マシュー・ワォルドマン Vol.06 Matthew Style
Design
2015年3月9日

マシュー・ワォルドマン Vol.06 Matthew Style

Vol.06 Matthew Style

前回の連載を書いたあと、僕は44歳になって、それが今回の内容を思いつくきっかけになった。

そういえば、僕の服装ってどういうスタイルなんだろう?

東京では、まるでファッションブランドの広告のような服装が多くて、反対に大阪は、街行く人びと、皆がファッションに凝りすぎて、かえってちょっとおかしく見える、と友人に言われた。

それぞれの都市には、ファッションの特徴がある。ニューヨークのファッションってどんな印象なんだろう? 業界ごとに、服装にスタイルがあることも不思議と面白いけれど(例:どこの都市に行ってもエレクトロのDJは同じ服装)、ブログやインターネットの普及を考えると、こういう潜在的な、なんとか族、と言われるような服装や行動はすごくよく理解できる。

なによりもファッションのメガブランドの動向とインターネットとで、インターナショナルスタイルという服装が年々世界中に広がっている気がする。昔はそういうスタイルの画一性に反対的な立場だったけれど、いま考えると、皆の服装がおなじように見えてもいいかなと思う。なんだかSFっぽいし。そういえば、僕の服装ってどういうスタイルなんだろう?

Matthew Waldman 1985

Matthew Waldman 1985

小さいころ、僕の家は貧しかった。新品の洋服はほとんど買ってもらったことがなくて、いつも兄のおさがりばかり。だから、自分でアルバイトをするころから、僕の洋服の買い物はスタートした。

ちょうど当時はニューウェーブやパンクの時代だったので、古着をベースに、フィオルッチやベネトンなどの洋服をミックスしたり。センスがなくても、なんとかファッショナブルにしてるというよりは、むしろ、変わってる格好の少年だったのかもしれない。

Matthew Waldman 1987

Matthew Waldman 1987

グラフィックデザインをはじめると、グラフィックデザイナーや建築家の「制服」に変えた。リーバイス501ブラックジーンズ+コットンのオックスフォードシャツ+スキニーなネクタイ。

東京に来てからは、バブル時代のクレイジーなファッションに感化して、結構派手な格好だった。1990年代は、平日がデザイナー制服で、週末は東京スタイル。たまに髪型もロック風にしたり。

Matthew Waldman 1993

Matthew Waldman 1993

40歳になったときに、このスタイルはつづけられない、もっと年齢にふさわしい服装に変えなきゃ、と思いはじめたけれど、「デザイナーなんだからいいんじゃない?」とまわりのひとは言う。

そうは言われても、地下鉄に乗ると「このおっさんは一体何考えてんだ?」という表情のひとは結構いるかも。これってパラノイドかな?

Matthew Waldman 2008

Matthew Waldman 2008

そうそう、誕生日にファッションバイヤーの友人(女性)と、韓国料理店でランチをしていて、彼女に「格好がすごく変わったね!?」と言われた。そのときはすぐ彼女に「そうかな?」と答えたんだけど、数ヵ月間、彼女と会ってなかったことを思い出して、たしかにちがうかもしれないな、と思いはじめた。

デザイナーの典型色であるグレーではなく、カセットの真っ赤なジーンズをはいているし。そして「12月から保守的なものとストリートブランドのものを混ぜたスタイルにしていてさ」とかなんとか話しているうちに、「業界の人だからね」と説明した瞬間に、僕の言っている業界が、デザインではなく、ファッションにすり替わっていることに気づいた!

最近、着ているもののちょっとしたリスト

ブルックス・ブラザーズのオックスフォードシャツとポロシャツ。カセットやリーバイスのジーンズ。ユニクロのVネックセーター。Y-3とミハラヤスヒロ&プーマの靴。グラニフのTシャツ。あとはときどき、プラダと無印良品。アクセサリーはもちろんNOOKAです。

ニューヨークは不景気のせいか、僕のデザインスタジオ、berrymatchではグラフィックデザインの仕事がほとんどなくなって、今はNOOKAの新しい商品開発に没頭しているし、自分のスタイルの変化って、自分の過去と現在がどこかで合流していて、その影響かもしれないと思うと、面白い。ときどき、友達や、もしくは全然知らないようなひとが、自分の事実を鏡より正確に写すから驚く。

もういろいろなブランド名も挙げたけれど、ちょっとニューヨークのガイドブック的な情報も。

下着なら、ニューヨーカーは定価で買わずに、『entury 21』で買う。店はいつもすごく混んでいるから、僕は下着以外になにか買う集中力がないけど、洋服も安い値段で買える。ベーシックな洋服は、ひとによるけど、大体は、『GAP』か『Banana Republic』『ユニクロ』『ZARA』『H & M』かな。

ニューヨークならではのショップなら、『DDC lab』は、普段、洋服に使われないような生地を使っていて、コンセプトはちょっとNOOKAの感覚に似ている。パターンはどちらかというとトラディショナル。デビッド・ボウイや村上隆も大ファンらしい。マンハッタンの2ヵ所にショップがある。
http://www.ddclab.com/ddclab_v5/?ref=none

もうひとつ、ニューヨーカーのショップを挙げるなら、『ODIN』。ショップは数ヵ所ありますが、センターストリートの本店は、セレクトショップの見本のような存在。商品のラインナップはいろいろな国の、いろいろなメーカーから集めているけど、色とスタイルは不思議と一貫性を感じます。最高の買物の体験を味わいたければ。
http://www.odinnewyork.com/

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