collex LIVING|コレックス・リビング
collex LIVING|コレックス・リビング
北欧のデザインと、日本の道具のしなやかな調和
渋谷と代官山のあいだを走る旧山手通りは、都心とは思えないほど静かで緑豊かな通り。そんな通りにひっそりとショップを構える「collex LIVING(コレックス・リビング)」を紹介しよう。
文=加藤孝司
北欧の人々のライフスタイルは、クリーンでシンプル、生きることが楽しみに結びつき、その暮らしぶりには私たちの生活にはない豊かさが感じられる。
白夜の夜の沈まない太陽や広大な大地、澄みきった空気と生い茂る灌木など、北欧の国々が抱かせるイメージは、私たちにとっては永遠の憧れともいえるものがある。
collex LIVING(コレックス・リビング)は、そんな豊かな国々が育んだライフスタイルを提案するインテリアショップだ。広々とした店内の吹き抜けのあるホールには、ポール・ヘニングセンがデザインしたルイスポールセン社の印象的な照明、スノーボールがかかる。
日々の暮らしを豊かな自然環境から無理なく導きだす北欧の人々の考えは、同時に厳しい自然環境に向き合うことで生まれてきたものである。
奇をてらうことなく素直に自然をうつしとることで生まれた有機的で繊細なフォルム。素材の特性をいかした合理的なデザイン。日常使うものとして理にかなっているという以上に、モノの本質に根づいた必要から生まれたものの良さを感じさせる。
北欧の国々のデザインは、あたたかみと優しさに満ちていて、そのままでも日本の気候風土にもしっくりと馴染むものだ。ライフスタイル全般を提案するスウェーデンのデイヴィッド・デザイン、手仕事の丁寧さを北欧スタイルで表現するコレックスのオリジナル「everydaybycollex」。
ファッショナブルでモードなイヴァナ・ヘルシンキ。カイ・フランクやスティッグ・リンドベリ、イルマリ・タピオヴァーラらに代表される北欧モダンのデザインたち。
営々と積み重ねられた日常の暮らしから生み出されたものは、現代でも日々使うものとして理に適っている。
北欧のデザインと日本に古来から伝わる道具に共通点を見つけだすことはたやすい。50年代に花開いた北欧モダニズムのデザインに見られるかたちと素材の素朴さは、日本の民藝とも共通点が多い。
コレックス・リビングが取り扱うものにもそんな伝統とも文化ともいえるものがミックスされている。そんな近しい日本との関係性を具現化するように集められた、日本生まれの陶磁器のうつわや小物といった道具たち。
だからこの店にある北欧のデザインと、日本の「yenware」といった素朴なうつわたちは、同じ空間のなかでぶつかり合うことなくしっくりと調和しているのもうなずける。北欧と日本。奇をてらった派手さはないが、日々の暮らしにしっとりと馴染む、昔ながら道具がもつあたたかさと素朴さが同居していてじつに清々しい。
それはそれが置かれる空間にもいえることなのだが、ここにあるモノとそれが置かれている場所は、ひとつの良識ある生活空間という環境を形成していて、そこで働くスタッフの立ち居振る舞いを含め、この店がもつ良識を示していて心地が良い。店は人がつくるものである、そんな当たり前のことにも気づかせてくれるインテリアショップだ。
collexLIVING コレックス・リビング
東京都目黒区青葉台1-1-4 青葉台テラス
Tel. 03-5784-5612
営業時間|11:00~20:00
定休日|第2・3水曜日
http://www.collex.jp/