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2025年9月16日
MCM HAUS(韓国・ソウル)にて開催中! 「BE@RBRICK in MCM Wonderland」レポート | MEDICOM TOY
MEDICOM TOY|メディコム・トイ
伝統〜現代まで 日本のアーティストたちがBE@RBRICK作品を展示
2025年9月2日、韓国・ソウルにあるMCMのフラッグシップストアMCM HAUSにて「BE@RBRICK in MCM Wonderland」のレセプションがおこなわれた。
これは、現代アートの世界的なフェア「FRIEZE SEOUL 2025」の期間(2025年9月3日~6日)に合わせておこなわれているMCM × MEDICOM TOYのエキシビションを記念したもの。ここでは一般公開の前日におこなわれたパーティの模様をレポートしていく。
これは、現代アートの世界的なフェア「FRIEZE SEOUL 2025」の期間(2025年9月3日~6日)に合わせておこなわれているMCM × MEDICOM TOYのエキシビションを記念したもの。ここでは一般公開の前日におこなわれたパーティの模様をレポートしていく。
Text by TOMIYAMA Eizaburo|Photographs by MAEDA Kazuki
多くのセレブで賑わったレセプションパーティとアーティストたちのコメント
近代的な高層ビルを背景に高級車が行き交い、世界中のラグジュアリーブランドが軒を並べるセレブエリアの江南(カンナム)地区。その中心地で一際存在感を放っているのが、フラッグシップストアのMCM HAUSだ。
モダンな建築の前で空を見上げると巨大なBE@RBRICKがお出迎え。窓のようなサイネージには、参加アーティストの紹介映像が流れている。
「BE@RBRICK in MCM Wonderland」では、3名の日本人アーティストが展示をおこなっている。それは、パリを拠点に活躍する帽子&ヘッドピース デザイナーの日爪ノブキ氏、日本の現代ポップアーティストである谷敷 謙氏、鹿革に漆を施す伝統技法「甲州印伝」を現代に伝える会社、印傳屋上原勇七。
MCMはファッションだけでなく、その背景にある文化的ストーリーを発信していく
「MCMのブランドDNAには、ファッション・音楽・芸術があります。私たちは洋服を売るだけではなく、その背景にある文化的なストーリー、これまで培ってきた幅広い経験をお客様に提供していきたい。そんな想いから、今回MEDICOM TOYの赤司社長にキュレーションをお願いしました。
彼はさまざまな視点と豊富な経験があり、コンセプトに基づいて最適なものをピックアップする能力が素晴らしい。また、BE@RBRICKは単なるトイではなく、コレクタブルなアートトイであり、現代のポップカルチャーを代表する芸術品だと思っています。
文化は世代を超えるものです。親子で、おじいちゃんおばあちゃんが孫と一緒になど、さまざまな人に今回のエキシビションを楽しんでいただければと思っています」
そう語ったのは、MCM JAPAN取締役社長の金 海利氏。
僕にとって今回の作品は挑戦でした(日爪ノブキ)
「BE@RBRICK in MCM Wonderland」の期間中、1Fのショーウィンドウを飾るのは、帽子&ヘッドピース デザイナーの日爪ノブキ氏による作品。赤と白の1000% BE@RBRICKが並び、そこには日爪氏の帽子がディスプレイされている。今回、このエキシビションのためにつくられたのは、彼の作品「オリンピア レッド」をベースにしたアートピースだ。
「今回は僕にとって挑戦でした。すでに作品として存在していた帽子と、BE@RBRICKをどう調和させるかが難しかったです。その試行錯誤の中で改めて感じたのは、BE@RBRICKは、頭のわりに体が長い。完璧なバランスではないけれど、その違和感が普遍性を生んでいることに気づいたんです。
また、バラバラの状態で送られてきたBE@RBRICKを見たときに、マスプロダクトの源流を見たような気分にもなりました。クリエイティビティの高い唯一無二の作品をつくりたいと思っていますが、一方でマスプロダクトのような普遍的な作品でもありたい。BE@RBRICKは、まさにそれを体現したものですし、そういう帽子を僕もいつかつくりたいと思います」(日爪ノブキ氏)
1Fのフロアでは、インテリアとして各所にBE@RBRICKが置かれていた。また、今回のエキシビションのために特別にデザインされた限定MCMプリントTシャツや、ショルダーバッグ、チャームなども販売されている。
小部屋には、四方をミラーで囲んだ中にBE@RBRICKが吊るされた空間が登場。不思議な没入感があり来場者を楽しませた。
こんな素敵な機会をいただき感謝しています(谷敷 謙)
3Fフロアでは、現代ポップアーティスト谷敷 謙氏の作品を展示。花が咲き誇る異世界のような空間に「PAUSE / Usausa」をモチーフとしたBE@RBRICK。さらに、天井にはMCMのロゴサインが飾られた。
彼の作品には日本人形の衣装部分で使われる「木目込(きめこみ)」という技法が用いられている。また、「PAUSE / Usausa」は娘が着ていた衣服を使用している点でもユニークな作品となっている。
「今回のBE@RBRICKも木目込の技術を使っており、工程もほぼ同じです。私の作品は何百年と保つ強度がありますが、BE@RBRICKのように触ったり動かしたりする前提ではつくられていません。そのため、いつもよりも硬くて重い支持体を使っています。それだけに、ものすごく時間がかかりました(笑)
また、オリジナルの作品は娘が0~2歳のときに着ていた服でしたが、今回は2~12歳のときに着ていたものを使っています。ロゴサインは、MCMさんの工場からいただいた端切れも使用しています。MCMさんとお客様の関係だったり、印象だったり、そういったコミュニケーションを具現化するような作品になればいいなと思っています。
また、改めてこのような機会をいただき感謝しています。皆さんがつくってくれたこの空間も素晴らしく、とても気に入っています」
日本の伝統技術に対する関心の高さを感じました(印傳屋上原勇七)
5Fでは、400年の伝統を誇る印傳屋上原勇七の作品が展示された。
「普段はバッグなどをつくっていますが、今回はBE@RBRICKという新しいチャレンジとなりました。まさに伝統と革新ということで、この空間もそこをイメージしてつくりあげました。この張り込みは弊社にはない技術で、普段は革製品をつくられているアーティストの小泉さん(IVXLCDM®レザークラフトマン・小泉裕太郎氏)にお願いをしています。驚くほどの技術です」
そう語ったのは、同社の専務取締役である上原伊三男氏。技術的にどう難しいのか小泉氏に解説してもらった。
「漆を施した鹿革を引っ張るとロゴが歪んでしまうので、伸ばさないようにきっちりと張り込まないといけません。また、革なので厚みも均等でなく、シワが寄ったり突っ張ったりする。そのため、事前にモックをたくさん用意して、何度も試しながら約一年かけて完成させました」
上原専務に、今回の展示の感想を聞いた。
「伝統産業である印傳を若い人たち、これまで知らなかった人たちに発信できる機会をいただき感謝しています。また、皆さんとても興味を持って見てくださっている。弊社のみならず、日本の伝統産業は韓国でも可能性があるのではと感じました」
入場時にお迎えしてくれた巨大なBE@RBRICKのいるルーフトップでは、DJパーティも開催。各フロアも溢れるほどのお客さんで大盛況となったレセプションパーティ。K-POPアーティストやインフルエンサーも数多く訪れ、入り口には彼ら彼女らを一目見ようと多くのファンも詰めかけた。
予想を遥かに超える素晴らしいものになりました(MEDICOM TOY・赤司竜彦)
最後に、キュレーターを務めたMEDICOM TOY 代表取締役社長・赤司竜彦氏に話を聞いた。
「MCMさんから、“日本を感じさせるアーティストと一緒にやりたい”というオファーを受けてキャスティングさせていただきました。当初はどこまでやれるのか見えない部分もありましたが、予想を遥かに超える素晴らしいものになったと思います。
機会があって、若い頃から韓国に来ることが多かったですが、カルチャーやセンスがどんどん洗練されているように感じます。そんな中、韓国の方々に日本からどんなプレゼンテーションができるのか悩みましたが、選ばせていただいた御三方で間違いなかったと感じています」
日本からアクセスしやすく、旅行先として人気の韓国で輝く日本人アーティストたち。2025年9月30日までにソウルに行かれる機会があれば、ぜひMCM HAUSに足を運んでみてほしい。新たな発見がそこにあるはずだ。
BE@RBRICK in MCM Wonderland
会場|MCM HAUS(ソウル特別市 江南区 清潭洞 狎鴎亭路 412)
会期|2025年9月3日~30日(一般公開)
開館時間|11:00~20:00
入場料|無料
会場|MCM HAUS(ソウル特別市 江南区 清潭洞 狎鴎亭路 412)
会期|2025年9月3日~30日(一般公開)
開館時間|11:00~20:00
入場料|無料
問い合わせ先
ウェブサイト
www.mcmworldwide.com
公式SNS
@MCMWORLDWIDE