なお話の数々をうかがいました。
ホスト=松田智沖(ジョン ロブ ジャパン)まとめ=竹内虎之介(City Writes)Photo by Jamandfix
本場ヨーロッパで目の当たりにしたプロ意識の高さ
松田 まずはスキーのお話をおうかがいしたいんですが、本格的にプロでやっていこうと思われたのは、いつごろのことですか?
岡部 スキー自体は子どものころから親しんでいましたし、15歳からナショナルチームの一員としてずっとヨーロッパで戦っていました。そのころすでに1年のうち8ヵ月ぐらいは海外だったんですが、はっきりプロ意識に目覚めたのは社会人になってからですね。社会人になっても最初のころは普通にサラリーマンとしての仕事もやりながら、仕事のあと、練習をするような毎日でした。しかし、あるとき運よく海外に留学できるチャンスがやってきて、ドイツ語の学校に通いはじめたんです。学校が休みの際にはオーストリーのナショナルチームのトレーニングに混ぜてもらっていたのですが、そこには僕よりずっと年下なのにプロ意識の高いヤツらがたくさんいました。彼らは自分の将来のビジョンを明確にもっているんですよ。僕はそのとき、生まれてはじめて自分にはないマインドを目の当たりにしたというわけです。
ここでダメだったらスキーをやめようと思った
松田 そこが最初のターニングポイントになるんですね。
岡部 そうです。あそこで僕は、はっきりと会社を辞めようと決意しました。そうすると海外で契約できるようになりますから。ですが、これがまたけっこう大変だったんです。誰がやってくれるわけでもないから、契約書の作成からなにから全部自分でやらなきゃいけない。スキーの世界ではドイツ語がいちばんメジャーですから、そこでドイツ語もマスターしました。おっしゃるとおり、まさにあのあたりが、僕にとっての最初の大きなターニングポイントで、これでダメだったらスキーもやめようと思いましたね。
松田 えっ、そうなんですか。実際にはそこから結果も出て、ヨーロッパで大活躍なさるわけですが、もしそこでスキーをやめていたらどうするつもりだったんですか?
岡部 真剣に競輪をやろうと思っていました。けっこう自信がありましたし、じつはスキーをやりながらも自転車のトレーニングはやりました。このことにかんしては当時非難もありましたが、結果的には瞬発系のトレーニングをやったおかげで、スキーにおいて爆発力を得ることができたんです。
松田 それが80年代後半の大躍進の時期ですね。
岡部 そうです。
松田 そういう意味では3度出場されたオリンピックは、ちょっと残念でしたね。
岡部 たぶん、本気でメダルを取りにいったら取れるくらいのレベルにはいたと思います。もちろん競技そのものにたいして本気じゃなかったわけではないんですが、不思議とオリンピックの“メダル”というものへの執着はあまりなかったんですよ。あとは、いちばんいい状態のときに病気をしたのが大きかったですね。発端となる病気の手術自体は成功したんですが、その後、原因不明の体調不良で3ヵ月の入院。僕としては26歳のあの時点で一度スキーをやめてるんです。
松田 そのとき、どんな気持ちでした? やはり絶望感を感じられたんじゃないですか。
岡部 先生には「もうスポーツはできない」って言われましたから、絶望感を感じる間もなかったですね。
松田 気持ちの切り替えはすぐにできましたか?
岡部 けっこうできるほうなんですよ。「いまがそういうタイミングだよ」って神様が言ってるのかなって。だから、それまでなかなか読めなかった本をたくさん読んだり、大学に行こうかとも考えました。スキーにかんしてはそれまで十分やってきたし、一度は競輪に行こうかとも思ったぐらいですから(笑)。でも、あそこから復活できたときは、ちょっと信じられない気持ちでしたね。
松田 いやぁ、ポジティブですね。でも、そういう気持ちになれる岡部さんだからこそ、その後の奇跡の復活があったような気がします。
岡部哲也著
DVD付き『カンタン体操でおなかまわりスッキリ!』
6月9日(月)発売
1400円(泰文堂)
「私が40歳になった頃、運動不足か暴飲暴食か……、気がつけばおなかまわりがポッコリ……、ジョギングをするのは好きではあるのですが、冬になると寒くて難しく……とにかく継続するのが難しくて……。そこで、毎日10分でも場所構わずコツコツと(これも嫌いなんですが)できることは「体幹運動」だなと、ゆっくり寝たまま無理せずからはじめ、なんと!どんなに忙しい時でも継続できているのでした。今、話題になっている「メタボ」にならないためにも、ぜひこの本を活用してくれれば幸いです(岡部哲也さん談)」
ネーヴェ
公式サイト│http://www.snowdreamer.jp/