Panasonic|「ミラノサローネ2014」現地速報
DESIGN / FEATURES
2015年4月16日

Panasonic|「ミラノサローネ2014」現地速報

「ミラノサローネ2014」展示コンセプトは“SLIDING NATURE”

ミラノ大学中庭に出現した呼吸する家

ミラノ大学構内の中庭に出現した家型のオブジェクト。引戸がゆっくり呼吸するように開閉し、その動きにあわせて周囲にある植物に見立てた175個のLED電球が点滅して、中庭全体が呼吸する家になる ── 7年連続出展となるパナソニックのミラノサローネ2014。今年は“SLIDING NATURE”をコンセプトに、トラフ建築設計事務所が会場展示の構成を担当。住環境と自然が呼応する空間を、大型引戸とLED照明を用いて表現している。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)Photographs by SHIGETA Satoshi, Santi Caleca

重厚な建築の中庭で、軽やかさを表現

過去2年、ミラノサローネでは、地球環境やエネルギーなど、私たちの生活にかかわる大きなテーマを抽象的に表現してきたパナソニック。今年は一転して、住宅建材・設備や電設資材、照明器具を用いて、実際の住宅に近い考え方からインスタレーションを構想。パナソニックの最新技術と日本古来の住文化の“知恵”を融合させた、自然と共生するあらたな空間をプレゼンテーションした。

今回、会場展示の構成を手がけるのは、建築、インスタレーション、インテリアなど幅広い分野で活躍するトラフ建築設計事務所。先進的デザインや次世代の暮らしのあり方をパナソニックとともに提示。

トラフ建築設計事務所の鈴野浩一氏は、「今回は場所選びから参加し、ミラノ大学の中庭での展示を希望しました。メイン展示は、壁4面・全部で10枚の引戸で構成した家型のオブジェクトで、引戸とLED照明がさまざまな動きをしながら、重厚な建築の中庭で軽やかさを表現しています」と語る。

PANASONIC|ミラノサローネ2013 04

さらに、「呼吸するような引戸の開閉に合わせて、周りにある植物のようなイメージのLED電球、庭を囲む回廊のLED照明と、家の天井を照らす映像により、中庭全体で体感できるインスタレーションとなっています」とつづける。

ゲストは中庭には入れないが、回廊からぐるりとその展示を見ることができる。

PANASONIC|ミラノサローネ2013 06

PANASONIC|ミラノサローネ2013 08

家のあり方が変わってきている

日本の住宅は、ふすまや障子などの引戸を活用して、四季を通じて心地よい風を通し、柔らかな日の光を導き、景色を楽しむなど、自然がもたらす恩恵を上手に取り込んできた長い歴史をもつ。

近代の住宅では開き戸の需要が多かったが、最近は引戸の需要が増え、引戸を上手に使った家が増えてきている。今回のパナソニックのインスタレーションはそういうニーズに対応し、より先進性をくわえたもの。住空間を意識した家型のオブジェクトは、ミラノ大学の非日常的な空間のなかで引戸の性能を引き出している。

今回の展示では、心地よい風や光といった自然の恩恵に対しては空間を開き、暑さや寒さなどに対しては空間を閉じるという“パッシブ”エネルギーマネジメントのコンセプトに基づく「引戸」と、暮らし方に合わせた光の演出によって空間価値の向上と省エネ化を同時に実現する“アクティブ”エネルギーマネジメントの構成要素「LED照明」のハイブリッド。住まいやひとの暮らしと自然とのあたらしい関係性を「SLIDING NATURE」として提案している。

中庭と回廊で使用しているのは、たった1300ワット!

トラフ建築設計事務所の禿(かむろ)真哉氏は、「私たちの実際の住宅設計では、引戸を建具と考えないで、“動く壁”として考え、空間をダイナミックに変えていく装置として使っています。また、今回、隣接会場では、中庭では手に触れられない商品や、キッチン周りの商品を展示しています。さらに、私たちの作品である“空気の器”の特別バージョンも展示し、空間を軽やかに見せる演出も見どころの一つです」と語る。

会場全体をつかさどるLED照明は、調光と色のコントロールが自在で、とくに夜のシーンで生命体のような演出の主役となっている。LED照明は中庭で175灯、回廊で120灯使用。会場入り口には面発光LED照明器具「パネルミナ」のペンダントライトを50台配置し、インタラクティブな調光も体験できる。コントロールされているが、全体で1300ワットとドライヤー3個分の消費電力を実現。エネルギーマネジメントによる呼吸する家という試みにリアリティをもたらしている。

PANASONIC|ミラノサローネ2013 10

展示コンセプト|SLIDING NATURE
会期|2014年4月7日(月)~13日(日) 9:00~24:00
会場|INTERNI:FEEDING NEW IDEAS FOR THE CITY
Università degli Studi di Milano:Cortile Farmacia
ミラノ大学内 コルティーレ・ファルマチア
(via Festa del Perdono, 7 – Milano)

問い合わせ
パナソニック エコソリューションズ社 宣伝・広報グループ
総合企画チーム
Tel. 06-6908-1131(代表) 受付 8:45~17:30
http://panasonic.net/milanosalone

トラフ建築設計事務所
鈴野浩一(すずのこういち)と禿 真哉(かむろしんや)により2004年に設立。建築の設計をはじめ、ショップのインテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザイン、空間インスタレーションやムービー制作への参加など多岐に渡り、建築的な思考をベースに活動をつづけている。

主な作品に「テンプレート イン クラスカ」「NIKE 1LOVE」「港北の住宅」「空気の器」「ガリバーテーブル」など。「光の織機(Canon Milano Salone 2011)」は、会期中のもっとも優れた展示としてエリータデザインアワード最優秀賞に選ばれた。2011年『空気の器の本』、作品集『TORAFU ARCHITECTS 2004-2011 トラフ建築設計事務所のアイデアとプロセス』 (ともに美術出版社)、2012年絵本『トラフの小さな都市計画』 (平凡社)を刊行。

http://torafu.com/

           
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