愛らしさの中に毒を潜ませるキノコ、Mr. Buttons生誕秘話|MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2020年3月24日

愛らしさの中に毒を潜ませるキノコ、Mr. Buttons生誕秘話|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY | メディコム・トイ

WILL SWEENEY(ウィル・スウィーニー)インタビュー

ロンドンを拠点に活動するイラストレーター/グラフィック・アーティストのWILL SWEENEY(ウィル・スウィーニー)。
緻密かつ大胆な色使いにより生み出される、サイケデリックなアートワークで世界中にファンを持つ彼は、UNDERCOVERなど数々のファッションブランドとのコラボレーション、アドベンチャーコミック「Tales from Greenfuzz」の制作、自身のTシャツレーベル「Alakazam !」の運営など多岐にわたって活躍。
2018年には日本で11年ぶりとなる個展「VORPAL SWORD」を、東京・渋谷DIESEL ART GALLERYにて開催。「VORPAL SWORD」というタイトルは1871年に発表されたルイス・キャロルの児童小説『鏡の国のアリス』に登場するナンセンス詩「ジャバウォックの詩」から取られたという。
今回は、3月発売予定の「UNDERCOVER Mr. Buttons lamp」について、UNDERCOVER及びMEDICOM TOYとのコラボレーションの感想、謎に包まれたMr. Buttonsなるキャラクターの素性、製作にまつわる裏話をうかがった。
           
──まずはこれまで影響を受けたカルチャーについて教えてください。
私は10代前半でパンク・ミュージックとその周辺のカルチャーに興味を持ちました。友人がSex Pistolsのテープを貸してくれて、その音楽とビジュアルに完全に圧倒されたのです。すぐに映画『ザ・グレイト・ロックンロール・スウィンドル』を観て、UKパンクの見た目や立ち振る舞い、イコノグラフィーに夢中になりました。母が何枚かレコードを持っていたThe Clashも、とても気に入りました。1988年にJoe Strummerのコンサートを観に行った時、短い時間でしたが楽屋で彼に会えたのはいい思い出です。
16歳の時に The CrampsのコンピレーションLP「Off The Bone」を購入し、すぐに The Crampsがフェイバリット・バンドになりました。少し経って、1960年代のUKのカウンターカルチャーとサイケデリック音楽についての知識を得ると、その手のバンドが出演するフェスに頻繁に行き始めるようになり、現代のアングラ的なサイケデリック・シーンを目の当たりにしました。こうした経験が私のビジュアル的側面と音楽的側面を成長させてくれたので、私の作品にはその影響が色濃く残っています。
──今回の「UNDERCOVER Mr. Buttons lamp」のプロジェクトはどのようにして始まったのでしょうか。
デザイナーのジュン(=高橋盾氏)とは古くからの知り合いで、過去に何度か一緒にグラフィックで仕事をした他、2007年にはSusumu Mukai(ZONGAMIN)さんと共同で「Mutatis Mutandis」という展覧会をUNDERCOVER青山で開催しました。
ジュンはMEDICOM TOYと私が共作した「Glowskull」(2016年発売)を見た時に、また一緒に何かを作りたいと考えたそうです。UNDERCOVERとMEDICOM TOYはこれまでも「UNDERCOVER HAMBURGER LAMP」など、オリジナルのランプを製作していますが、私とのコラボレーションについて話し合い始めると、意外とすぐキノコのアイデアに決まりました。
「Mutatis Mutandis」ではマッシュルームやキノコのイメージを多数引用しましたが、ああいう「不思議の国のアリス」や日本のSFホラー「マタンゴ」のようなイメージは、ジュンと私にとっては非常に面白く感じられるものです。私たちは非常に可愛らしく、どこかダークな面を持ち合わせるものを作り出そうとしました。
──Mr. Buttonsはどういうキャラクターですか? クモとの関係も含めて教えてください。
Mr. Buttonsは今回のために私が描きおろした新しいキャラクターですが、私がこれまで描いてきたコミック「Tales From Greenfuzz」の世界観ともつながっていると思います。私はいつかキノコ型のキャラクターを作りたいとずっと考えていました。Mr. Buttonsには可愛さとちょっと奇妙で悪そうな感じの絶妙なバランスを持たせています。無垢な見た目のキノコだけど、実は毒入りかも知れません。
spider(クモ)はMr. Buttonsの一番の親友で、彼には名前がありません。彼らはテレパシーで会話し、spiderがMr. Buttonsに彼らが住む、摩訶不思議な森(magical forest )の向こうにある世界について教えてくれると、Mr. Buttonsは彼に色とりどりな光を見せてあげます。
──今回、ランプ製作時にこだわったこと、お気に入りのポイントを教えてください。
私の最初の提案は、光はかなり明るめで色を濃くしたいという考えでしたが、ジュンはもっと弱めたほうがいいとのことでした。最初の製品サンプルを受け取って、造形物と色の組み合わせによる照明効果を目にした時、心から嬉しかったです。最高のものを作る方々と仕事をしていることは分かっていたので、きっと私の絵を正確に読み取っていただけると完全に信頼を置いていました。
──ランプの光が4色に変化するギミックはあなたのアイデアですか?
みんなでアイデアを出し合いました。ジュン、MEDICOM TOY、私でいろいろアイデアを出し合い、私が「60年代スタイルのラバライトのようなものが作れたらいいな」と言ったら、ジュンが「一定の間隔でいくつか色が変わりながら点滅するのはどうだろう」と提案したのです。そのアイデアが出た時は非常に盛り上がりました。
──パッケージイラストについても教えてください。
これはMr. Buttonsが住む世界──奇妙な生き物に満ちたおとぎ話の森について、ちょっとだけ皆さんにお見せする予告編のようなものです。今後この森を舞台にしたコミックやアニメーションの物語を作っていきたいと思っています。
──UNDERCOVERとはこれまでも“Alakazam!” などでコラボレーションしていますが、印象はいかがですか?
UNDERCOVERは大好きなファッションブランドであり、私にとってもはやブランドを超えた存在です。アーティストでありデザイナーであるジュンの作品からは常にインスパイアを受け続けています。UNDERCOVERの核心にはパンクな創造力があり、同時にポップカルチャーを独自の視点で組み合わせる、レトロフューチャーな感覚も備えていると思います。
──MEDICOM TOYとは、これまでBE@RBRICK(WORLD WIDE TOUR)、ソフトビニールフィギュア「GLOWSKULL」、FABRICKのテキスタイルデザインを使ったアイテムなど、多岐に渡る製品をリリースしています。特に思い出深いアイテムはありますか?
GLOWSKULLのトイとFABRICKのパターン制作は楽しい作業でしたし、素晴らしい出来になったと思います。ハンドペイントで製作した一点ものの1000%BE@RBRICKも大変でしたが、とてもいい取り組みでした。長年にわたるMEDICOM TOYとのコラボレーションのおかげで、私の仕事に興味を持つ人がさらに増えたので、とても感謝しています。
──現在手がけているプロジェクトについて教えてください。
Mindseye Trooperというキャラクターをフィーチャーしたコミックが近日完成予定で、米国のFantagraphics Booksより「Tears of The Mindseye」という題名で出版されます。日本では以前Mindseye Trooperのトイを作ったFerntoyと、もうひとつMindseye シリーズの玩具デザインに取り組んでいます。また、私のこれまでのアーカイブ作品集「Grok」もフランスの出版社Maniaより間もなく出版されます。
──最後に日本のファンにメッセージをお願いいたします。
Mr. Buttonsが皆さんの生活の一部になるよう、このキノコのために場所を作ってあげてください!
UNDERCOVER Mr. Buttons lamp
原型製作|PERFECT-STUDIO
サイズ|全高約280mm
価格|4万5000円(税別)
発売日|2020年3月28日発売予定
販売元|UNDERCOVER
取扱店舗|メディコム・トイ直営各店、メディコム・トイオンラインストア各店、及びUNDERCOVER取り扱い店舗(一部店舗除く)

※数量限定販売となります。万が一品切れの場合はご容赦ください。

©︎ WILL SWEENEY
問い合わせ先

UNDERCOVER
Tel.03-3407-1232

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
Photo Gallery