トヨタ|TOYOTA ベルギーでの風力発電機の設置に協力
トヨタ|TOYOTA
ベルギーでの風力発電機の設置に協力
トヨタ自動車の欧州統括会社、トヨタモーターヨーロッパ(TME)は、ベルギーのエネルギー会社エベロップ・ベルギーと、TMEの車両物流センターに風力発電機を設置する共同プロジェクトを実施すると発表した。
文=谷中朋未
再生可能エネルギーなどで、サスティナブルな発展に貢献
TMEでは、ベルギーにある車両物流センターの敷地の一部をエベロップ・ベルギー社に貸与。エベロップ・ベルギー社は、敷地内に2基の風力発電機を設置し、2013年初旬に発電を開始するという。設置される風力発電機の定格出力は約3,000kW、年間発電量は約1,710万kWh。
このほかにもTMEでは、環境保護へのアプローチとして、2008年からヨーロッパの約3,000にものぼる販売店すべてを環境に配慮し、消費エネルギーを少なくできる店舗にすることを目指した「サスティナブル販売店プロジェクト」をスタート。また、2010年には部品物流拠点で太陽光発電パネルを大規模に導入するなど、幅広く取り組んでいる。
これまでにもトヨタ全体では、CO2排出量低減を図る生産技術の開発と導入、「カイゼン活動」によるエネルギー低減/太陽光など再生可能エネルギーの活用、「工場の森づくり」活動をつうじた地域交流や生態系保護――という3つの柱からなる工場での環境取り組みを日本をはじめ、アメリカやヨーロッパ、アジアなどで展開してきた。
今後も、今年7月にイギリスのトヨタモーターマニュファクチャリングUKにおいて太陽光発電を開始するなど、企業活動のすべての分野において、社会や地球の持続可能な発展に貢献するための活動を推し進めていくという。
BRAND HISTORY
自動車メーカーとしてのトヨタの創業は1936年。当時流行していたストリームライン(流線型)ボディをまとった6気筒モデルと、上級市場を狙ったモデルがスタートだった。50年代後半に1リッターのコロナと1.5リッターのクラウンをラインナップに。60年代には、米国市場での拡販を目指す企業戦略を採用するにあたって、コンパクトなモデルから8気筒搭載車までを開発。フルラインメーカーの道を歩み出した。
トヨタの成長のカギは、徹底したマーケット中心主義にある。60年代は米国市場において、イギリスやイタリア製の小型車をターゲットにした車種を投入して成功。その後も、適度な性能を適切な価格で提供する商品戦略は、大型セダンからスポーツカーまで幅広く採用された。そののち米国に工場を建設するなどして、大型ピックアップトラックなど米国専用の車両を多く手がけるようになる。
国内では1960年代の高度成長期をひとつの頂点に、営業販売面の貢献もあり、多彩な製品展開で盤石のポジションを獲得。また主市場の米国では、1970年代に起きた2回のオイルショックをむしろ追い風とし、小型・省燃費を武器に急成長した。近年の大きなジャンプは1980年代後半。高級車志向が強くなった米国においてトヨタでなくレクサスという独立したブランドを立ちあげた。小さな部品1点1点から徹底した品質管理をおこなうという源流主義を採用し、高いクオリティ感を売り物とした。
もうひとつのジャンプが1997年のプリウスの発売だ。ハイブリッド駆動方式は一般にはなじみのない一方、当時の自動車業界からは「内燃機(ガソリンやディーゼルのエンジンなど)から燃料電池へと向かう技術の流れのなかで無意味」と批判されたが、先見の明があったことは現在の成功をみればわかる。世界中のメーカーが形式に多少のちがいこそあれ、ハイブリッド化を推進している。また、ハイブリッド車に必要不可欠なバッテリー技術は、電気自動車でも、その先にある燃料電池車でも必要となることは、ほかの自動車メーカーも認めざるを得なかった。
2008年9月に米国で起きた、いわゆるリーマンショック以降は高級車の販売が鈍化したり、ほぼ時期をおなじくして製品のリコールをめぐって米国議会で大きく取り上げられたりと、現在のトヨタは逆風にさらされているともいえる。2002年に参戦したF1から2009年に早ばやと撤退したのもファンのあいだに失望を生んだ。しかしあらたに世界ラリー選手権も視野にいれた国際的なレース活動を再開すると表明。今後に期待だ。(2010年8月更新)