RENAULT TWIZY|ルノー トゥイージー 発表
CAR / NEWS
2015年3月6日

RENAULT TWIZY|ルノー トゥイージー 発表

RENAULT TWIZY|ルノー トゥイージー

ルノー初の市販EVは超小型!

ルノーはパリモーターショーにおいて、超小型のシティコミューターEV「トゥイジー」の市販バージョンを初公開した。

文=ジラフ

遊べるユニークさとたしかな走行性を両立

このモデルは、2009年のフランクフルトモーターショーに出品された「トゥイジーZ.Eコンセプト」の市販バージョンで、そのスタイリングはほぼコンセプトカーのデザインをそのまま採用している。六角形のキャビン、サイクルフェンダー、上方に跳ね上げて乗り降りするサイドドアなど、独特な仕掛けが随所に見られる。

ボディサイズは、全長2,320×全幅1,191×全高1,461mm、ホイールベース1,684mmと小型。二人乗りでタンデムに座るのもユニーク。

EVパワートレインは最高出力20ps、最大トルク5.8kgm。この数字だけではパワー不足と感じてしまうかもしれないが、車重450kgのこのモデルには、必要にして十分。最高速は75km/h、最長100kmをゼロエミッション走行できるという。ちなみに充電は家庭用の220Vコンセントをつかって3~4時間で完了する。

このトゥイジーは2011年末から、欧州で販売を開始する予定。価格は発表されていないが、ルノーは「3輪スクーター並みの価格で発売する」とコメントしている。
つねに革新的なスタイリングをつくりだすことで近未来を目論み、消費者を誘因しつづけるルノーだからこそできる、あたらしいクルマの楽しみ方の提案だといえる。

RENAULT TWIZY|ルノー トゥイージー Photo02

BRAND HISTORY
1898年設立のフランスの乗用車メーカー。ルイ・ルノーによって創業されたが、第二次世界大戦後は国が株式を取得。一種の国営企業となった。といっても、世界市場で生き抜くために、数々の魅力的なモデルを開発するとともに、F1や世界ラリー選手権などにも積極的に参戦。1996年から完全民営化している。

ルノーはスモールカーから大型サルーンまで手がけるフルラインメーカーだが、製品にはオリジナリティを盛り込むことをつねに念頭に置いてきた。
1961年発表の4(キャトル)ではバンパーレベルから開くハッチバックを採用。1965年の16はクロスフローエンジンという凝ったメカニズムを用いるとともにリアシートにスライド機構をあたえた。1972年の5(サンク)は2ドアハッチバックという割り切りのいいコンセプトをもっていた。

近年では、ミニバンの先駆けとなったエスパス(1984年)が斬新なコンセプトで注目された。また、2列目シートが3席別々にスライドする小型ミニバン、セニック(1997年)も欧州では大ヒットを記録。スモールカー、トゥインゴ(1993年)にもリアシートにスライド機構をもたせ、荷物を積むときと4人乗車と、どちらの場合にも対応できるコンセプトが世界中の自動車メーカーから評価された。

並行して、5の後席をつぶし、そこに1.4リッターターボエンジンを搭載した5ターボのように大胆なモデルを手がけたのもルノーの特徴。多くの面で着想のおもしろさと、それを実現する経営の大胆さが、ほかのメーカーとの差別化にに役だってきた。

ルノーはフルラインメーカーとして、農村でつかわれるような実用車から、大統領専用車まで手がけてきた。真骨頂は大衆車で、1970年代からはフォルクスワーゲン ゴルフなどを横目で見ながら、前輪駆動のハッチバック車を数多く送り出してきた。どちらかというとロールの大きいソフトな設定ながらもコーナリング性能にすぐれ、荷室の積載量は大きい。それがルノーの持ち味だった。

5ターボのところでも触れたが、スポーティな味つけが、ルノーは上手なメーカーでもある。戦前輝かしい戦歴を残したレーシングカーメーカーのゴルディーニを1968年に、ラリーで活躍していたアルピーヌを1973年に買収し、スポーティなモデルを数多く送り出してきた。最近ではルノースポールを意味する「RS」をサブネームに冠したクリオ(日本名はルーテシア)RSやトゥインゴRSといったクルマも評判が高い。プレスティッジ性はともかく、乗って楽しいクルマを作るのが上手なのがルノーだ。

1999年には経営危機に陥った日産自動車の株式を取得。ともにカルロス・ゴーンをトップに頂き、技術協力やシャシー共有などを積極的におこなっている。エクステリアデザインのテーマが往々にして大きく変わるため、いまひとつブランドイメージが明確化しないのが欧州車のなかでは特異な存在といえる。
(2010年8月更新)

           
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