〈3〉Route127
田中凜太郎 〈3〉Route127
アメリカを16年間も走り続けている理由
「写真を撮って!」
女性からの逆指名は有り難き光栄!と思いきや、小学生ぐらいの女の子……。どうやら彼女は弟と一緒の写真を送って欲しかったようです。年の離れた弟を大変に可愛がっている様子でしたから。
ファインダーを覗いた瞬間に驚きました。カリフォルニアのお洒落な子供達と全然雰囲気が違います。ケンタッキーの子供たちはとっても田舎の子供! しかしとてもキラキラと輝いているんです。良い空気を吸いながら育っているからでしょうか。子供らしい、素晴らしい笑顔で僕を見つめています。
国道127号線をバックに立ってもらい、車が一台横を通り過ぎた瞬間にシャッターを切りました。
「Thank You!」
1/500秒という瞬間の中、僕がアメリカを16年間も走り続けている理由が見つかった気がします。この国だけは飽きることがありません。
ギターピックとロイ・ブキャナンの顔
別れ際に住所を貰い、名刺替わりに自分の名前とウェブサイト、電話番号が印刷されたギターピックをあげました。
これは1年くらい前に友人が安く作ってくれたもので、しかし1000枚もあり、さらにギター好きな人にしかあげないので意外に無くならず、しまいに机の脇で埋もれていました。そして出かける瞬間に思い出したのです。
実はこのピック、裏面にはこっそりとロイ・ブキャナンの顔が印刷されており、アメリカの“本当のギター好き”はかならずニヤリと笑ってくれます。かなりマニアックな“シャレ”、というわけです。
当然この子供たちはロイ・ブキャナンなど知りませんから、直ぐに無くし、来年の夏にはなぜかこの「127ヤードセール」で売られているかもしれません。ロイ・ブキャナンのファンはアメリカに大勢いますので、きっと直ぐに売れるでしょう。それはそれで面白い話です。
2週間の旅で増えたゴミはかなり抑えても10点くらい。この調子で、仕事部屋が足の踏み場もなくなった頃、新書『マイフリーダム!5』と『マイフリーダム!6』が同時に完成しているでしょう。
そしてまた部屋を整理しながらネタを拾い直し、旅にでます。アメリカはとにかく広大で、僕の”ゴミ探しの旅”に終わりはないでしょう。
(to be continued)