マシュー・ワォルドマン|Vol.13 デザインウィーク @ NYC
Vol.13 デザインウィーク @ NYC での興奮
ようやく!NYCで本当のデザインウィークがはじまった!! お待たせしました! 久しぶりの新着記事です。
文・写真=マシュー・ワォルドマン
Nookaも3ヵ所の展示会に登場。僕はさらに企業主催のパネルディスカッションにも参加
いままでNYC(New York Cityの略ね)に対して、ブツブツ言ってたことのひとつ。それは、ちゃんとしたデザインウィークがこれまでなかったこと。でも、もうそんな文句も言えなくなりそうな気配!!
なぜなら、先月の5月13日から18日に開催された「ICFF(International Contemporary Furniture Fairの略ね)」とともに、ミラノサローネで展示をおこなったグループが、同時開催されていた「INTERNI Offsite Design Week」に出展していて、それがなんともすばらしかったから!
100ヵ所以上にものぼるオフサイト展示のうち、半分ぐらいは見て回ったかな? それにくわえ、僕たちNookaも、3ヵ所もの展示会に参加したうえ、さらに僕は、PSFKという企業が主催するパネルディスカッションにも参加していて……。いやいや、本当に忙しい週末だった。
その3ヵ所の展示会とは?
CITE goes America
ニューヨークとオランダの400年以上の交流をテーマにした、CITE SHOWROOMでは「Welcome to the New American Home」という展示会が開催された。
ニューヨーカーおよびアメリカ人によるデザインをフィーチャーするため、キュレーターのAlissia Melka-TeichroewとJan Habraken(NYCで活動するオランダ人デザイナー)のディレクションにより、400スクエアフィートの家がつくられた。そのなかでNookaのプロダクトがちょこちょこ展示され、とてもいいプレゼンテーションになったと思う。以下、展示の概要。
一国としての見え方から、カルチャーの坩堝(るつぼ)にいたるまで。CITE SHOWROOMは、大成功を収めた昨年の展示「400 Years Later, CITE Goes Dutch」につづき、ICFFにおける2010年バージョンの、あらたなアメリカ人によるデザイン展示「400 square feet later, CITE goes America」を開催した。
キュレーターのAlissia Melka-TeichroewとJan Habrakenは、400スクエアフィートのスケルトンの家をつくり、そして彼らは、老いも若きも、有名無名も問わず、アメリカに拠点を置くデザイナーと企業によってつくられた、コンテンポラリーな作品をセレクトすることで空間を埋めていった。あらたなアメリカ人の家という感覚を創出することによって、訪れる人びとに、その家を占有した内容から、強く、そして興味深い現代のデザインを体験させるのが彼らの狙いだ。
この展示は、出身国や、背景はそれぞれちがえども、現在アメリカという国で生活し、働くデザイナーや企業にあえてスポットを当てることで、このダイナミックな坩堝と化したカルチャーこそが、唯一で比類なきアメリカという姿である、という事実を投影している。
Sounds Like
セラミック製のスピーカーをデザインした、ブルックリンに拠点を置くインディペンデント・デザイナー、Joey Rothとコラボレーションした展示会「Sounds Like」にも参加した。
僕はハトリ・ミホとコラボレートし、自分の作品のサウンドトラックを制作してもらって、完璧な、すばらしいオブジェができあがった! と個人的に思った。古い家具に、セラミック製のスピーカー、そこに照明とハトリ・ミホのすばらしい音が流れ、まさにタイムマシン感覚。自分でいうのもなんだけど、8人が出展している作品のなかでも、とても好評だった。以下、展示の概要。
今年のはじめにJoey Rothが発表したセラミック製のスピーカー。陶磁器の本体とナチュラルなバーチ材のスタンドは多くの人びとにとってはまっさらなキャンバスのように見える。そのため、Joeyは、自身が選んだ9人のアーティストとデザイナーにそのスピーカーのセットを渡し、そしてそれぞれは、自身のヴィジュアル手法を用いてカスタマイズをおこなった。
さらにコラボレーターたちは、彼らが再構築したスピーカーシステムに合わせた楽曲を創り上げるため、ミュージシャンと共同作業し、展示のあいだ、これらの曲は、対応したスピーカーセットから絶え間なく流れることで、それぞれのコラボレーターのコンセプトはオブジェとしても、また、楽曲としても展示される。
Uncomfortable Coversations
Design Glutもブルックリンに拠点を置くデザインチーム。コンセプチュアルなアクセサリーをつくっているだけではなく、デザインコミュニティーで活動するふたりは「Uncomfortable Conversations」という展示会を企画。もしかしたら一番楽しかったかも!?
彫刻というか、下半身のマネキンをベースにして、ワインをこぼした女性と、勃起している男性の型で表現したら(笑)、見るひとにはとっても興味深かったようで、文字通り「Uncomfortable Conversations」がいっぱい生まれて、大成功だと言われた! 以下、展示の概要。
私たちは、人びとの成熟を促すために、この「Uncomfortable Conversations (不快な会話)」をはじめることこそ、クリエイティブの役割だと信じている。
Timothy Ferrissは、人間の人生における成功は、その彼や彼女がよろこんで話す、不快な会話の数によって測られる、という言葉を残している。
上述した引用からインスパイアを受け、私たちはデザイナーたちに、不快ではあるが、しかし重要な会話を引き起こすなにかを創ることに挑戦してもらった。参加したデザイナーたちには、彼らの産み出すオブジェの種類、使う素材、そして彼らが引き起こそうとする会話のトピックについて、完全なる自由が与えられる。
その結果として、すばらしいほどにさまざまな作品が産まれた。ハウスウェアや家具、ジュエリーやファッション、グラフィックに映像。ただ、ここに展示されたすべてのものはひとつのことで共通している。それは人びとを不快にさせるという願いだ。さぁ、どれだけ彼らがそのことに成功しているか、判断するときだ。