「ジョン ロブな“オンナ”」高橋みどりさん対談(2)
Fashion
2015年5月14日

「ジョン ロブな“オンナ”」高橋みどりさん対談(2)

「ジョン ロブな“オンナ”」(2)

Oens代表兼イメージングディレクター 髙橋みどりさんとともに

ニューヨークでの体験を通して、ビジネスにおけるファッションの重要性をあらためて痛感したという髙橋みどりさん。現在は、長年ファッション業界で培ったセンスと経験を武器に、個人向けのスタイリングや、ビジネススタイルに関するワークショップもおこなっていらっしゃいます。
そこで今回は、その実例談をお聞きするとともに、ビジネススタイルにおける装いの極意をうかがってみました。

構成=竹内虎之介(City Writes)Photo by Jamandfix

忘年会でファッションショーを開催しました

松田 現在はブランドのプロモーションだけでなく、企業や個人のスタイリングもなさってるということですが。

髙橋 ええ。現在ふたりの社長さんのスタイリングのお手伝いをしています。そのうちのひとつの会社では、会社のなかで人の集う会議室など空間スタイリングのアドバイスや、社員向けのワークショップもおこなっています。

松田 会社ぐるみですね。効果はどうでした?

髙橋 1年ですごく変わりましたね。去年の12月におこなわれた社内の忘年会では、ワークショップに出てくれた人たちとファッションショーをやりました。「働くときにいちばんカッコいいスタイル」をテーマに、それぞれの職種にあてはめて発表したんです。

松田 やっぱり営業には“営業らしいカッコよさ”といったものがあるんですね。

髙橋 そうですね。

松田 具体的にはどういう職種の人には、どういうファッションがふさわしいのでしょう?

髙橋 クリエイターの人というのは、やはりデザインを楽しんでいるということが見るからにわかる方がいいんじゃないかと考えています。だから、スーツであっても、自分らしく少し個性的にコーディネイトしてほしいとか。でも営業の人は接客業なので、まずは信頼感、清潔感というものが必要になってきます。そのうえで、チラリとポケットチーフを挿したりする。そうすることで、すごくフォーマル度が上がったり、クールビズでネクタイをしなくてもスッキリ見えたりするんです。でも、みんなはじめはチーフなんて挿したことがないというんです。だから、挿し方の勉強会とかもやりました。

服装ひとつで周囲の反応まで変わります

松田 どんな職種の人がおもしろかったですか?

髙橋 社長がいちばん大変でしたね(笑)。なぜなら社長さんって、すでにいいもの(高価なブランド物)をたくさん持っています。でも、洋服って結局本人とのマッチングですから、いいものが似合うときもあるし、そうでないこともある。高いものが必ずしも似合うとはかぎらないんです。そこで似合うと思うものをいろいろ着ていただいたら、最初は「ええ、俺がこんなのを?」という感じだったんですね。でもそのうち、社員の方から「話しやすくなった」とか「若々しくなった」といわれるようになって。それ以来社長さんも私のコーディネイトしたもので積極的にいろんな場所に出てくださるようになりました。

松田 やっぱり周りの人にいわれることって大切ですよね。似合うファッションのポイントというのは、どのへんにあるんでしょう?

髙橋 スタイリングって人によって全然ちがうものなんです。もちろん職種とかシーンというのはベースとしてあるんですが、やはりその人個人のいいところを引き出すことが最大のポイントになってきます。私自身も含め、一般の人ってモデルさんじゃありませんから、バランスが悪いじゃないですか。なので、悪いところは隠していいところを引き出す。それでプラスマイナス0=イメージUP=その人らしさになるし、素敵な人に見える、というのが私の考えです。

松田 なるほど。表情や立ち居振る舞いも変わってくるものですか?

髙橋 全然変わりましたね。もうひと方スタイリングをさせていただいているのは、楽天の三木谷浩史社長なんですが、彼に関してはプライベートも含めてスタイリングさせてもらっています。彼なんか顔がニコニコして、すごく精悍でセクシー、それでいてより力強い印象になりました。仕事のときの服装であっても、洋服を考えることって、やっぱり仕事の中身以外のことじゃないですか。それがすごく楽しそうで、忙しい人こそ、そういう時間がとても大切だと思いました。

Profile
Oens代表取締役
髙橋みどりさん

1990年、バーニーズ ニューヨークの日本進出に伴い、バーニーズ ジャパン宣伝部ジェネラルマネージャーに就任。その後、ジョルジオ アルマーニ ジャパン広報室長を経て、2001年ビジネスシーンを強く意識した大型専門店エストネーションをオープンさせる。2005年6月にOensを設立。これまで培った経験と知識を生かし、さまざまなブランドのブランディングからPR、ショップのプロデュースなどを手掛ける。また、これまで日本にはほとんどなかった個人や企業に対するイメージコンサルティング、スタイリングを手掛け注目を集める。

Oensホームページ
http://oens.net/

           
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