Cartier|吉岡徳仁ディレクション「Cartier Time Art」が上海で開催
Design
2014年12月29日

Cartier|吉岡徳仁ディレクション「Cartier Time Art」が上海で開催

Cartier|カルティエ

“時間の芸術性”に想いを巡らせた展覧会 ── 吉岡徳仁ディレクション

「Cartier Time Art」を上海当代芸術博物館で開催

中国最大の現代アート美術館である「上海当代芸術博物館 -POWER STATION OF ART-」にて、10月12日(日)まで開催中の展覧会「Cartier Time Art - Mechanic of Passion」。デザイナー・吉岡徳仁氏のディレクションによる本展覧会は、20のムーブメント、クラシカルコレクション151点にはじまり、「ID One」コンセプトウォッチを含む15のモダンピース、16のメティエダールコレクションまで、カルティエのウォッチコレクションが一般公開されている。

Text by KAJII Makoto (OPENERS)

カルティエの時計作りの核心に迫る

現在、上海で開催中の特別展「Cartier Time Art - Mechanic of Passion」では、カルティエの時計作りの起源から今日までのコレクションを過去最大数のボリュームで揃え一般公開。長い歴史と、まだ見ぬ未来のあいだを回遊するような空間を演出することで、“時間の芸術性”に想いを巡らせた構成となっている。


2011年よりスイス(ベルリーヴ美術館)、シンガポール(アートサイエンスミュージアム)と世界各国を巡回し、第3回は、中国の「上海当代芸術博物館- POWER STATION OF ART」が舞台となる。ここでは、あらたなインスタレーションも披露され、カルティエの時計作りのさらなる核心に迫っていく。

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15万本ものファイバーによるインスタレーション

なかでも注目は、15万本ものファイバーによって生み出される透明なレイヤーを用いたインスタレーション、「The Gate - Installation by Tokujin Yoshioka -」だ。広大な空間全体をひとつのレンズと化し、次元を越えるイメージを映し出す。光に満ちた幻想的な光景のなか、カルティエのコンセプトウォッチ「ID One」と「ID Two」、そして、透明なアクリルの固まりで生み出されたレンズによって、人びとは時を越える未来のゲートへと導かれる。

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「Time Art──時間そのものが芸術である」

ディレクションを担当した吉岡徳仁氏が、本展に関していくつかの質問に答えている。



──今回カルティエのタイムピースコレクションの展覧会のアートディレクションをされていますが、プロジェクトのきっかけについてお聞かせください。

カルティエとの最初のプロジェクトは2009年に展覧会ディレクターとして参加させていただいた、カルティエコレクション特別展「“Story of... ” - Memory of Cartier creations~めぐり逢う美の記憶」(東京国立博物館表敬館)です。この展覧会では、カルティエの作品ひとつひとつに宿るストーリーをコンセプトとした展覧会を考えました。

それから2年後の2011年より、カルティエタイムピースを過去最多数展示する「Cartier Time Art」展にディレクターとして参加させていただいています。カルティエの職人たちのスピリット、長い歴史と未来に対するアヴァンギャルドの発想を融合させることで、カルティエらしい美しさを引き出し、カルティエの時計作りの核心に迫る展覧会構成となっています。

──タイトルについてお聞かせください。

「Time Art──時間そのものが芸術である」

時計という物質的なことではなく、時間という文化そのものをつくり出しているというところに一番重要なカルティエの価値が存在するのではないでしょうか。このタイトルには、世界中の人びとにそのようなメッセージを伝えたいという想いを込めています。

──ディレクションにおけるコンセプトをお聞かせください。

「カルティエの果てしない美の追求と情熱が時を生み出す。職人の手で実現された完璧な調和が時間そのものを芸術へと磨き上げる」

時間は、光、風、香り、空気とおなじように、目で見ることも、この手で掬いとることもできないけれど、わたしたちの日常に深く、その美しい息を潜ませています。物質社会では、体験により耕された時が、価値をもちます。あらたなるカルティエの時の鼓動が、それぞれの心に刻み込まれ、豊かなる時間を紡いでいく展覧会にしたい、そう考えています。

── Power Station of Art(PSA) の広大な展示スペースに合わせて、どのようにデザインすることを計画しましたか? また、PSAの建物と本展のふたつのあいだにはどのような化学作用が起こるのでしょうか?

PSAの建築物で好きな点は、ダイナミックなスペースだけではなく、昔の発電所のころの記憶、つまり長い歴史の断片が建築そのものに残っているところ、それが一番の魅力ではないかと思います。あるときは歴史的な一面を、また、あるときは、未来を象徴するかのような一面をみせる、とても興味深く、パワーがある空間です。それは、まるで「長い歴史」と「未来に対するアヴァンギャルドの発想 」という、対極的なふたつの存在をあわせもつ、カルティエの美しさのようです。


今回の展覧会では、互いがもつ「過去と未来」という関係性がリンクし、共鳴するような、そんな空間になっているのではないかと思います。



吉岡徳仁ディレクション「Cartier Time Art - Mechanic of Passion」

日程|10月12日(日)まで

会場|上海当代芸術博物館 - Power station of Art(中国・上海)

200 Huayuangang Rd, Huangpu, Shanghai

開館時間|火曜~日曜 9:00~17:00(月曜休館)

吉岡徳仁デザイン事務所

www.tokujin.com

           
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