メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表|Mercedes-Benz
CAR / MOTOR SHOW
2015年1月5日

メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表|Mercedes-Benz

Mercedes-Benz GLE Coupe|メルセデス・ベンツ GLE クーペ

スタイリッシュなSUV

メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表

メルセデス・ベンツは、来る2015年1月のデトロイト モーターショーであたらしいSUV「GLE クーペ」を発表する。このモデルはこれまでの「Mクラス」から派生したクーペ版で、ちょうどBMWの「X5」と「X6」の関係と同様。あわせてメルセデスでは、SUVカテゴリーのモデル名を整理し、「GL」の名称の次のアルファベットでクラスをあらわす車名に変更する。

Text by SAKURAI Kenichi

SUVラインナップを再構築

あたらしい車名である「GLE クーペ」がしめすのでは、SUVであること=「GL」と、「E」=Eクラス セグメントであること、そして「クーペ」=スタイリッシュなクーペライクデザインであることの3要素である。メルセデスはこの「GLE クーペ」の発表を機に、これまでの「GLK」や「Mクラス」を「GLクラス」の名称も順次改めていく。「GL」の次に既存シリーズとおなじアルファベットを与え、クラス感がすぐにイメージできるようにし、他モデルとの整合性や統一性をはかるという戦略である。

よって整理すると、メルセデス・ベンツのSUVは、「Aクラス」とおなじFFのプラットフォームを使用した「GLA」、「Cクラス」とおなじFRプラットフォームを使用したモデルを「GLK」から「GLC」に、これまでの「Mクラス」の名称を「Eクラス」相当のSUVを意味する「GLE」に、そしてフルサイズSUVの「GL」は「GLS」というネーミングになる。歴史ある「Gクラス」は、これまでどおりメルセデスのSUVを象徴するモデルとしてそのままの名称が使用される。もちろん、この3レターの後に、エンジンタイプをしめす3桁の数字やパワートレーンのアルファベットがくわわることになる。

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz|メルセデス・ベンツ

そうやって見ていくと、この「GLE クーペ」の立ち位置がよくわかる。ボディサイズは「Eクラス」相当のSUVであり、なおかつスタイリッシュなクーペライクデザインをもつということになる。すなわちそれはBMWの「X5」にたいする「X6」と同様──と紹介すればいっそう理解が進む。

いっぽうで、各カテゴリーにクーペライクな4ドアモデルをラインナップするというプランもまた、現在のメルセデスが推し進めている戦略のひとつだ。「CLA」や「CLS」は言うにおよばず、ステーションワゴンにもクーペスタイルを導入。既に登場している「CLA シューティングブレーク」や「CLS シューティングブレーク」がそれにあたる。そうしたクーペ化の波が、今度はさらにSUVカテゴリーにも押し寄せてきた、ということである。


Mercedes-Benz GLE Coupe|メルセデス・ベンツ GLE クーペ

スタイリッシュなSUV

メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表 (2)

AMGを冠するあらたな立ち位置のモデル

そしてもうひとつ、このモデルは「AMG」や「マイバッハ」といったメルセデスのサブブランド化がより本格化することもしめしている。今回公開されたモデルは「GLE 450 AMG クーペ」。そう、これは「メルセデスAMG」として、「AMG」を高性能モデルのラインナップとしてカテゴライズし直す戦略の一環を担うモデルでもあり、同時にメルセデス AMGブランドの新シリーズでもあるのだ。

簡単にいえば、「E 63 AMG」といったエンジンやシャシーチューンをおこなったこれまでのAMGモデルと、「AMGスポーツパッケージ」と呼ばれたコスメティックチューンモデルの中間に位置するモデルで、従来モデルとのちがいは、エンジンがパワーアップされているという点だ。

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Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

現状ではまだメルセデスAMGブランドのロードマップが発表されていないので不確定要素はあるものの、「GLE クーペ」にかんしていえば、メルセデスAMGの名を冠した高性能モデルを未発表ながら仮にこれを「メルセデス AMG GLE 63 クーペ」とするなら、「GLE 450 AMG クーペ」はその次のモデルレンジとなり、さらにこちらも未発表ながらスタイリングのみをAMG化した標準エンジン搭載の「GLE 400 クーペ AMGスポーツパッケージ」がオプション設定される、と予想できる。

文字にするとなにやらややこしいが、サブブランド「AMG」の監修モデルが、本格コンプリートモデル、ライトチューンモデル、スタイリングモデルの3本立てになると理解すればいいだろう。AMGにこれらモデルを企画させることで、“AMGのスポーティなイメージ”をより強固なものにするという意図もあるはずだ。ともかく、メルセデスは、サブブランドや車名の変更によって、これまで以上にワイドレンジでニッチ市場にも対応していくという姿勢を表現している。

ちなみにドイツ本国では、最新の「Cクラス」より車名が「メルセデス AMG C 63」に変更されており(従来では「メルセデス・ベンツ C 63 AMG」であった)、順次他モデルの車名もこのルールを適用していくことになる。


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メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表 (3)

Mクラスベースの4ドアクーペ

おくればせながらGLE 450 AMG クーペを現状のトップモデルと位置づける新型「GLE クーペ」に話題を戻すと、このシリーズは、「M クラス」をベースにした4ドアクーペモデルで、「M クラス」よりもワイドアンドローを強調するスタイリッシュなボディデザインと、大口径ホイールがもたらすスポーティなアピアランスが何よりもトピックスである。

ホイールベースは「M クラス」同様2,915mmながら、車高は65mm低い1,731mmに、全幅は77mm拡大され2,003mmとなり、全長も96mm延長され4,900mmになっている。これにあわせてグリーンハウスも狭められ、後方にゆくくに従ってなだらかに落ちるリアウィンドウのデザインや、「Sクラス クーペ」を連想させるテールライトデザインなど、よりメルセデスのクーペらしく見せる手法が数多く採用されている。

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

Mercedes-Benz GLE 450 AMG Coupe

エンジンラインナップは「GLE 350 d 4マチック クーペ」に搭載される最高出力190kW(258ps)の3リッターV6ディーゼルターボ、「GLE 400 4マチック クーペ」に搭載される最高出力245kW(333ps)の3リッターのV6ツインターボ、そしてこのエンジンの出力を270kW(367ps)に向上させた「GLE 450 AMG クーペ」に搭載されるおなじく3リッターのV6ツインターボという3タイプ。

ともに9段ATの「9Gトロニック」を搭載するが、GLE 350 d 4マチック クーペとGLE 400 4マチック クーペが前後のトルク配分を50:50とした4WD方式を採用しているのにたいして、GLE 450 AMG クーペでは40:60と後輪によりトルクを多く分配し、FR的な走りも楽しめるようなセッティングを施している。

「エアマチック」サスペンションが標準装備されるのもGLE 450 AMG クーペの特徴で、連続可変ダンピングシステム「ADS プラス」も組み込まれる。ほかの2グレードでは、スチールサスペンション「アジリティコントロール」を標準採用するが、エアマチックとADS プラスはオプション装備することが可能だ。


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メルセデス・ベンツ GLE クーペを発表 (4)

GLEでニッチ市場に切り込むメルセデス

また、GLE 450 AMG クーペにはオフロード走行からスポーティなオンロード走行に対応するため、シャシーやサスペンション、ステアリングホイールを統合制御する車両安定化デバイス「ダイナミック セレクト」を搭載した。ダイヤル操作によりインディビジュアル/コンフォート/スリッパリー/スポーツ/スポーツプラスの5種類に切り替えられ、サスペンションやステアリングなどの特性もそれぞれのプラグラムにあわせて変化する。

このダイナミック セレクトは、室内のディスプレイやエンジンサウンド、そしてLEDヘッドランプとも連動。それぞれのモードにあった演出をおこなうという。スポーツとスポーツプラスのモードを選択したさいは、横転防止機能の「アクティブ カーブ システム」も自動で起動する。

Mercedes-Benz GLE Coupe|メルセデス・ベンツ GLE クーペ

Mercedes-Benz GLE Coupe

Mercedes-Benz GLE Coupe|メルセデス・ベンツ GLE クーペ

Mercedes-Benz GLE Coupe

前後の大型バンパーやリアスポイラー、21インチサイズのAMG 5ツインスポークデザインのアルミホイールの採用などもまた他グレードにはないGLE 450 AMG クーペの専用アイテムである。タイヤは下位2グレードが前後とも275/50R20であるのにたいして、フロント275/45R21、リア315/40R21にサイズアップし、さらにオプションで22インチの285/40R22、325/35R22サイズも選択可能だ。

内装は、これまでの「M クラス」のデザインを踏襲するが、全車でより大型の8インチディスプレイを採用。GLE 450 AMG クーペではスポーツシートやナッパレザーのD字シェイプステアリングホイールのほか、カーボン調トリムや、アルミ製ペダルも専用装備された。

セダンにたいするクーペだけでなく、ステーションワゴンやSUVにもクーペモデルを追加し、ニッチ市場に切り込むメルセデスの拡大戦略。「メルセデスAMG」や「メルセデス・マイバッハ」のサブブランド化や車名の整理などもふくめ、ブランドの再構築をはかり、生産台数で先を行くBMWやアウディに猛追をかける。本気になった巨人が、繰り出す次の一手が楽しみで仕方ない。

Mercedes-Benz GLE Coupe 350 d 4MATIC|メルセデス・ベンツ GLE クーペ 350 d 4マチック
ボディサイズ|全長 4,900 × 全幅 2,003 × 全高 1,731 mm
ホイールベース|2,915 mm
トレッド 前/後|1,658 / 1,725 mm
エンジン|2,987cc V6直噴ディーゼルターボ
最高出力| 190 kW(258 ps)/ 3,600 rpm
最大トルク|620 Nm / 1,600-2,400 rpm
トランスミッション|9段オートマチック(9Gトロニック)
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|275/50R20

Mercedes-Benz GLE Coupe 400 4MATIC|メルセデス・ベンツ GLE クーペ 400 4マチック
ボディサイズ|全長 4,900 × 全幅 2,003 × 全高 1,731 mm
ホイールベース|2,915 mm
トレッド 前/後|1,658 / 1,725 mm
エンジン|2,996cc V6直噴ツインターボ
最高出力| 245 kW(333 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|480 Nm / 1,400-4,000 rpm
トランスミッション|9段オートマチック(9Gトロニック)
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|275/50R20

Mercedes-Benz GLE Coupe 450 AMG 4MATIC|メルセデス・ベンツ GLE クーペ 450 AMG 4マチック
ボディサイズ|全長 4,900 × 全幅 2,003 × 全高 1,731 mm
ホイールベース|2,915 mm
トレッド 前/後|1,658 / 1,725 mm
エンジン|2,996cc V6直噴ツインターボ
最高出力| 270 kW(367 ps)/ 5,500 rpm
最大トルク|520 Nm / 1,400-4,000 rpm
トランスミッション|9段オートマチック(9Gトロニック)
駆動方式|4WD
タイヤ 前/後|275/45R21 / 315/40R21

           
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