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2022年5月19日
日本の伝統の技からインスピレーションを得た世界で1台だけのローマ誕生|Ferrari
Ferrari Roma|フェラーリ ローマ
日本の伝統の技からインスピレーションを得た世界で1台だけのローマ誕生
フェラーリは、日本の伝統技術からインスピレーションを得てテーラーメイド部門が作り上げた、世界で1台だけの「ローマ」を発表した。
Text by YANAKA Tomomi
藍、裂き織、ろうけつ、さらには家紋に至るまで日本文化をオマージュ
自分の個性と好みに合わせた1台をつくるフェラーリ・テーラーメイド。パーソナルデザイナーを中心とするエキスパートチームが顧客をサポートし、フェラーリブランドの美的基準を守りながら、特別な1台をつくるビスポーク部門だ。
今回発表された“和”を感じさせるローマは、アメリカの独立系出版社、クール・ハンティング社の創設者エヴァン・オレンステン氏とジョシュ・ルービン氏がオーダーしたもの。フェラーリのチーフ・デザイン・オフィサーであるフラヴィオ・マンゾーニ率いるチームがテーラーメイドを担当した。
ちょうど調査のために日本へ何度か足を運んだばかりで、日本の伝統工芸や職人技にすっかり心を奪われていたというエヴァンとジョシュ。そこで、デザインチームでは、日本の伝統の技によって生み出されるユニークな素材を採用し、フェラーリが得意とする技術革新で手を加えて、現代のハイパフォーマンスカーに求められる耐久性と機能性を実現しようと構想した。
まず彼らが目を付けたのが、日本の伝統的なインディゴ染料である藍。この1台のために特別なボディカラー「インディゴ・メタル」を開発し、室内では、日本の裂き織の技法をオリジナルマットに採用した。
着古した着物をほどき、布を裂いて糸にし、新しい糸とともに織りなおす裂き織りは、1700年代にまでさかのぼる技法で、世界的に見ても非常に古いアップサイクルの一形態。今回は奄美大島でつくられた75年前の藍染と45年前の大島紬を使用し、車内で使用する上で必要な耐久性を確保するため、伸縮性に優れたナイロンが織り込まれた。
また藍のテーマは、室内のヘッドライニングにも。京都の浅井ローケツで染めた2枚の藍染めのレザーが使われており、1枚はクルマのカラースキームに合わせてつくられた独特の単色で、もう1枚には「ろうけつ」の技法を用いて手作業で柄が描かれたもの。この2枚のレザーはイタリアに送られて帯状にカットされ、イタリアの職人の手により、イントレッチオと呼ばれる網細工となり用いられている。
インナードアハンドルも、刀を握る部分を包む柄巻き(つかまき)へのオマージュとしてブラックの革ひもを手作業できつく巻き付けたほか、センターアームレストやドアシルには、ユニークな家紋を配置。牛車の車輪にV8エンジンの8本のピストンをスポークとして組み合わせ、末広がりで縁起のいい8つの波がその周りを取り囲む。
さらに、クルマ全体のアクセントとして光るのは銅の輝き。京都の老舗・開化堂の銅製の茶筒からヒントを得て、シフトゲート周りやレバーには銅メッキを採用。日本でメッキ加工を施した。足回りのホイールリムにも同様のカラーが与えられている。
日本の伝統の技とイタリアのクラフツマンシップが融合した特別な1台は、ニューヨーク・デザインウィークの期間中、ニューヨークのフェラーリ・テーラーメイド・ショールームに展示。ローマのクリーンで洗練されたエレガンスはそのままに、日本の精巧な伝統工芸をディティールに生かした、アーティスティックなモデルだ。
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