AMAGASAKA|尼ヶ坂
Design
2015年4月22日

AMAGASAKA|尼ヶ坂

AMAGASAKA|尼ヶ坂
決してブレることのないオーナーの視線の先

日々変貌する都市としての顔と、緑豊かな風情の残る街並みを併せもつ名古屋。名古屋の注目ショップ「AMAGASAKA(尼ヶ坂)」を紹介しよう。

文=加藤孝司

アートとクラフトを起点に、人と人とをつなぐ創造的空間

尼ヶ坂は、名古屋の中心部から東に位置する庶民的な住宅地だ。細い路地や、戦災を免れた石造りの家がところどころに残る下町風情の漂う町である。そんな町の、名前をそのままに冠し2007年1月にオープンしたショップ&ギャラリーAMAGASAKA(尼ヶ坂)は、オーナー自らが汗をかきリノーベーションした4階建てのビルにある。

この土地から自然発生的に生まれたジプシー音楽が流れる店内。ファミリーではなく、家族のための本棚。マクロビオテックの料理のイベントも開催される多目的なキッチン&カフェスペース。おおよそ既成のショップの概念を超え、料理人だったり、DJだったり人が集まるサロン的な場所になっている。

たびたび開催されるイベントは、広々としたキッチンを活かしたダイニングイベントだったり、地元の良さを知る、という意味合いを込めてノルディック・ウォーキングをしたり、いつもなにかがおこっている遊び心ふんだんな楽しさだ。2階はギャラリースペースになっており、1階とは区別するための白い空間がここ尼ヶ坂のボキャブラリーの広さを表している。

ミルトン・グレイサーとともにプッシュピン・スタジオの創始者のひとりで、一冊がワン・コンセプトでできているビジュアル雑誌「NOSE」(1997年創刊)を手がけることでも知られるアメリカのイラストレーター、シーモア・クワストは尼ヶ坂がレコメンドするアーティストのひとりだ。

活版印刷のポストカードや、印刷が美しい書籍、現在長野を拠点に活動する地元愛知出身のガラス工房スタジオ・プレパの作品など、手仕事の痕跡の残る日用品は、一見して目を射る派手さはないものの、日々の暮らしを豊かにしてくれる確かな存在感に満ちている。

店内にあるリビングスペースでお茶を飲みリラックスしながら、感性を刺激するモノを愛でたり、コトを企んだり、喜怒哀楽を共有する。そんなデザインやアートにまつわるあらゆる事柄を複合的に扱おうとするオーナーの視線は決してブレることがない。

生まれ育った町への愛着は誰でもが抱くいとおしい感情だ。だからこそこの小さな町から発信されるデザインやアートに関する新しい試みは、まず地元に根づいていくことこそが重要だし、この町の豊かな歴史的背景を受け、この地域から発信されるモノやコトは、東京に暮らす私たちにとってもかけがえのないものとなるに違いない。

<br /><br /><h1>AMAGASAKA|尼ヶ坂<br><br>決してブレることのないオーナーの視線の先</h1><br /><p>

AMAGASAKA(尼ヶ坂)
愛知県名古屋市北区杉村1-4-4 尼ヶ坂ビル
Tel. 052-917-5800
営業時間|12:00~20:00(金・土のみ12:00~22:00)
定休日|毎週木曜、第1・3水曜
http://www.amagasaka.com/

           
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