Anne Valerie Dupond × MAMES  -MAMES編-|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2020年3月24日

Anne Valerie Dupond × MAMES -MAMES編-|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

日仏の奇才による予想外のコラボレーションが実現

今春、2G(渋谷PARCO 2F)にてMAMES個展『DestinyLand』(2020年3月30日(月)〜5月6日(水))を開催することが決定した白河剣太狼とchamiからなるアーティストユニット「MAMES(マメズ)」。

2005年の結成以来、原画や立体作品、アート、水墨画(日本墨画協会理事長・松井陽水流/弟子)、ファッションデザイン、音楽などで、自身の眼に映る世界観を表現し、近年はアートブランドとしてもグローバルに展開している。

今回のエキシビションは多岐に渡るMAMESの活動の集大成。代表作である「BUTTON」をフランスのテキスタイル彫刻家、Anne Valerie Dupond(アン・ヴァレリー・デュポン)が再構築した豪華コラボレーションも実現。まずはMAMES のインタビューをお届けしよう。
──アートユニット「MAMES」をお二人で始められてから、これまでに至る経緯を教えてください。
お互い波乱万丈ありましたので、一言二言では言い尽くせないのですが、何とかアーティストとして制作に向き合えています。最初は絵を並べたときの規則性がある美しさや、形式美みたいなものが好きで、そこにこだわって制作していました。
何でもアリになってしまうと、かえって不自由でバラバラに見えるという感覚がありました。だから、細かなルールの中で、最大限にどう遊ぶのかが個性であり、それを極めることがアーティストであると結論づけました。
およそ14年間、丸のディテールやシルエットにこだわり、その美しさを探究していたとき、所属していた事務所を自主的に辞めることにしたんです。自分たちで新たにやっていこうと思うタイミングで、本当に好きなことや秘めている可能性はないかと模索しました。
今も昔も自分たちが求めているものは、結局のところ「美」というシンプルな存在だと思いました。それは人それぞれの感性で誤解されやすくて、儚く切ない。「美」を追及する芸術には全てを振り切っても情熱をかける価値があると思いました。世の中にまだない新しいものを作りたいという欲求は、愚かで美しく、価値のあることだと。
そういう何とも言えないものを絵にしていたときに、ひとりぼっちで不器用で、笑うのが下手な子を隅の方に描いていました。それが「LONELY GIRL」です。世界で一番孤独な子。人間の友達はひとりもいないけど、誰よりも繊細で純粋で、悲しい存在。言葉にするのが難しい感覚、綺麗な悪夢やインナーワールド、闇のなかの小さな希望の光。そういう、儚い「美」も描きたいと思い始めていました。
LONELY GIRL and BUTTON「have a good plans.」
彼女の一番の相棒である「BUTTON」も、夢と悪夢でいっぱいです。BUTTONはNY@BRICK、standard、VAG、JAM、MEDI……と様々な形で製作してきましたが、これからもまだまだ進化する不思議な猫。「LONELY GIRL」と「BUTTON」によってMAMESは第二のスタートを切ったように感じます。
LONELY GIRLはぎょっとするいたずらを考えたり、人を驚かせたりします。それが彼女なりのコミュニケーション。今作から始まる展示「DestinyLand」計画は、彼女の壮大な夢であり悪夢のはじまりです。
──お二人で具体的に役割分担はされているのでしょうか。
基本的には線を描くのは剣太狼、それ以外はchamiという分担ですが、現在はボーダレス化して、特にどちらかが何をするとは決めていません。発表する作品によってどちらが適しているか、ということで制作することが多くなりました。
──コンセプトごとに「METAPOP」「ARTRASH」「a bear cub ice」などアート・ブランドとして作品を分けていますが、これはお二人それぞれのカラーを特化させたものでしょうか。
基本的にはそうです。例えば「METAPOP」という作品群はほぼ剣太狼主導の作品。昔のカートゥーンのようにPOPで、どこか懐かしく不思議な世界観です。「a bear cub ice 」という作品は、完全chamiの単独作品ブランドです。宝石耳のテディベアで、「全てに愛され美しい」がコンセプト。この子だけは自分の中にあるものと真逆の発想なんです。「ARTRASH」という作品は、2人の集合体で、ゴスなアンダーグラウンドを表現するブランド。自分達の記憶や好きなこと。歪んで両極でも美しいと感じるもの。それらが合わさって新しいものを溢れ出るままに表現しています。
──メディコム・トイとの出会いについて、教えてください。
BE@RBRICKを初めて見た時「こんなに美しいものが世の中にあるのか!!」と驚きました。極限まで削ぎ落としたシンプルなデザインに、丸みや角度があって見ていて全く飽きない。顔の位置も絶妙。全てが計算され尽くした圧倒的「美」を生み出し、世界を魅了し続けるセンスに憧れていました。MAMESとしての出会いはBE@RBRICK SERIES 31のアーティスト枠に選んでいただいたことです。お声がけいただいた時は本当に感動しました。
──これまでメディコム・トイから発売されたアイテムの中で、いくつか思い出深いものについてお聞かせください。
メディコム・トイさんから出た全てのアイテムについて、ひとつひとつ思い出があります。BE@RBRICK SERIES 31の「赤鬼くん」、VAGの「ハヌマーン」「BUTTON」などは、今も長く応援し続けてくれる大事な方々との出会いがありました。MAMES作品をずっと楽しみにしてくれるひとりひとりが、かけがえのない存在です。これからも新しいアイテムの中で、どんな出会いがあるのかいつも楽しみにしています。
「BUTTON」の思い出は沢山あって言い切れないです。例えばJAMという大きなサイズで展開していただいたBUTTONは、本当に存在感が素晴らしくて、驚きました。一緒に出かけたり、隣にいないと落ち着かないくらい生活に密着しています。その後、わたしの記憶から紡ぎ出した、【RUINS PLAYGROUND】廃墟の遊具という作品が生まれました。ここから、制作への向き合い方や表現方法も大きく振り幅が変わりました。そういう意味でも思い出深い作品です。
JAM  CUSTOM / RUINS PLAYGROUND DestinyLand 「graffiti」Ver.
 
廃墟の遊具となった踊り猫ボタン。全高約600mmのジャンボサイズ・フィギュア「JAM BUTTON RUINS PLAYGROUND」に、destiny landのグラフィティをカスタムで施した「graffiti」Ver.が登場。原型制作/PERFECT-STUDIO。38万666円。
──今回、新たにアン・ヴァレリー・デュポンさんとのコラボレーションプロジェクトが発表されました。どういうきっかけで実現することになったのでしょうか。
新しい作品を前に置いて、赤司さんとbut beautiful期のコレクションの話をしていました。そのとき、赤司さんの頭の中で閃光のようなものが走ったんです。次に「凄く良いことを思い付いた。MAMES作品をAnne Valerie Dupondが作ったら……」と。まさに世界にない新しいものが生まれた瞬間でした。UNDERCOVERとアンさんのコラボレーションしたシリーズが好きでいくつか持っていましたし、大好きなアーティストのひとりでした。赤司さんからアンさんへご連絡していただき、MAMES作品を見ていただきました。
──アンさんの布を使った彫刻作品をご覧になった感想を教えてください。
洗練されているのに大胆で奇抜。そして全体的に美しいです。見る前と見た後で自分の価値観が変わります。
──実際にコラボレートするうえで、アンさんとはどういうやりとりをされたのでしょうか。
赤司さんへお願いしてMAMESの作品をアンさんに見ていただきました。「とても怖くて可愛いです、是非お願いします」との言葉をいただいたのがはじまりです。そのあとは3面図をお渡しし、細かなことは何も言い合いませんでした。お互いの才能を信じ合っていたので、必ず良いものが出来上がると確信していました。届いたときに箱の中からボタンが出てきたときは、言葉にならないほど感動しました。個性が強いアーティスト同士で、お互いが全力でぶつかりあって素晴らしい作品へと辿り着くことは奇跡だと思います。芸術の女神はいるのだと思いました。
──MAMESの「BUTTON」とアンさんの作品は、非常に共通する部分があると感じます。
思い返せば「BUTTON」は、自分にとって元になっているものが、子供の頃にいたような気がします。作品の多くが、昔子供の頃に作った“phantom”というシリーズの人形が元になっているんです。遊ぶものがなかったので、古着や身近な布を使って、その中に小豆や米を入れて重さを出していました。ひとりぼっちの自分と遊んでくれる仲間を沢山作っていました。その中にボタンの眼をした子がいたのですが、周りからは不気味で怖がられていました。自分にとっては可愛いんですけれど。いつも小脇に抱えていました。そういう記憶からも作品は生まれているので、繋がる部分があるのかもしれません。
──MAMESのお二人から、今回の出会いはどういう意味があり、キャリア的にどういう位置付けになると感じてらっしゃいますか?
今回の出会いの意味も含めて、自分の追及する芸術にとってひとつのターニングポイントです。アンさんとメディコム・トイさんとMAMESの3者は、全員が個性の強いアーティストであり、そのコラボレーションというのは奇跡です。型にはまらず、自分の信じる美しさを追求し新しいものを創っていくという意識がポイントだったと感じます。
──完成した作品について、アピールしたいポイントなどを教えてください。
今回のスタチューは、オリジナルサイズの精巧なレプリカでありながら、MAMESが手掛ける一点もののアートピース。最初に塗装するために箱から出した時にはあまりに神々しく、触れるのが怖いくらいでした。作品はMAMESが一点一点大事に塗装しています。アンさんの作品はアーティスティックで、一点ものならではの味やパワーが強い。アンさんの芸術性と、MAMESの芸術性を組み合わせてどう表現していくのか、という新たな挑戦に取り組み、今まで見たことがない作品になったと感じています。
──最後にメディコム・トイに対する印象と、今後やってみたいことを教えてください。
メディコム・トイさんの印象はBE@RBRICKだけでなく、いろんな側面を持っていて、全てが一流で美しい。アーティストたちが、常に新たな挑戦をする場所であり、唯一無二の憧れです。まだ世界にない、新しい価値観をこれからも一緒に作っていけたら嬉しいです。

ARTRASH drawings

LONELY GIRL and BUTTON「have a good plans.」
サイズ:F6(W318mm H409mm)。38万9666円(税込)
LONELY GIRL
「like a jokes nightmare.」「Fun alone.」
「tiny dream.」「l o l .」「scared?」
サイズ:W200mm H200mm。各18万666円(税込)
trash or castle
サイズ:F10(W455mm H530mm)。68万666円(税込)
fly gem
サイズ:F10(W455mm H530mm)。68万666円(税込)
popcorn bucket
サイズ:F8(W379mm H455mm)。60万6600円(税込)
※作品は一点もののアートピースになります。制作中のため色味など完成品と若干異なる可能性がございます。
ARTRASH “RiBahhS” BUTTON [ノーマル版]
 
ARTRASH “RiBahhS” BUTTON [MAMES(カスタム籠入)抽選販売]
 
2Gでの個展開催を記念して“RiBahhS” BUTTONのフィギュアが登場。各全高約130mm。[ノーマル版] 1万3200円(税込)。[MAMES(カスタム籠入)抽選販売] 6万6600円(税込)
※作品は一点もののアートピースになります。制作中のため色味など完成品と若干異なる可能性がございます。
FLY GEM SV925(EDITION20)
 
ハットピンの鬼才、TOMOHILO YAMAMULOがMAMESのアイコンを立体化。SV925の本体+両目にキュービックジルコニアを配したMAMESのアイコンFLY GEMのピンズ。マスターモデル製作:山室智裕。全高約20mm。2万7500円(税込)
DestinyLand CASTLE logo T-shirt, ART or TRASH T-shirt
 
MAMESのアイコンをプリントしたTシャツも2種発売。サイズ:M/L/XL 各6066円(税込)
DestinyLand TOTE BAG
サイズ:W490mm H700mm D120mm(持ち手300mm)。ショルダーストラップ1050mm (調整可能)。容量:21L。素材:ポリエステル。8800円(税込)
※素材の特性上、熱をかけると縮む場合がございます。
※ポリエステル素材の染色には分散染料を用いている為、熱加工によりブリードを起こす可能性がございます。お取り扱いにはご注意ください。
©️ MAMES
©️ MAMES/Anne Valerie Dupond
2G
場所|渋谷PARCO 2F
東京都渋谷区宇田川町15-1
営業時間|11:00~20:00 (変更になる場合がございます)
※営業時間の最新情報は渋谷PARCO公式サイトにてご確認ください。
Tel|03-6452-5003
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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