マシュー・ワォルドマン Vol.07 ゲットー観光
Vol.07 ゲットー観光
今、NYCはホントに不景気なんだけれど、マンハッタンのミートパッキングに行くと、やっぱりお金持ちは誰よりも楽しく活動しているようです。
最近オープンしたHotel Standardの周りは素晴らしくデザイン的になりました。現在行われている、the High Lineと呼ばれる開発プロジェクトが進めば、West Side地区は、やっと僕の夢だったFuture Cityの姿へ近づくと思うと、とってもうれしい! ただ、このプロジェクトはいろいろなメディアで目にする機会も多いので、今回は、まだそれほど知られていないNew York City(以下、NYC)の、とくにQueens地区について書こうと思っています。
文・写真=マシュー・ワォルドマン
Jamaicaから森とビーバーがいなくなったとき、僕はそのJamaicaで生まれました!
成田空港と違って、JFK空港はNYCの市内にあります。ただ成田と同じように、毎日到着する何万人もの旅行客は空港の近辺で観光することはありません。
ManhattanやBrooklynには非常に密度の高い娯楽がいくつも存在しますが、Queens地区は、はっきりいって、基本的には面白くないですよ。だだ、それをいったら今回の連載はこれで終わってしまうので、Queens地区、とくにJFKの近辺にある、3ヵ所の面白いスポットを紹介します。
まず、歴史から。Jamaicaという場所は、オランダの植民地時代から重要な村でした。当時は、Rustdorpという名前の村で、1664年に、イギリスが占領し、CanarsieとRockawayに住む原住民に配慮し、Jamecoという名称になりました(原住民の言葉で、yamecahはビーバーの意)。
その後、なぜか、JamecoはJamaicaとなり、その時代には、まだ森も多く、その森にはビーバーがたくさん住んでいて、それらの資源が彼らの経済ベースとなっていたそうです。
その後、101年早送りして、Jamaicaからは森とビーバーがいなくなり、そんなときに僕はそのJamaicaで生まれました! 当時のJamaicaは、ひどく貧しくて暗い危険な地域でしたが、可愛い子どもだったからなのか、当時の住民がもう諦めて気にしなかったからなのか、そんなに治安がひどく悪いとは感じていませんでしたね。といっても、もう2度と住もうとも思わないですけれど。
今、Jamaicaに行けば、街はずいぶん良くなっています。70年代は、ほとんどアフリカ系の人々しかいない街でしたが、現在は、中南米、アジア、インドの移民が増えて、Manhattanとはまったく違う雰囲気です。言い方が悪いかもしれないけれど、まるで途上国のような雰囲気です。
そのなかでも、Jamaica AvenueにあるKing Manor Museumはとても面白い! 1790年ぐらいに建てられた農家で、1805年から、合衆国憲法の著者である、Rufus Kingの邸宅になりました。最近、完全修復されて、とても不思議な感じがします。Jamaicaという場所柄か、邸宅自体はまるで幽霊のようです。
Jamaica Bay Wildlife Refuge
JFK空港の隣にあるJamaica Bay Wildlife Refugeは、NYC市内にある沼と河口周辺にある、バードウォッチングの名所です。温暖化のせいか、毎年鳥が少なくなっているので、早めに見に行ったほうがいいかも!
Rockaway Beach
The Ramonesの『Rockaway Beach』という曲は御存知ですか? じつは、The RamonesもQueensの生まれ育ちでした。それはともかく、Rockaway Beachは実際にある場所ですし、本当にビーチです。地下鉄で行けます。この場所も空港の近くなので、飛行機を眺めるのが好きな人にはピッタリです。海は綺麗ですが、凄く波が荒いので、ライフガードがいないときには、絶対に泳がないでください。毎年何人も溺れ死ぬ場所です。でも、だからこそサーフィンができます! ウェットスーツがあれば冬でも大丈夫。夏は水着で楽しめます。ちなみにサーフィンは、90th streetの辺りがベストポジションらしいですよ。
参考リンク
http://en.wikipedia.org/wiki/Jamaica,_Queens
http://www.kingmanor.org/Home.asp
http://en.wikipedia.org/wiki/Jamaica_Bay_Wildlife_Refuge
http://en.wikipedia.org/wiki/Rockaway_Beach,_Queens
http://www.nyharborparks.org/visit/jaba.html