BMW、これからの100年|BMW
BMW|ビー・エム・ダブリュー
BMW役員とデザイナーが未来を語る
BMW、これからの100年
ビー・エム・ダブリュー(BMWジャパン)は、7月8日に東京お台場に2万7,000㎡の広さを誇る、日本最大のショールーム「BMW GROUP Tokyo Bay」をグランドオープン。同時に100周年を迎えたBMWの上級副社長とエクステリア クリエイティブ ディレクターを招き、これからのBMWについて語った。
Text by UCHIDA Shunichi
これからのBMWのキーワードは「AECS」
BMW AGのBMW セールス&マーケティングおよびBMW Groupセールス ネットワーク担当上級副社長のイアン・ロバートソン氏は、自動車業界は、これから10年ほどのあいだに、これまでの100年以上の変化がもたらされるだろうと予測。そこでBMWは、エンジニアリング会社からグローバル テック カンパニーに変革していくとコメントする。
現在、日本をはじめ先進国では都市化が進んでおり、近年ではアジア諸国でも同様だ。「そこでは渋滞が進み、許容ができないという状況になりつつある。また、これからはデジタル化も進み、法規制も変わり、それに伴いドライバーの考え方も変わってくることを踏まえ、今年の6月に新しい戦略、“ストラテジー ナンバー ワン ネクスト”を発表した」と述べる。これは向こう100年を見据え、BMWが現在のエンジニアリング会社から、グローバル テック カンパニーに変身していくというものだ。
そして、これを支えるものが“AECS”だ。「Autonomous(自動運転)のA、Electrify(電化)のE、Connected(ネット接続)のC、そしてShareing(シェアリング)のSの頭文字で、これら要素が我々の戦略の基盤になる」と述べた。
自動運転については、インテルとモービルアイと組み、5年間で自動運転のためのオープンプラットフォームを作り、2021年には市場に導入したい考えだ。電化については、「i3」や「i8」を導入していることから、「我々はリーダーだ」とロバートソン氏。間もなくi3に次世代バッテリーを搭載し、航続距離を伸ばしたモデルを導入するとともに、2018年に、i8ロードスターバージョンを発表するなど、いくつかのイベントが控えている。同時にトヨタと提携して進めている水素に関しても、共同のプラットフォーム作成を模索していると述べる。
コネクティビティについてロバートソン氏は、「我々があらゆるところでつながっており、今となっては情報なしでは賄えないことが増えてきている」とした。最後はシェアリングだ。BMWは“ドライブナウ”や“リーチナウ”を欧米で導入しており、スマートフォンのアプリを使って、車両のシェアを行うなどのプログラムを実施。「全く新しい、しかもインテリジェントな方法でのクルマの使い方を提案し、さらに、インテルとモービルアイと共同で、史上にこれから先も参入していきたいと考えている」と語った。
BMW|ビー・エム・ダブリュー
BMW役員とデザイナーが未来を語る
BMW、これからの100年 (2)
BMW100周年を記念したコンセプトカー「NEXT100」
そして、ドイツからはもう1人、BMW AGのBMWデザイン部門エクステリア クリエイティブ ディレクターを務める永島譲二氏も来日。BMWデザインの未来をテーマに、BMW100周年を記念したコンセプトカー「NEXT100」の説明を行った。
永島氏によるとこのコンセプトカーには、「我々BMWデザインの未来に対する、将来に対する理想と夢が込められている」という。そのサイズは「5シリーズ」とほぼ同じくらいでありながら、室内の広さは「7シリーズ」並みだ。また、BMWはスポーティセダンのイメージがあることから、このコンセプトカーも4ドアセダンが選択された。
このコンセプトカーには、BMWのコンセプトカーとしては初めての試みとなる自動運転のテクノロジーが組み込まれている。デザインの特徴として、永島氏が真っ先に挙げるのがダッシュボードの先端に付いているシーソーのように動く小さなもの。コンパニオンと呼ばれるそれは、「このクルマの頭脳のような働きをする。センサーとナビなどのシステムがいろいろな情報を集める。それをこのコンパニオンが選択して瞬時にドライバーに必要なインフォメーションだけを与えるという役割を担っている」と説明。
具体的には、自転車が走っていればそこに注意するように、ウォーニングランプがスクリーン上に投影され、さらに自転車がトラックの陰に隠れていて、ドライバーの目に見えない場合でも、センサーが感知すればスクリーン上に注意喚起の投影がなされる。
ちなみに投影された情報の下のほうにはスピードメーターやタコメーターが同じようにプロジェクションされ、視線の位置をあまり動かさずに正面を見ながら必要な情報のみがちゃんと目に入る仕組みだ。つまり、BMWの自動運転の考え方は「第一義的にはどのようなドライバーをも最高のドライバーにするという補助システムなのだ」と永島氏はコメントする。
また、スイッチをオンにし完全自動運転にすることも可能だ。そのさいにはドライバーは座ってリラックスしていればよく、ハンドルが折りたたまれてダッシュボードと一体化する。「インテリアは、ラウンジ的なリラックスして、あまりビジーではない、面なども単純な大きな面が重なっている居心地のいい空間にデザインされている」とした。
BMW|ビー・エム・ダブリュー
BMW役員とデザイナーが未来を語る
BMW、これからの100年 (3)
BMWデザインは常にトレンドセッター
さてエクステリアデザインだ。「フロントエンドは BMWの伝統を表すところだと我々は考えている」と永島氏。キドニーグリルはもちろん踏襲され、また、ヘッドランプは丸形四灯ではないものの、同じ形を四回繰り返えすことで伝統を継承。永島氏によると、「このクルマの場合、キドニーグリルはいわゆる空気取り入れ口とは考えていない。このエリアは様々なセンサーを配置するのに都合のいい場所なので、裏側にセンサーがいろいろ入っているのだ」と述べた。
サイドビューについて永島氏は、「ラインの数が限られており、クリーンでシンプルな流れるような面で構成。ダイナミックではあるがシンプルで静かなデザインになっている」という。そこには、伝統的な“ホフマイスターキンク”や、L字型テールランプが用いられており、全てのBMWと共通したモチーフが持たされている。
そして、エクステリアで最も目を惹くのがホイール部分で、完全にカバーされている。このフェンダーは伸び縮みがする布のような編んだもののイメージで、フレキシブルに動きステアリング操舵と同調する。ホイールを覆った理由について永島氏は、空気抵抗低減をあげる。「ホイールカバーとフェンダーを狭めることによって、空気抵抗係数は0.18と、歴代BMW最高の数値を記録している」とした。
最後に永島氏は、過去のBMWデザインを振り返り、「BMWのデザインは常にトレンドを率いてきた、トレンドセッターであった。そこに、ほかがついてくるというポジションだ」と振り返る。そして、「このイノベーションとクリエイティビティ溢れた姿勢がこれまでのBMWを作ってきた」とし、「未来においても同じで、こうしたクリエイティビティで常に改革、変えていく姿勢を保つことで、 BMWのプレミアムブランドとしての価値と、会社のポリシーである駆け抜ける喜びを表現していけるのではないか」と語っていた。