〈1〉テネシー州ナッシュビルへ
Fashion
2015年3月12日

〈1〉テネシー州ナッシュビルへ

田中凜太郎 〈1〉テネシー州ナッシュビルへ

“クリエーター=ゴミの収集家”

たまに思い出したかのように気になるモノがあります。それは未来に向かって欲しいモノではなく既に購入済みで、しかし使わずじまいで記憶から消えかかっていたモノです。価値を知らない妻はそれを「また汚いゴミが増えた!」と呆れ顔で言いますが、一つ一つじっくり見直すとなかなかのヴィンテージ品も多く、そう簡単には捨てられません。

アメリカに移住して8年。その間に10冊の本を出し、それに比例するように仕事部屋、ガレージ、車の中、さらに日本の実家までずいぶんとゴミが溜まりました。まぁ故アンディー・ウォーホール先生も全く同じことやっていたので、“クリエーター=ゴミの収集家”と僕は解釈しています。

8月の上旬、テネシー州ナッシュビルに飛びました。レンタカーを借り、2週間の“ゴミ集めの旅”です。僕は月に1度飛行機に乗ってはどこかで撮影していますが、このナッシュビルへの旅にスペシャルな意味はありませんでした。たまたま仕事部屋で本を探していたら、ロイ・ブキャナンという僕の大好きなギタリストのポスター(70年代のオリジナル!)を発見し、突然ナッシュビルへ飛びたくなったわけです。

世界一長いヤードセールへ

ナッシュビルは生前のロイ・ブキャナンがホームグラウンドにしていた場所であり、今でも凄腕のミュージシャンが集まっています。ジャンル的な好みは別にして、音楽好きの連中に会いたければナッシュビルかテキサス州オースティンがやはりベターでしょう。

ところがナッシュビルに着いた翌日、僕は予定していなかった隣のケンタッキー州に向かってクルマを走らせました。「127ヤードセール」という有名なイベントが行われていることを思い出したからです! 国道127号沿いの住民が年に1度一斉に行う巨大ヤードセールで、オハイオ、ケンタッキー、テネシー、アラバマと4州に股がって道が続くため、“世界一長いヤードセール”と言われています。当然のようにゴミの収集家の僕としては期待で胸が膨らみます。

(to be continued)


           
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