アーティスト自ら一体ずつ絵付けをした200体限定の陶器製フィギュア【花井祐介インタビュー】 | MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2023年1月24日

アーティスト自ら一体ずつ絵付けをした200体限定の陶器製フィギュア【花井祐介インタビュー】 | MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

CERAMICK Mr. NASTY

少しシニカルだけどユーモアのある世界観でワールドワイドに注目を集めるイラストレーター・花井祐介。メディコム・トイはこれまでも花井氏の描くキャラクターをBE@RBRICKやVCD(ソフビフィギュア)にてリリースしてきたが、このたび日本では愛知県・東山動植物園にしか生息しないラーテルという動物を描いた「Mr.NASTY」がソフビに続いて陶器でも立体化されることになった。

Text by SHINNO Kunihiko|Edit by TOMIYAMA Eizaburo

僕のわがままで、絵付けは僕が一点ずつ行いたいと言いました

今回、陶器となって立体化された「Mr.NASTY」。製造は鹿児島の陶磁器の名工房「ONE KILN・ワンキルン」。しかも、花井氏が自ら一体一体絵付けをして焼き上げているため、目と顔の表情やラーテルの身体のラインがすべて異なる。200体のみの限定生産で、花井氏による直筆サインとエディションナンバーが入る。
今回は発売を記念してメディコム・トイとの出会い、そして本作の経緯について花井氏にうかがった。
a
花井祐介
YUSUKE HANAI

1978年神奈川県出まれ。50~60年代のカウンターカルチャーの影響を色濃く受けた作風で、日本の美的感覚とアメリカのレトロなイラストレーションを融合した独自のスタイルを形成している。アメリカ、フランス、オーストラリア、ブラジル、台湾、イギリスなどで作品を発表し、現在までにVANS、NIXON、BEAMS などへのアートワークの提供など国内外問わず活躍の場を広げている。
a

はじまりは60〜80年代のサーフィン文化からの影響

──花井さんのルーツはサーフィンにあるとうかがいました。
花井 高校生の時にサーフィンを始めました。友人がアルバイトをしていたカフェのオーナーが湘南のサーファーで、その人に海に連れて行ってもらったのが初めてのサーフィンです。
そのカフェのオーナーに60〜80年代のサーフィン文化を教えてもらい、その時代のサーフィンや音楽のグラフィックに興味を持ったことがきっかけで、その時代のイラストレーターやアーティストの絵を真似して描いていたのが始まりです。
──メディコム・トイからの最初のリリースは2015年12月発売の「BE@RBRICK SERIES 31」の一体でした。花井さんとメディコム・トイとの出会いについてお聞かせください。
BE@RBRICK SERIES 31(2015年12月発売)
©️ YUSUKE HANAI
花井 アメリカの友人が以前NIKEに勤めていた時にメディコム・トイさんと仕事をしたことがあり、彼からの紹介がきっかけでした。
2000年代初頭に20代だった僕らの世代では、メディコム・トイさんを知らない人はほぼいないと思います。ベアブリックはもちろん、KAWSとの取り組みなど憧れを持って見てきました。
──2018年5月に発売された最初のVCD「Mr.Stoop」、2021年9月に2Gで発売されたVCD「BUM SAN」について、お名前の由来やどんなキャラクターなのか教えてください。
VCD Mr.Stoop(2018年5月発売)
©︎ YUSUKE HANAI
VCD BUM SAN(2021年9月発売)
©︎ YUSUKE HANAI
花井 Mr.Stoopの“Stoop”というのは猫背という意味で、僕がいつも描いている臆病でパッとしない、でも誰の中にもありそうなパーソナリティを形にしてしたキャラクターです。
そしてBumさんはStoopの先輩という立ち位置でサーファーです。サーフィンバカのことを英語で「Surf bum」や「Beach bum」というのでBumさんと名付けました。
パッとしないだらけた男にサーフィンを教えて人生の楽しみを伝えてくれるろくでなしの先輩です。
──2018年11月にはスケート界のレジェンド「Steve Caballero」のVCDも発売されました。どういう経緯でキャバレロとコラボレーションすることになったのでしょうか(商品に限らずキャバレロにまつわるエピソードあれば併せて教えてください)。
Steve Caballero × YUSUKE HANAI(2018年11月発売)
©️ YUSUKE HANAI
©️ STEVE CABALLERO
花井 2016年にVansのグローバルから僕がコラボしたカプセルコレクションが発売になりました。
その時にVansが40周年ということもあり、本社から歴代のレジェンドサーファー、スケーターを描いて欲しいという依頼を受けて描いたものがTシャツとなりました。
そのTシャツをメディコム・トイさんが見てくださり、キャバレロの絵を気に入ったのでフィギュアに出来ないかと依頼されました。キャバレロ本人に直接確認をしてみるとフィギュアのコレクターだったらしく、メディコム・トイさんの大ファンだということで大変喜んでくれて、すぐに制作に入ることができました。

子供を動物園に連れて行った親もときめくグッズ

──そもそも花井さんが日本では東山動植物園にしかいない「ラーテル」を描くことになった経緯と、「Mr.NASTY」という名前の由来について教えてください。
花井 2016年から東山動植物園のグッズ制作の仕事をしていて、東山動植物園にいる動物をたくさん描いてきました。自分の幼い頃の夢が動物園の飼育係だったので、動物園の仕事で動物を沢山描けるのは夢のようです。
東山動植物園といえばコアラ、イケメンゴリラ、フクロテナガザルが人気なのですが、色々と調べていると「ラーテル」という見た目は可愛らしいアナグマなのに実はとんでもなく変な生き物がいることを知りました。
YouTubeで調べると、“Nasty Honey badgers(ラーテルの英名)don't give a shit”という動画を見つけました。 スラングで汚い言葉なのですが、「ヤバいラーテルはどんなことも気にしない」という意味です。
コブラに噛まれても軽く酔っ払う程度で逆にコブラを食べてしまい、ライオンに威嚇されても逆ギレするオカシサに惹かれてしまいました。そして調べてみるとラーテルは日本では東山動植物園にしかいないそうで、東山植動物園のグッズとして作らない訳にはいかないと思いました。 
──「Mr.NASTY」の立体化は花井さんご自身も早くから望まれていたそうですね。
花井 動物園のグッズはどの動物園に行ってもいつも変わり映えのないもので、子供を連れて行った親でも何かときめくものは作れないかと思い、東山動植物園のグッズを作り始めました。
それまでTシャツや水筒は作っていたのですが、フィギュアは初でした。親子で楽しめる思い出になってくれればという思いで作りました。
VCD Mr.NASTY(2021年7月発売)
©︎ YUSUKE HANAI
──2021年7月、ソフビ製の「VCD Mr.NASTY」が発売されるや大きな反響を呼びました。今回の「CERAMICK Mr.NASTY」完成までの経緯については花井さんは早くからインスタグラムで紹介されていましたが、陶器へのご興味など、この作品に感じていらっしゃることについて教えてください。
花井 まずはソフビで制作することしか考えていませんでした。ソフビを制作した後にメディコム・トイさんの展示会でMark Gonzalesの陶器の立体作品を見て、ラーテルも陶器で作りたいと伝え、制作が始まりました。
──陶器での制作において難しかった点など、苦労されたことがあれば教えてください。
花井 基本素焼きまでONE KILNさんにお任せしていたので僕が難しかった点はなく、ONE KILNさんが苦労したことは沢山あると思います(笑)。
その上に僕のわがままで、絵付けは僕が一点ずつ行いたいと言いました。ONE KILNさんにはかなり無茶をお願いしてしまったと思います。
陶器で200体限定ということで単価が上がってしまうので、そうであれば僕が一点ずつ絵付けをすることでエディション作品でありながら、一点ずつ表情が違うユニーク作品にもなり得るし、所有する人の喜びも増えるのかなと思っています。
そして、僕が実際に鹿児島のONE KILNさんの窯元に伺って釉薬選びから火入れの具合まで選ばせてもらったので、納得できる仕上がりになっています。
また、釉薬の塗り具合、溶け具合、自分の絵付け全て一点一点違う出来上がりになっているので比べるのも楽しいと思います。
──今後メディコム・トイとやってみたいこと、新たに展開したいシリーズなどございましたら教えてください。
花井 コラボや実際の人物もいいのですが、やはり自分が作りたいのは自分の頭の中の人々ですね。また、可能であればMr.Stoopのカリモクを作ってみたいです。
──これから予定されている個展やイベントの予定がございましたら、ぜひご紹介させてください。
花井 今年は1月にシンガポールで開催される大きなアートフェアに出展し、6月頃に国内で個展を開催する予定です。まだ詳細な日時は決まっていませんが、決まり次第自分のSNSで発表します。
CERAMICK YUSUKE HANAI Mr. NASTY
サイズ|全高約310mm
価格|16万5000円(税込)    
販売方法|MEDICOM TOY PLUS、2Gにて発売
発売日|2023年2月発売予定
©︎ YUSUKE HANAI
a
MEDICOM TOY PLUS
住所|東京都渋谷区神宮前4-12-10 表参道ヒルズ西館B2F
営業時間|11:00 〜 21:00(日曜日のみ20:00閉店)
定休日|不定休
TEL|03-3479-5555
MEDICOM TOY PLUS NAGOYA
住所|愛知県名古屋市中区栄3-29-1 名古屋パルコ 西館1F
営業時間|11:00 ~ 20:00
※最新の営業時間は名古屋PARCO 公式サイトご確認ください
定休日|不定休
TEL|052-228-0287
2G TOKYO(ツージー・トーキョー)
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 2F
営業時間|11:00~20:00
※最新の営業時間は渋谷PARCOのHPにてご確認ください
定休日|不定休
TEL|03-6452-5003
2G OSAKA(ツージー・オオサカ)
住所|大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 心斎橋PARCO2F
営業時間|10:00~20:00
※最新の営業時間は心斎橋PARCOのHPにてご確認ください
定休日|不定休
TEL|06-4256-3997
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
Photo Gallery