最新の3Dプリントで、夢のカーボン自転車を安価にイージーオーダー!
DESIGN / PRODUCT
2020年7月20日

最新の3Dプリントで、夢のカーボン自転車を安価にイージーオーダー!

3Dプリント | スーパーストラータ

シリコンバレーのテック企業による新たな試み

シリコンバレーを拠点に2013年に設立された「AREVO(アレボ)」。同社の強みは、これまで手間や工数、職人技などが不可欠であった、連続カーボン複合材を3Dプリントできる技術にある。そんな最新テック企業が、より幅広い層へアピールするためのPRとして、自転車のイージーオーダーをクラウドファウンディングでスタートさせた。

Edit & Text by TOMIYAMA Eizaburo Photo by TAKASE Tatsuya

海外クラウドファウンディング・サイトの「INDIEGOGO」(日本からもオーダー可)に公開された自転車が大きな話題を集めている。「Superstrata(スーパーストラータ)」と名付けられたそのスポーツバイクは、継ぎ目のないユニボディで構成されたカーボンファイバー製で、身長、体重、腕や脚の長さなどを後日スーパーストラータのサイトから入力し、自分の身体にフィットした一台をイージーオーダーすることができるというのだ。
軽量で剛性があり、衝撃吸収力にも優れたカーボンファイバー・フレームは、自転車好きにとって憧れのモデル。しかし、価格が50~200万円超にもなるため、なかなか手が届かないというのが現状だろう。
クラウドファウンディングで先着優待割引実施中!
今回公開されたスポーツバイクは、通常モデルの「Superstrata C」で$2,799(30万円)~、電動アシスト仕様の「Superstrata E」で$3,999(43万円)~と驚きの価格帯で販売される。さらに、現在実施中のクラウドファウンディングでは先着優待割引もあり、さらにお求め安い価格で購入できてしまう。

Superstrata - 日本語

具体的なオーダー方法やコンポーネントなどの細かなパーツ情報に関しては、クラウドファウンディング成立後となるため、ここではすでに発表されている仕様のみを紹介していく。なお、フレームの基本設計は自転車を含む数多くのスポーツ関連プロダクトを数多くデザインし、自らも熱心なトライアスリートとして知られるビル・ステファン・デザインが担当している。
Superstrataの最大の特徴は、連続カーボン複合材(注)を使った3Dプリントで作られるという点。つまり、溶接やボルトを一切使わずに作られたフレーム(ユニボディ)となっている。そのため、軽量で頑丈な車体が完成するのだ。通常モデルの「Superstrata C」でフレーム重量約1.3kg、電動アシスト仕様の「Superstrata E」で約1.6kg。なお、電動アシストのバッテリーは空洞化されたフレーム内に収められるので見た目に美しいという点も魅力。2時間の充電で約90kmの走行が可能だ。
(注)3Dプリントで使用されるカーボンには、チョップドファイバーと連続カーボンの2種類がある。チョップドファイバーは用途に合わせて炭素繊維をあらかじめカットしており、カタチに合わせて並べるように配置しポリマーで固めていく。しかし、連続カーボンはプリンタのヘッドから連続して注入されるため強度が高く、また複雑な形状を作ることができる。
さらに、ボディカラー、ホイールの素材、クランク&チェーンホイールの素材、タイヤの種類などが選べ、50万通り以上のカスタマイズが可能になっている。そこに自らのサイズを入力したカスタム・フィットが加わる。また、購入後にアップグレードをすることも可能。すべての製品に2年保証も付き、2020年12月から先着順で出荷される予定だ。
「Superstrata」のクラウドファウンディング・サイト
https://www.indiegogo.com/projects/superstrata-bike#/
AREVO社の最新3Dプリンター「AQUA(アクア)」
カーボンフレーム自転車「Superstrata」をこの価格帯で提供できる理由は、AREVO社が開発した3Dプリンター「AQUA(アクア)」にある。従来のカーボン加工は、金型設計やカーボン繊維のパターン設計・カット、接着、硬化、仕上げといった工程が多いばかりでなく、それぞれの分野での職人技が必要であった。
しかし、3Dプリンター「AQUA(アクア)」を使えば、AIによる設計アルゴリムによって設計時間を大幅に短縮。その後は、3Dによる自動プリント、仕上げもロボットがおこなうなど、従来の500倍の速さと1/20の低コストが実現させている。
AREVO社は「世界中のモノを軽くする(Make The World Lighter)」をコンセプトに掲げるスタートアップ企業。アルミよりも軽量で、鉄の60倍の強度を誇るCFPR(炭素繊維強化プラスチック)素材を3Dプリントできる「AQUA(アクア)」は、前後左右に動きながら積層させていく従来型の方式ではなく、台座も動かしながらの6軸造形。これにより、3Dプリンターが苦手としていたZ軸の強度を克服した。各製品に最適なプリント方法をソフトで計算しながら、連続性のある一筆書きで完成させるので、無駄がなく頑丈というわけだ。しかも、手作業ではできない細かなパーツや複雑な形状も生み出すことができる。
2013年の設立ながらすでに建設、航空宇宙、自動車といった業界の大手メーカーがパートナーとなっており、日本でもAGC(旧・旭硝子)が投資し、新製品開発も熱心におこなってる。ちなみに、今回紹介したSuperstrataはあくまでもデモンストレーションのようなもの。これを機に世界中でさまざまなアイデアが生まれ、私たちの生活を一変させる製品が登場する日も近い。
問い合わせ先

Superstrata(スーパーストラータ)
https://www.superstrata.bike/

                      
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