『My Freedamn! Vol.5』 (3)
Fashion
2015年3月12日

『My Freedamn! Vol.5』 (3)

田中凛太郎氏インタビュー

『My Freedamn! Vol.5』 完成記念スペシャルトーク 最終回

『My Freedamn! Vol.5』P254-255より

凛太郎氏の本はその膨大な物量もさることながら、常に圧倒的なクオリティの高さで見る者を唸らせる。最終回を迎えた田中凛太郎スペシャルトーク。話はいよいよそんなクオリティをキープするための本作りの秘密へと。

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最後の詰めこそが本当の勝負

──このクオリティの本になると編集作業というのもなかなか大変そうですね

田中 いつもギリギリまで撮影してそれから編集作業に入りますが、実はひととおり並べてみてからが勝負なんですよ。そこからどこまで引き上げるか、ということですね。いま世の中に出ている本は、だいたいそこで止めちゃってるものの方が多い。それはつまり時間とコストの問題です。でも僕はその最後の詰めにこそこだわってしまいますね。

──それは具体的にはどういう作業をするんですか?

田中 そこからさらに足していきます。デザイナーさんはすごく嫌がりますよ。どんどん追加写真をもって行きますから。追加写真200枚なんてザラですね。でも並べてこう見ていると、なんか足りないなぁと思うわけです。そうするとまた撮りに行くんです。だからいつも本当にギリギリまで撮影しています。今回も校了作業のために1ヵ月ほど日本に帰って来たんですが、その間にも足りない分は国内で撮影しに行きました。雑誌だと本当にシビアな〆切りがありますから諦めもつくんでしょうが、僕の場合引っ張ることもできるわけです。だからギリギリまで引っ張る。本って残ってしまうものですから、後々気持ち悪いものだけは作りたくないんですよ。

──完成してみて手ごたえはどうですか?

田中 実は僕、自分の本を完成後に見ることはないんです。落ち込むから(笑)。こうした方がよかったなぁというのが絶対あるんですよね。

アメリカにいないと見えないものを

──ところで、10年前に凛太郎さんがアメリカに住もうと思ったのは、このシリーズを作ろうと思ってのことだったんですか?

田中 アメリカに行きたい理由はいろいろあったんですが、こういうリサーチはアメリカにいないとなかなかできないのは事実ですね。ずーと見てないとわからないことも多いですから。最初に革ジャンの本を出したときはまだ日本に住んでいて、1年に1回か2回アメリカに行ってリサーチをしていたんですが、やっぱり数週間ぐらいではいいリサーチはできないですね。でもいまはじーっと待っていればいい。極端な話、半年でも待っていられるじゃないですか。そういう意味でも、アメリカに住んでいないとアメリカのカルチャーを調べるのは物理的に不可能でしょうね。

──で、チャンスが来て撮影に行くと、おもしろそうだなと思うものを撮っていくわけですね?

『My Freedamn! Vol.5』P20-21より

田中 というよりは、行けばどんなものでも撮ってファイリングしてるだけです。で、カテゴリーごとにたまったら出すというかんじです。なので、すでにVol.8くらいまでの分量は撮ってありますよ。

──そういうやり方ってすごく魅力的ですね

田中 本としては間違ってないと思っています。でも短いスパンで作る雑誌の緊張感も嫌いじゃないですよ。あとはやり方の問題で、僕の場合はハイエンドにやるしかない。いまは単なる情報だけならインターネットやフリーペーパーがあります。つまり0円か8000円かという時代なんじゃないでしょうか。中途半端にやるとユーザーに軽くあしらわれちゃいますよね。

──なるほど、確かにそうですね。次のVol.6も大いに期待しています。今日はどうもありがとうございました

田中 こちらこそ、ありがとうございました。


           
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