SOMEONE’S GARDEN 西村大助 津留崎麻子 インタビュー 前編
「サムワンズガーデン」というフリーペーパーとウェブサイトを制作している、西村大助さんと津留崎麻子さん。二人がKENZO PARFUMSのスピリットを携えた旅に出たきっかけをたずねる。
文=田村十七男写真=北原 薫
──「サムワンズガーデン」で、「FLOWER BY YOU」というプロジェクトを展開されました。その概要を教えてください。
西村 KENZO PARFUMSのアイコンとも言うべきポピーを携えて、ヨーロッパ中のアーティストやクリエイターと会いつつ、各国を赤い花の道でつなげようという企画です。
津留崎 日本でペーパーフラワーを300本以上つくっていったんです。途中で足りなくなったくらい、たくさんの人に手渡しました。
──企画の発信はお二人から?
西村 いわゆるタイアップ・プロジェクトなんです。けれど、KENZO PARFUMSのスタッフの方々とは、企業のメリットうんぬんを話し合うようなドライな付き合い方じゃないんですよ。僕らがやりたいことに積極的に歩み寄ってくれるというか、クリエイティブに関してとても寛容なんです。
津留崎 FLOWER BY YOU以前の企画でも、頭ごなしにNGを出されたことはなかったですね。
西村 僕ら、他の企業とのタイアップも数多く経験していますが、あそこまで理解力のあるいい人たちはいないかも(笑)。
──KENZO PARFUMSとはどういう出会いだったのですか?
西村 2006年にKENZOAMOURという香水が発売されたとき、ウェブ上にギャラリーをつくる仕事をしました。それがいちばん最初かな。その後、サムワンズガーデンをつくり、創刊号でパトリック・グエージのインタビューを掲載したんです。
──KENZO PARFUMSの凄腕クリエイティブディレクター! それはすごい企画ですね。
西村 インタビューは、僕らの現地スタッフが行いました。あの人、世界中を飛び回っているから、パリ本社のスタッフも捕まらないと言っていましたね。
津留崎 私たちはパトリックに会っていないんですけれど、具体的に話を進める日本のスタッフも、パトリックがつくり上げた世界観を尊重しているから、たぶん彼と会うのと何ら変わらない対応をしてくれるんだと思います。
──お二人は、KENZO PARFUMSにどういうイメージをお持ちでしたか?
津留崎 母が好きでしたね。私が小さい頃は香水はなかったけれど、アールデコ風なパッケージの化粧品を使っていたのをよく覚えています。
西村 老舗、という感じですよね。日本人がやっている日本ブランドとして確固たる地位を築いている。そう、装苑賞ってあるじゃないですか。若いクリエイターが出展するファッションショー。それの審査員に高田賢三さんの名前があったので見に行ったら、審査委員代表なのに来てない。うわっ、すげえ人だなって感動しました(笑)。