「ジョン ロブな“オンナ”」高橋みどりさん対談(3)
Fashion
2015年5月14日

「ジョン ロブな“オンナ”」高橋みどりさん対談(3)

「ジョン ロブな“オンナ”」(3)

Oens代表兼イメージングディレクター 髙橋みどりさんとともに

前回に引きつづき、ビジネスにおける服装の役割と、男性のファッション論を髙橋みどりさんにお聞きします。話は、シーンに応じた服選び、着こなしのあり方から、世の男性陣に対する辛口のエールへと展開していきます。私自身、まさに目からウロコが落ちる思いでした……。

構成=竹内虎之介(City Writes)Photo by Jamandfix

男の人のクローゼットって同じものばかり

松田 さきほど(前回)の話のつづきですが、やっぱり男性って自分のスタイルを変えるのがすごく難しいと思うんです。私もスーツは紺とグレーばかりで茶系の色は絶対に着ようと思いません(笑)。でもそこで、まわりからの声があると、後押しになって変わりやすくなるような気がします。

髙橋 そうですね。男の人って往々にして保守的でしょ。で、そういう人のクローゼットを見るとおなじものばっかり。「ネクタイを選んでください」っていっても、すでにもっているようなものを選ぶんです。つまり、好き嫌いでしか選んでいないってことなんです。でも、ビジネスっていうのは、いろんなシーンでいろんなことをしなきゃいけない。だから好き嫌いじゃなくて、きょう誰と会うかとか、どういうふうに見せたいとか、そういう基準で選ばなくちゃいけないと思うんです。なので、私は第三者の目が入ることはとても大切だと思っていますし、参考にしていただきたいと思っています。

松田 その信頼のおける第3者に出会うのが難しいんですよね。本来はショップの方の役目なんでしょうけど、なかなかね~(笑)

髙橋 それはありますね。ただ、一方で店員さんにとっても距離感が難しいところで、本当はコレがすすめたいんだけど、本人はこっちがいいといってるしなぁ、ということもあるんですよ。

松田 それもあるかもしれませんね。本人が好きなものと似合うものって、やっぱりずいぶんちがうものですか?

髙橋 ちがうんですよ。それをわかってほしいんですけど、本人は似合ってると思い込んでいます。だから、そういう人って冒険しないんですよ。

松田 僕もまったくしないですね……(笑)

髙橋 だめですよ!(笑)。スーツの色やネクタイの色をちょっと変えるだけでずいぶん変わるのに。

女性社員はオシャレな上司と出かけたい

松田 まさにおっしゃるとおりで、私自身、これしか似合わないって思い込んでいますね。前に一度、思い切ってピンクのジャケットを買ってみたんですけど、やっぱり恥ずかしくてしょうがなかったです(笑)。

髙橋 いきなりピンクのジャケットっていうのがいけなかったんですよ。茶色とか本当は似合うと思いますよ。

編集部 松田さんはジーンズは穿かないんですか?

松田 もってますけど、基本は穿かないですね。休みの日もグレー系のパンツが多いです。極端にいえばグレー系のパンツに白いシャツに紺のセーターがあればそれでいいと思っちゃいますね。

髙橋 歳をかさねるほどに色を入れた方がいいですよ。とうぜん白髪も増えてきますし、肌もくすんでくる。そういうときにちょっと色を入れてあげると、明るく見えたり元気に見えたりするんです。だから、その休日のニットをオレンジかピンクにしてみてください。最初はそれぐらいでいいんです。それでグッと変わりますから。

編集部 松田さんのばあいは、こだわりからでしょうが、よく聞くのは、ちょっとキレイな色のものとかを着ると奥さんのチェックが入るという話。だから冒険しないというのもあるんじゃないでしょうか。あと、奥さんが買い与えちゃうという話も聞きますね。

髙橋 奥さんが選んでる人はオシャレになれないですよ。奥さんってやっぱり無難な服が好きですし、モテないダンナさんの方が安心ですから。あと、なにも考えずに服を選ぶのはよくないですね。さっきお話しした企業でのセミナーのときにも「きょうは、なんでその服を着て来たんですか」と聞くと、多くの人が「朝そこにあったから」というようにさしたる意味もなく服を選んで来てるんですね。それではダメです。そういう考えで洋服を選んでいる人は、会う方にも失礼だし、仕事に対して前向きじゃないってことにつながりますよ、っていっています。しかも、いまや会社のなかで男女の比率は半々ぐらい。女性社員は、いくら仕事とはいえ素敵な上司と出かけたいものです。オシャレになれば、彼女たちがウラでささやくウワサも聞こえてきますし、それが仕事への自信にもつながるはずです。彼女たちも、自分の上司や会社の人が素敵なることはうれしいんです。逆をいうと女の人っていうのは、それぐらい厳しいんですよ。

Profile
Oens代表取締役
髙橋みどりさん

1990年、バーニーズ ニューヨークの日本進出にともない、バーニーズ ジャパン宣伝部ジェネラルマネージャーに就任。その後、ジョルジオ アルマーニ ジャパン広報室長を経て、2001年ビジネスシーンを強く意識した大型専門店エストネーションをオープンさせる。2005年6月にOensを設立。これまで培った経験と知識を生かし、さまざまなブランドのブランディングからPR、ショップのプロデュースなどを手掛ける。また、これまで日本にはほとんどなかった個人や企業に対するイメージコンサルティング、スタイリングを手掛け注目を集める。

Oensホームページ
http://oens.net/

           
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