アップルが車載用インフォテイメントシステム「CarPlay」を発表|Apple CarPlay
Apple CarPlay|アップル カープレイ
フェラーリ、メルセデス・ベンツそしてボルボが先行対応
アップルが車載用インフォテイメントシステムを発表
アップルは3月3日、クルマとiPhoneをシンクロさせる車載用インフォテイメントシステム「CarPlay」を発表した。ユーザーはこのCarPlayで、ダッシュボードに用意される液晶モニターをiPhoneのようにタッチ、または話しかけるだけで、電話、マップ(iOS内蔵の地図アプリケーション)、音楽、そしてメッセージへのアクセスといったiPhone一連の動作が直感的に操作できるようになる。搭載モデルは今週開催のジュネーブモーターショーで初披露される予定だ。
Text by Shinichiro Akizuki(OPENERS)
iPhoneの楽しさをクルマにも
アップルは3月3日、クルマとiPhoneを繋ぐあたらしい車載用インフォテイメントシステム「CarPlay」を発表した。運転中のドライバーによる、クルマ内でのiPhoneの操作を可能にさせるこのCarPlayは、昨年初夏、アメリカ・サンフランシスコで開催された「WWDC2013」のカンファレンスで発表された「iOS in the Car」の正式リリース版だ。
用意されたそのインターフェイスは、アップルらしく極めて簡単でかつシンプルなもの。まずはiPhoneと、CarPlayに対応したクルマとをLightningケーブルで接続。シンクロに成功すると即座に、ダッシュボードにそなわる液晶タッチパネルでの操作が可能となり、またステアリングホイール上のボイスコントロールボタンを押し続けることで、音声アシスタント機能である「Siri」が起動。これにより、ドライバーは運転中であっても注意をそらすことなくCarPlayの操作をおこなえるようになる。
たとえば、連絡先へのアクセス、電話のコール、不在着信があった相手へのコールバック、ボイスメールの確認といった動作はもちろん、着信メッセージの読み上げや、そのメッセージの返信まで、目で確認する必要のないアイズフリーの作業が、Siriによって実現可能となるのだ。
このCarPlayはマップ(iOS内蔵の地図アプリケーション)とも連動しており、連絡先やメール、テキストメッセージからも目的地の設定が可能で、経路案内、道路状況そして予想到着時刻といったGPSナビゲーションとしての役割も併せ持つ。またSiriに直接尋ねれば、クルマの液晶ディスプレイに表示されるマップとともに、音声ガイドによる案内を受けるとることもできる。
Apple CarPlay|アップル カープレイ
フェラーリ、メルセデス・ベンツそしてボルボが先行対応
アップルが車載用インフォテイメントシステムを発表
デジタルハブ構想の先にあるもの
もちろんCarPlayでは、クルマに内蔵されたコントローラーやSiriによる操作で、自分が持っているすべての音楽、ポッドキャスト、オーディオブックそしてiTunes Radio SMにアクセスし再生することができる。
またSpotifyやiHeartRadioなど、特定のサードパーティーのオーディオアプリケーションもサポートしているため、好きなラジオサービスやスポーツ放送のアプリケーションを運転しながら楽しむことももちろん可能だ。
このようにiPhoneがもつ多くの機能を、ドライブ中でもシームレスに扱うことが可能となるCarPlay。AppleのiPhoneおよびiOSプロダクトマーケティング担当バイスプレジデント、グレッグ・ジョズィアック氏はCarPlayについて「これはクルマのなかでiPhoneを使うという素晴らしい体験を提供するために、ゼロからデザインされたものです。iPhoneユーザはいつでも指先でコンテンツにアクセスしたいものですが、ドライバーは運転から気をそらされることなく最小限の操作で使うことができます」とコメントする。
今週開幕するジュネーブモーターショーでは、まずフェラーリ、メルセデス・ベンツそしてボルボが先陣を切ってCarPlay対応のモデルを発表。続けて、本田技研、三菱自動車、日産自動車、富士重工業、スズキ、トヨタ、BMWグループ、フォード、ゼネラルモーターズ、現代自動車、ジャガー・ランドローバー、起亜自動車、 そしてPSA・プジョーシトロエンの各社が対応を予定している。
なおCarPlayは、iOS7のアップデートとして提供され、iPhone 5s、iPhone 5cそしてiPhone 5を含む、Lightningケーブル対応のiPhoneで使用できる予定だ。
いまは亡きスティーブ・ジョブズが2001年に掲げた、Macをハブとしたあたらしいデジタルライフスタイルの提案、すなわち「デジタルハブ構想」が、音楽、写真、動画、携帯電話そのすべてを飲み込み、ついに自動車分野へと進出を遂げた。彼らは次世代インフォテイメントシステムの有り様をどう変えていこうと考えているのか。今後もその動向に注目していきたい。