マシュー・ワォルドマン Vol.05 music issues|2008 round up
Vol.05 music issues|2008 round up
僕は音楽オタクなほどではないけれど、映画やテレビに比べてやっぱり音楽が好きだ。僕が7歳の頃にはじめて買ったレコードは、現在も持っている。今聴いてみても懐かしい気持ちが湧き上ってくるというよりは、単純にそのアルバムが好きという理由からだけれど。そのアルバムは、Simon and Garfunkleの「bridge over troubled water」。ちなみにSimon and Garfunkleは偶然にも僕とおなじで、生まれも育ちもニューヨークだし、そのうえじつは僕の母親が高校の同級生だったなんて逸話も……。
僕が子供の頃、70年代という時代は、ポップミュージックの全盛期で、ラジオから流れていた曲をよく聴いてたし、60年代の古典的なロックミュージックもひととおり浴びてきたけれど、でもいつも何か新しい音が欲しくて欲しくてどうしようもなかった。デザインとおなじ考え方で、どうしても未来的な音に期待してしまう。そんな時にまず、Donna summerの「I feel love」で希望をもちはじめ、その後、大学放送を聞いているときにKraftwerkに衝撃を受け、新しい音楽を探そうという強迫観念が本気ではじまったのだった……。
このトピックを「ニューヨーク」というのテーマにもどすのは簡単! ニューヨーク発の革命的な音楽は、JazzからPunkまで山ほどあるし。Jazzはニューヨークのユダヤ人の移民と、黒人音楽家が混ざり合うことで生まれた。Folk Musicのイメージはいなかっぽいと思われるもしれないが、60年代のニューヨークのクラブシーンでポップになってよみがえった。Punkはイギリス発ではなく、実は70年代ニューヨークのアンダーグラウンドで自然発生的に生まれたもの。Disco / Dance Musicはニューヨークのゲイと黒人のミュージックカルチャーから進化したもの。New Waveもイギリスのイメージが強いかもしれないが、ひとつの作品ではじまったといえる。Televisionの「Marquee Moon」。 同じシーンから出て来たBlondieは、さまざまな意味でポップカルチャーに影響を与え、今にいたる。思えば、Televisionも、Blondieもまずニューヨークから発信されたんだった……。
もちろん、僕はすべてのよい音楽がニューヨークから生まれたといいたいわけではない! その当時、日本のThe PlasticsとYMOの大ファンだったし、ヨーロッパ発の音楽もよく聴いていた。ここまでつなげようとすると、90年代はDeee Lite、2000年代初頭はThe Strokesや、Interpolなどなど……。
もちろん言うまでもなく、NOOKA U.S.のスタジオでは音楽は止まらなく流れている。
2008年どんな曲が一番流れたのをリストにして自分なりのコメントをつけてみると──
Au Revoire Simone
「Reverse Migration」
Brooklyn, NYC, USA
素朴な女性ボーカルに、Electronica、Synth popなサウンド。夢のサウンドトラックポップ。
MGMT
「Oracular Spectacular」
Brooklyn, NYC, USA
評論家に「New Psychedelic」とよく評されているが、そんなに簡単に括ることのできない、積極的かつ神秘的なポップサウンド。
Eugene McGuinness
Eugene McGuinness
Liverpool, UK
まるで、Morrisseyが再発掘されて、幸せな少年に生まれ変わった感じ。
The Presets
「Apocalypso」
Sydney, Australia
音だけで内容があまりなさそうな印象だけど、作詞の良さも強調したいダンス/クラブ系作品。
School of Seven Bells
Alpinisms
NYC, USA
まるでザ・ピーナッツが、ちがう時代、ちがう次元で生まれ変わった!
Black Devil Disco
Eight Oh Eight
Paris, France
ナンパやセックスへのささやき、そのエネルギーのような音。
Midnight Juggernauts
Melbourne, Australia
ロックではないけれど、おっきくてドラマティックなサウンド。めちゃめちゃ楽しい!
Panda Bear
「Person Pitch」
USA and Portugal
宗教の無いクリスマス。
Hercules and love affair
「Hercules and love affair」
Brooklyn NYC USA
インディーズ・ポップ・ゲイ・ニューヨーク・ディスコ。
わざと地元のバンドを入れようとしているわけではないけれど、ただ、ニューヨークは何か、最近の数年間盛り上がってるみたい! たとえば、2006~2007年のよく聴いてたプレイリストをレビューすると、スウェーデンのバンドが多かったり。
機会があれば、一度お試しで聴いてみてください。よろしく。