2010 ミラノサローネ 最新リポート|アレッサンドロ・アニーニが見たイタリアンデザインのいま 後編
DESIGN / FEATURES
2015年4月17日

2010 ミラノサローネ 最新リポート|アレッサンドロ・アニーニが見たイタリアンデザインのいま 後編

特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2010

アレッサンドロ・アニーニが見たイタリアンデザインのいま 後編(1)

後編では前編に引き続き、おなじみ「Bottega Veneta」のホームコレクションや、デザイナーズ家具の「Cappellini」、イタリアのコンテンポラリーデザインを牽引する「Driade」、国内トップの照明メーカー「Flos」の4つのブランドをご紹介。イタリアンデザインの真髄に迫る。

Text&Photo by Alessandro Agnini


Bottega Veneta
ボッテガ・ヴェネタのテーマは日本の文化と工芸。学生によるデザインコンペティションと、日本の職人とのコラボレーションを実現した。なんとコンペで賞を勝ち取った東京大学の学生の作品は、ボッテガの卓越した職人芸によって製品化され、サローネ終了後には実際にショップで販売されるという。また、あたらしいホームコレクションとともにパーマネントコレクションや日本の工芸品も展示され、期間限定のショップも併設。日本限定発売のアイテムも取り扱い、おなじく販売されたバッグやレザー製品もすべてサローネ限定!

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Cappellini
今年のカッペリーニはここ数年間のパートナーであるマルセル・ワンダースやジャスパー・モリソンを起用するとともに、若い才能にも活躍の場を与えていた。トッド・ブラッチャーのスツール「Alodia」、まるで折り紙のようなロウ・エッジの「Tailored Wood」、またスウェーデン人の学生 マーティン・ヴァリンが発表した「The Secret Clubhouse」は、自身が通っていたコペンハーゲンの学校に捨てられていた木材を使って制作したアームチェア。子どものころに憧れたツリーハウスのような外観で、座るとまるで貝殻に包まれ外の世界から守られているような安心感を得られる。

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特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2010

アレッサンドロ・アニーニが見たイタリアンデザインのいま 後編 (2)

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Driade

今季のドリアデはファビオ・ノベンブルの最新作を紹介。「Nemo」と名づけられたそのユニークな椅子は、巨大な人間の顔。過去に発表されたひとのからだをデザインしたノベンブルの「Him」「Her」や、女性のからだをかたどったソファ「Divina」の2作品を思い起こさせる。仮面の形をした「Nemo」は、座るひとを包み込み、すっぽりとおおい隠す。椅子として、またアート作品としてインテリアを彩ってくれることだろう。ほかにも注目すべきはミッキー・アストーリの「Zelight」。アウトドアでもインドアでも使用でき、テーブルにのせても、天井から吊るしても、床に置いてもいいという多機能性に優れたランプだ。

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Flos

フロスは特殊素材とあたらしいテクノロジーを使ったコレクションを発表。「Soft Architecture」と題し、環境に優しいエネルギーとして開発された、最先端の不可燃性合成素材を展示した。デザイナーはロン・ジラッドやフィリップ・スタルク、セバスチャン・ロング、マルセル・ワンダース、アントニオ・チッテリオ、パオロ・ブランビラなど錚々たる面々。照明はいずれも壁や天井に溶け込む様に一体となったデザインで、照明は単なる電化製品ではなく、住居という環境の一部であるというコンセプトを表現している。

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特集|ミラノサローネ国際家具見本市 2010

アレッサンドロ・アニーニが見たイタリアンデザインのいま 後編 (3)

サローネを終えて

2010年のサローネの感想、それは前編でも言ったとおり、「やっぱりサローネはすばらしい!」のひと言に尽きる。前回に比べて出展者の数が減ったとはいえ、サローネの活気は今年も変わらない。何千人もの人びとが訪れ、展示やインスタレーションを満喫し、アペリティーボ(食前酒とビュッフェスタイルのおつまみが並ぶサービス)やそぞろ歩きを楽しむようすが見られた。

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ミラノ市街の様子

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ミラノ市街の様子

もちろん100パーセントいい面ばかりではなかったりもする。市内の交通は完全に麻痺して、ボッテガ・ヴェネタのパーティーのあと1時間も渋滞にはまってしまった。それから家具やデザインになんて興味のない地元のひとにとっては、何千人ものひとが自分の街に押し寄せて、日常生活をかき乱していくのは迷惑な話だろう。行きつけのバーがサローネ来訪者に占拠されて予約なしでは入れなくなってしまったり、いつもおしゃべりをしていた気の置けないバーテンもほかの接客に夢中になって知らん顔。いつもは10分で行けるはずの場所に1時間かかったり。

でもその辺に目をつぶれば、会期中の街中の熱気は決して悪いものじゃない。むしろ僕は、自分の愛するミラノの街が楽しく盛り上がる1週間が大好きだ。世界中どの都市にも街中の人びとがクレイジーになれる瞬間があるはず。ミラノではそれがサローネなのだ。

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Alessandro Agnini|アレッサンドロ・アニーニ
1979年ナポリ生まれ、ミラノ育ち。大学で広告&コミュニケーションを専攻し、卒業後はトッズ・グループに入社。広告やグラフィック全体の制作を担当。2005年からフリーとなり、2006年より日本にベースを移す。現在フリーのアートディレクター、フォトグラファーとして活躍中。

           
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